130 / 475
第6章 エスペルト王国の革命
2 王都からの脱出劇
しおりを挟む
私は隠し通路の中を全力で走っていた。途中、リシリウスからの通信が入ると情報共有を行う。
「姫様…私たちは現在、飛空船を奪取し離宮の人々を乗せているところです。指示があれば所定の位置まで船を運びますが、どうなさいますか?」
「確証はないけど…相手は執拗に王族の残りを狙っているみたいなのよね。あなたたちは、そのままルークス領まで逃げなさい。同時にわたくしが街の外で逃げるから相手は混乱するはずよ。情報が集まるまで相手をかき乱すわよ!」
「かしこまりました。何かあればまた連絡します。」
通信を切ったあと、私はシリウスやリーナたちの無事を祈りながら通路を走っていくのだった。
それから半刻ほど経った頃、王都の外周に繋がる出口付近でようやく人影を捕らえることできた。
「っ!ラティアーナ王女殿下!?」
私に気付いた騎士の1人が迎撃のために剣を抜こうとしたが、私だと気付いて咄嗟に剣を止めて驚きの声を上げる。
もう1人の騎士とリーファス、ローザリンデも驚きのあまり固まっていた。
「失礼しました、ラティアーナ王女殿下。」
「かまわないわ。追いつくことができて良かった…わたくしも同行して良いかしら?」
私に剣を向けようとしたことを騎士は詫びるが、護衛といういつ襲われるかわからない中で、後ろから走ってくる相手を警戒するのは仕方のないことだろう。
私は微笑みながら謝る必要はないことを伝えて、同行したいことを申し出た。
「お姉様でしたら構いませんわ。」
「姉上でしたら…」
ローザリンデは笑顔でリーファスは少し複雑な表情をしているが2人の許可も出たことと、私が許したことで騎士たちもほっとしたようだった。
「では改めてよろしくお願いいたします。私はリーファス様付きの騎士ブルーノです。」
「わたくしはローザリンデ様付きのテレシアです。ラティアーナ王女殿下よろしくお願いいたします。」
「2人ともよろしくお願いするわ。…早速だけどこの後どうするか決まっているのかしら?」
「我々はお2人を守ることこそが使命です。しかし…現状ほとんどの貴族が新王に組すると思われます。となると、我々が反逆者扱いとなり正直なところ行く当てはありませんね。」
私はブルーノの言葉に納得しつつ先のことを考えていると、ローザリンデが不思議そうな顔をしている。
「ふと気になったのですけど…お姉様の護衛騎士はどうされたのですか?」
「わたくしの近衛騎士団には離宮の皆を保護して、王都から逃がすように命令したわ。……それにしても、2人が無事でいてくれて本当に良かった。」
「…同母の姉弟であるリーファスが心配なのはわかりますが、わたくしもなのですか?」
そう言葉にしだローザリンデは、少し不安そうな顔をしていた。今まで建国祭やお披露目の時しかまともに会わなかったためあまり接点はないが、なにかと気にかけてくれているがローザリンデのことも大事に思っている。
「異母姉妹ですもの。ローザリンデだってわたくしのことを嫌ってはいないようだし…だとすれば、姉は妹のことを守るものでしょう。だから2人のことは誰にも傷つけさせないわ。」
それから通路を歩いてしばらくすると行き止まりに辿り着く。石レンガのところを押しこむと隠し扉が開いて、明かりが差し込んだ。
5人で外に出ると王都の外側にある水路の陰に出た。そこから建物をうまく使いつつ都市を囲む城壁の近くまで辿り着く。
「城門を素早く突破しましょう。私が囮になりますからお三方はテレシアと共に外へ走ってください。」
ブルーノが囮になろうと飛び出そうとするが肩を掴んで引き止める。
「ラティアーナ王女殿下、一体何を…」
「ブルーノはリーファスの近衛でしょう。ここはわたくしが道を作るわ。」
私の言葉に4人が目を丸くするが安心させるように微笑み返すと、私は身体強化と同時に駆け出した。
「ラティアーナ王女がいたぞ!絶対に捕らえろ!」
1番近くにいた兵士に近づくとそのままの勢いのまま回し蹴りを当てて吹き飛ばした。兵士が吹き飛んだことで、他の兵士も警戒を強めたらしく剣を抜いて囲んでくる。
私は斬りかかってきた兵士の剣を奪うと、そのまま剣の腹で殴りつける。囲んでいた兵士が一斉に剣を突き出してくるが、真上に跳躍して交わすと近くにいた兵士を掴んで1回転振り回す。
兵士同士が勢いよく当たって大半が気を失ったようだった。
「馬鹿な!?なんてメチャクチャな…」
「実戦だもの。勝てれば良いのよ。」
私はそう呟きながら残った兵士を剣で殴って沈めていく。全員の意識が飛んだ頃、陰に隠れていた4人が近づいてきた。
「ラティアーナ王女殿下…お強いのですね。」
「お姉様…」「姉上…」
騎士たちは驚いた表情をするにとどまっているが、2人は呆然と佇んでいた。
「とりあえずここから離れないとまた兵士がくるわ。さっさと行きましょう。」
私の言葉になんとか我に帰ったらしく、5人で走り出す。
王都からの脱出に成功するのだった。
「姫様…私たちは現在、飛空船を奪取し離宮の人々を乗せているところです。指示があれば所定の位置まで船を運びますが、どうなさいますか?」
「確証はないけど…相手は執拗に王族の残りを狙っているみたいなのよね。あなたたちは、そのままルークス領まで逃げなさい。同時にわたくしが街の外で逃げるから相手は混乱するはずよ。情報が集まるまで相手をかき乱すわよ!」
「かしこまりました。何かあればまた連絡します。」
通信を切ったあと、私はシリウスやリーナたちの無事を祈りながら通路を走っていくのだった。
それから半刻ほど経った頃、王都の外周に繋がる出口付近でようやく人影を捕らえることできた。
「っ!ラティアーナ王女殿下!?」
私に気付いた騎士の1人が迎撃のために剣を抜こうとしたが、私だと気付いて咄嗟に剣を止めて驚きの声を上げる。
もう1人の騎士とリーファス、ローザリンデも驚きのあまり固まっていた。
「失礼しました、ラティアーナ王女殿下。」
「かまわないわ。追いつくことができて良かった…わたくしも同行して良いかしら?」
私に剣を向けようとしたことを騎士は詫びるが、護衛といういつ襲われるかわからない中で、後ろから走ってくる相手を警戒するのは仕方のないことだろう。
私は微笑みながら謝る必要はないことを伝えて、同行したいことを申し出た。
「お姉様でしたら構いませんわ。」
「姉上でしたら…」
ローザリンデは笑顔でリーファスは少し複雑な表情をしているが2人の許可も出たことと、私が許したことで騎士たちもほっとしたようだった。
「では改めてよろしくお願いいたします。私はリーファス様付きの騎士ブルーノです。」
「わたくしはローザリンデ様付きのテレシアです。ラティアーナ王女殿下よろしくお願いいたします。」
「2人ともよろしくお願いするわ。…早速だけどこの後どうするか決まっているのかしら?」
「我々はお2人を守ることこそが使命です。しかし…現状ほとんどの貴族が新王に組すると思われます。となると、我々が反逆者扱いとなり正直なところ行く当てはありませんね。」
私はブルーノの言葉に納得しつつ先のことを考えていると、ローザリンデが不思議そうな顔をしている。
「ふと気になったのですけど…お姉様の護衛騎士はどうされたのですか?」
「わたくしの近衛騎士団には離宮の皆を保護して、王都から逃がすように命令したわ。……それにしても、2人が無事でいてくれて本当に良かった。」
「…同母の姉弟であるリーファスが心配なのはわかりますが、わたくしもなのですか?」
そう言葉にしだローザリンデは、少し不安そうな顔をしていた。今まで建国祭やお披露目の時しかまともに会わなかったためあまり接点はないが、なにかと気にかけてくれているがローザリンデのことも大事に思っている。
「異母姉妹ですもの。ローザリンデだってわたくしのことを嫌ってはいないようだし…だとすれば、姉は妹のことを守るものでしょう。だから2人のことは誰にも傷つけさせないわ。」
それから通路を歩いてしばらくすると行き止まりに辿り着く。石レンガのところを押しこむと隠し扉が開いて、明かりが差し込んだ。
5人で外に出ると王都の外側にある水路の陰に出た。そこから建物をうまく使いつつ都市を囲む城壁の近くまで辿り着く。
「城門を素早く突破しましょう。私が囮になりますからお三方はテレシアと共に外へ走ってください。」
ブルーノが囮になろうと飛び出そうとするが肩を掴んで引き止める。
「ラティアーナ王女殿下、一体何を…」
「ブルーノはリーファスの近衛でしょう。ここはわたくしが道を作るわ。」
私の言葉に4人が目を丸くするが安心させるように微笑み返すと、私は身体強化と同時に駆け出した。
「ラティアーナ王女がいたぞ!絶対に捕らえろ!」
1番近くにいた兵士に近づくとそのままの勢いのまま回し蹴りを当てて吹き飛ばした。兵士が吹き飛んだことで、他の兵士も警戒を強めたらしく剣を抜いて囲んでくる。
私は斬りかかってきた兵士の剣を奪うと、そのまま剣の腹で殴りつける。囲んでいた兵士が一斉に剣を突き出してくるが、真上に跳躍して交わすと近くにいた兵士を掴んで1回転振り回す。
兵士同士が勢いよく当たって大半が気を失ったようだった。
「馬鹿な!?なんてメチャクチャな…」
「実戦だもの。勝てれば良いのよ。」
私はそう呟きながら残った兵士を剣で殴って沈めていく。全員の意識が飛んだ頃、陰に隠れていた4人が近づいてきた。
「ラティアーナ王女殿下…お強いのですね。」
「お姉様…」「姉上…」
騎士たちは驚いた表情をするにとどまっているが、2人は呆然と佇んでいた。
「とりあえずここから離れないとまた兵士がくるわ。さっさと行きましょう。」
私の言葉になんとか我に帰ったらしく、5人で走り出す。
王都からの脱出に成功するのだった。
6
お気に入りに追加
95
あなたにおすすめの小説

田村涼は異世界で物乞いを始めた。
イペンシ・ノキマ
ファンタジー
異世界に転生した田村涼に割り振られた職業は「物乞い」。それは一切の魔術が使えず、戦闘能力は極めて低い、ゴミ職業であった。おまけにこの世界は超階級社会で、「物乞い」のランクは最低の第四階級。街の人々は彼を蔑み、馬鹿にし、人間扱いさえしようとしない。そのうえ、最近やってきた教会長はこの街から第四階級の人々を駆逐しようとさえしている。そんななか、田村涼は「物乞い」には”隠されたスキル”があることに気がつく。そのことに気づいたところから、田村涼の快進撃が始まる――。
特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。
黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。
そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。
しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの?
優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、
冒険者家業で地力を付けながら、
訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。
勇者ではありません。
召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。
でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

異世界で生きていく。
モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。
素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。
魔法と調合スキルを使って成長していく。
小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。
旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。
3/8申し訳ありません。
章の編集をしました。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

このやってられない世界で
みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。
悪役令嬢・キーラになったらしいけど、
そのフラグは初っ端に折れてしまった。
主人公のヒロインをそっちのけの、
よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、
王子様に捕まってしまったキーラは
楽しく生き残ることができるのか。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる