王女の夢見た世界への旅路

ライ

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第6章 エスペルト王国の革命

2 王都からの脱出劇

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 私は隠し通路の中を全力で走っていた。途中、リシリウスからの通信が入ると情報共有を行う。

「姫様…私たちは現在、飛空船を奪取し離宮の人々を乗せているところです。指示があれば所定の位置まで船を運びますが、どうなさいますか?」

「確証はないけど…相手は執拗に王族の残りを狙っているみたいなのよね。あなたたちは、そのままルークス領まで逃げなさい。同時にわたくしが街の外で逃げるから相手は混乱するはずよ。情報が集まるまで相手をかき乱すわよ!」

「かしこまりました。何かあればまた連絡します。」

 通信を切ったあと、私はシリウスやリーナたちの無事を祈りながら通路を走っていくのだった。


 それから半刻ほど経った頃、王都の外周に繋がる出口付近でようやく人影を捕らえることできた。

「っ!ラティアーナ王女殿下!?」

 私に気付いた騎士の1人が迎撃のために剣を抜こうとしたが、私だと気付いて咄嗟に剣を止めて驚きの声を上げる。
 もう1人の騎士とリーファス、ローザリンデも驚きのあまり固まっていた。

「失礼しました、ラティアーナ王女殿下。」

「かまわないわ。追いつくことができて良かった…わたくしも同行して良いかしら?」

 私に剣を向けようとしたことを騎士は詫びるが、護衛といういつ襲われるかわからない中で、後ろから走ってくる相手を警戒するのは仕方のないことだろう。
 私は微笑みながら謝る必要はないことを伝えて、同行したいことを申し出た。

「お姉様でしたら構いませんわ。」

「姉上でしたら…」

 ローザリンデは笑顔でリーファスは少し複雑な表情をしているが2人の許可も出たことと、私が許したことで騎士たちもほっとしたようだった。

「では改めてよろしくお願いいたします。私はリーファス様付きの騎士ブルーノです。」

「わたくしはローザリンデ様付きのテレシアです。ラティアーナ王女殿下よろしくお願いいたします。」

「2人ともよろしくお願いするわ。…早速だけどこの後どうするか決まっているのかしら?」

「我々はお2人を守ることこそが使命です。しかし…現状ほとんどの貴族が新王に組すると思われます。となると、我々が反逆者扱いとなり正直なところ行く当てはありませんね。」

 私はブルーノの言葉に納得しつつ先のことを考えていると、ローザリンデが不思議そうな顔をしている。

「ふと気になったのですけど…お姉様の護衛騎士はどうされたのですか?」

「わたくしの近衛騎士団には離宮の皆を保護して、王都から逃がすように命令したわ。……それにしても、2人が無事でいてくれて本当に良かった。」

「…同母の姉弟であるリーファスが心配なのはわかりますが、わたくしもなのですか?」

 そう言葉にしだローザリンデは、少し不安そうな顔をしていた。今まで建国祭やお披露目の時しかまともに会わなかったためあまり接点はないが、なにかと気にかけてくれているがローザリンデのことも大事に思っている。

「異母姉妹ですもの。ローザリンデだってわたくしのことを嫌ってはいないようだし…だとすれば、姉は妹のことを守るものでしょう。だから2人のことは誰にも傷つけさせないわ。」

 それから通路を歩いてしばらくすると行き止まりに辿り着く。石レンガのところを押しこむと隠し扉が開いて、明かりが差し込んだ。
 5人で外に出ると王都の外側にある水路の陰に出た。そこから建物をうまく使いつつ都市を囲む城壁の近くまで辿り着く。

「城門を素早く突破しましょう。私が囮になりますからお三方はテレシアと共に外へ走ってください。」

 ブルーノが囮になろうと飛び出そうとするが肩を掴んで引き止める。

「ラティアーナ王女殿下、一体何を…」

「ブルーノはリーファスの近衛でしょう。ここはわたくしが道を作るわ。」

 私の言葉に4人が目を丸くするが安心させるように微笑み返すと、私は身体強化と同時に駆け出した。

「ラティアーナ王女がいたぞ!絶対に捕らえろ!」

 1番近くにいた兵士に近づくとそのままの勢いのまま回し蹴りを当てて吹き飛ばした。兵士が吹き飛んだことで、他の兵士も警戒を強めたらしく剣を抜いて囲んでくる。
 私は斬りかかってきた兵士の剣を奪うと、そのまま剣の腹で殴りつける。囲んでいた兵士が一斉に剣を突き出してくるが、真上に跳躍して交わすと近くにいた兵士を掴んで1回転振り回す。
 兵士同士が勢いよく当たって大半が気を失ったようだった。

「馬鹿な!?なんてメチャクチャな…」

「実戦だもの。勝てれば良いのよ。」

 私はそう呟きながら残った兵士を剣で殴って沈めていく。全員の意識が飛んだ頃、陰に隠れていた4人が近づいてきた。

「ラティアーナ王女殿下…お強いのですね。」

「お姉様…」「姉上…」

 騎士たちは驚いた表情をするにとどまっているが、2人は呆然と佇んでいた。

「とりあえずここから離れないとまた兵士がくるわ。さっさと行きましょう。」

 私の言葉になんとか我に帰ったらしく、5人で走り出す。

 王都からの脱出に成功するのだった。

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