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第4章 無慈悲な大陸と絶望の世界
26 弟のお披露目
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今年初めの建国祭も無事終了した。
社交の中で、今まで付き合いのある家と情報交換を行った。主なところだと、グラディウス公爵家やマギルス公爵家、セプテンリオ伯爵家、サギッタ伯爵家、アクアリス子爵家となる。
どうも、エスペルト王国中央と辺境領との間にある確執は、税だけでなく国軍の運用についても問題となっているようだった。
元々各地に散らせていた国軍だが、帝国との辺境に集中させて、残りを王都に配備しているらしい。
そのため、南部の辺境では領地に所属する兵達で、小競り合いの対処をしているため、負担が増えているそうだ。
そして更に、建国祭から3月ほど経過して、お披露目の時期となった。
今年は、弟で聖人候補とみなされているリーファスのお披露目となる。高いと言われている魔力の測定もあるため、各貴族達の動きが活発になるだろう。
今回は、同母弟ということで、私もお披露目に参加することになっている。そのため少し早く王城へ向かうと、妹のローザリンデと会った。
「あら、ローザリンデじゃない。お父様達はお待ちかしら?」
「ラティアーナお姉様、ごきげんよう。お父様とお母様は今準備しているところですわ。もう少しすれば来ると思います。」
お父様たちの準備がまだ終わっていないため、少し部屋で待つことになるだろう。
「お姉様に忠告がありますの。…お父様にも気をつけてくださいな。」
「お父様からもですか…流石に少し悲しいですね。」
実の父親からも狙われるとなると、肩を落とした気持ちになる。
「最近、両親は王位の問題に奔走しているようですの。…貴族からの反発も強くなっているようですから、そちらも注意してくださいな。」
ローザリンデはため息をつきながら呟いた。
「ありがとう。でもわたくしにそのようなことを伝えていいのかしら?」
私とローザリンデは、お互い建国祭とお披露目の時くらいしか話さない。そこまで、気にかけてくれるのが意外だった。
「家族を見てると、いろいろ見えてくるものがありますわ。お姉様のことは信用してますから。」
もう1度、ありがとうと呟いてローザリンデと別れる。私はそのまま、待機用の部屋に向かった。
少しして、お父様とレティシア様、リーファスがやってきた。そのまま馬車に乗り込み教会へ向かう。
馬車の中では終始無言で、空気が重く感じた。
教会につくと計測が始まる。リーファスの番になると、周囲も注目しているのが良く分かる。
リーファスの周囲に術式が展開され、測定が終わった。
「適性は全属性がかなり高いですね。魔力量は...およそ2500くらいです。過去最高の記録に近いです!これなら、かつての聖人と同等、あるいはそれ以上です。」
リーファスの結果にざわめきが広がる。側妃生まれの第5王子とはいえ、魔力が1番多い男子だ。今までも水面下では、派閥争いが繰り広げられてきた。これから先は、より活発になっていくだろう。
(レティシア様が変な気を、起こさなければいいけど…)
内心でリーファスを心配していると、他の貴族たちの計測も終わる。
その後は、城のホールに向かった。
時間になり、お父様がお披露目の開始の宣言をする。
リーファスを先頭に全員が入場し、名前を呼ばれ指輪を渡されるとパーティーが始まった。
少し経った頃、リーファスを見つけたため話に行くことにした。
「リーファス、やっと話せるわね。」
「ラティアーナ姉上…そうですね。」
私が話しかけると、リーファスは無表情で挨拶した。
「レティシア様に引き取られることになって、会えなかったから嬉しいわ。」
私は、にやけてしまうのを微笑みで隠すように努める。
「姉上は、私のこと捨てたのでは?」
リーファスは私の言葉に戸惑っているようだ。
「…わたくしはリーファスのお姉さんだもの、捨てるわけがないわ。確かにレティシア様の離宮に移ったことで、気軽に会えなくなってしまったけれど、それでも姉弟であることは一生変わらない。なにかあれば必ず支える。それだけは覚えておいて欲しい。」
私は、ずっと思ったいたことを伝える。
「それは…あの魔力測定があったのにですか?」
リーファスは無表情だけど、何故か瞳を見ていると悲しんでいるように見えた。
「もちろん。魔力なんて関係ないわ。あなたはあなただもの。」
そう伝えると、周りの視線がこちらに向いてないことを確認する。ドレスで隠れるような位置に移動して、リーファスの頭を軽く撫でた。
「あまり長くいると後で何か言われるかも知れないから。この辺で別れるとしましょうか。」
そうして、私とリーファスは別れた。
他に話したいと思っていた貴族とは、1通り話し終わっている。
そのため、端のほうで1人会場を眺めていた。
(リーファスは大丈夫かしら。私のことに関しては、レティシア様が何か言ったのだろうけど…護衛でも誰でもいいから、気を許せる相手がいればいいけど。)
お父様やレティシア様の表情を窺うが、何を考えているかわからなかった。
そうして今年のお披露目が終わった。
社交の中で、今まで付き合いのある家と情報交換を行った。主なところだと、グラディウス公爵家やマギルス公爵家、セプテンリオ伯爵家、サギッタ伯爵家、アクアリス子爵家となる。
どうも、エスペルト王国中央と辺境領との間にある確執は、税だけでなく国軍の運用についても問題となっているようだった。
元々各地に散らせていた国軍だが、帝国との辺境に集中させて、残りを王都に配備しているらしい。
そのため、南部の辺境では領地に所属する兵達で、小競り合いの対処をしているため、負担が増えているそうだ。
そして更に、建国祭から3月ほど経過して、お披露目の時期となった。
今年は、弟で聖人候補とみなされているリーファスのお披露目となる。高いと言われている魔力の測定もあるため、各貴族達の動きが活発になるだろう。
今回は、同母弟ということで、私もお披露目に参加することになっている。そのため少し早く王城へ向かうと、妹のローザリンデと会った。
「あら、ローザリンデじゃない。お父様達はお待ちかしら?」
「ラティアーナお姉様、ごきげんよう。お父様とお母様は今準備しているところですわ。もう少しすれば来ると思います。」
お父様たちの準備がまだ終わっていないため、少し部屋で待つことになるだろう。
「お姉様に忠告がありますの。…お父様にも気をつけてくださいな。」
「お父様からもですか…流石に少し悲しいですね。」
実の父親からも狙われるとなると、肩を落とした気持ちになる。
「最近、両親は王位の問題に奔走しているようですの。…貴族からの反発も強くなっているようですから、そちらも注意してくださいな。」
ローザリンデはため息をつきながら呟いた。
「ありがとう。でもわたくしにそのようなことを伝えていいのかしら?」
私とローザリンデは、お互い建国祭とお披露目の時くらいしか話さない。そこまで、気にかけてくれるのが意外だった。
「家族を見てると、いろいろ見えてくるものがありますわ。お姉様のことは信用してますから。」
もう1度、ありがとうと呟いてローザリンデと別れる。私はそのまま、待機用の部屋に向かった。
少しして、お父様とレティシア様、リーファスがやってきた。そのまま馬車に乗り込み教会へ向かう。
馬車の中では終始無言で、空気が重く感じた。
教会につくと計測が始まる。リーファスの番になると、周囲も注目しているのが良く分かる。
リーファスの周囲に術式が展開され、測定が終わった。
「適性は全属性がかなり高いですね。魔力量は...およそ2500くらいです。過去最高の記録に近いです!これなら、かつての聖人と同等、あるいはそれ以上です。」
リーファスの結果にざわめきが広がる。側妃生まれの第5王子とはいえ、魔力が1番多い男子だ。今までも水面下では、派閥争いが繰り広げられてきた。これから先は、より活発になっていくだろう。
(レティシア様が変な気を、起こさなければいいけど…)
内心でリーファスを心配していると、他の貴族たちの計測も終わる。
その後は、城のホールに向かった。
時間になり、お父様がお披露目の開始の宣言をする。
リーファスを先頭に全員が入場し、名前を呼ばれ指輪を渡されるとパーティーが始まった。
少し経った頃、リーファスを見つけたため話に行くことにした。
「リーファス、やっと話せるわね。」
「ラティアーナ姉上…そうですね。」
私が話しかけると、リーファスは無表情で挨拶した。
「レティシア様に引き取られることになって、会えなかったから嬉しいわ。」
私は、にやけてしまうのを微笑みで隠すように努める。
「姉上は、私のこと捨てたのでは?」
リーファスは私の言葉に戸惑っているようだ。
「…わたくしはリーファスのお姉さんだもの、捨てるわけがないわ。確かにレティシア様の離宮に移ったことで、気軽に会えなくなってしまったけれど、それでも姉弟であることは一生変わらない。なにかあれば必ず支える。それだけは覚えておいて欲しい。」
私は、ずっと思ったいたことを伝える。
「それは…あの魔力測定があったのにですか?」
リーファスは無表情だけど、何故か瞳を見ていると悲しんでいるように見えた。
「もちろん。魔力なんて関係ないわ。あなたはあなただもの。」
そう伝えると、周りの視線がこちらに向いてないことを確認する。ドレスで隠れるような位置に移動して、リーファスの頭を軽く撫でた。
「あまり長くいると後で何か言われるかも知れないから。この辺で別れるとしましょうか。」
そうして、私とリーファスは別れた。
他に話したいと思っていた貴族とは、1通り話し終わっている。
そのため、端のほうで1人会場を眺めていた。
(リーファスは大丈夫かしら。私のことに関しては、レティシア様が何か言ったのだろうけど…護衛でも誰でもいいから、気を許せる相手がいればいいけど。)
お父様やレティシア様の表情を窺うが、何を考えているかわからなかった。
そうして今年のお披露目が終わった。
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