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第4章 無慈悲な大陸と絶望の世界
14 地獄の火山
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火山地帯に入ってから2日が経過した。今夜には、火山を抜けることができる予定である。山といっても地表部分は、道がなく崖を登る必要があるのと、竜種と遭遇する可能性があるため、地底にある洞窟を通っていた。
ここにいる竜種は、他の場所とは別格の強さとなっている。以前戦った飛龍でさえ数倍の強さを持つと言われているが、ここには更に上位の火龍などの属性竜や、最高位に当たる黒龍、白龍も稀にいるらしい。
そんなわけで、地底にある洞窟を通っているが、色々な危険に襲われている。魔物については、マグマの中を泳ぐ魚やトカゲ型の魔物が多いが、今の私達にとっては問題ない強さだった。どちらかと言うと、火山というこの場所そのものが厄介である。
現に今も、天井からいきなりマグマが噴き出してきた。
「っ!?」
流れてきたマグマを、シリウスが暴風で吹き飛ばした。マグマの雨が私達の周りに降り注いだ。
「それにしても…事前に察知できないのは、かなり厄介な場所ですね」
「そうですね。セイン王国からであれば山越えの必要はないですが、魔族領から行き来することはほとんどないですからね。ここを通る人なんて滅多にいないと思います。」
ソフィアに聞いたところ、基本的にこの火山は、入ったら出ることができない場所として知られている場所のようだった。
魔族領との間にあるこの山脈は、天然の防壁の役割を担っているのだろう。ここにいる魔物も火山の中に棲息する魔物達しかいない。外に出ることはないし、外にいる魔物は、この中では生きていけない。
その後も、マグマや高温ガスの噴き出したり、いきなり火柱がたったりする。
「兄さん、もうそろそろ交代お願い。」
「…もうそんな時間か。」
アルキオネがシリウスにお願いすると、憂鬱そうに答える。2人には交代で、毒ガスの防御と酸素を収束させる結界の維持をしてもらっていた。風属性によって、通常の空気以外の気体が結界内に入らないようにして、なおかつ呼吸に必要な酸素を優先的に集まるものだ。結界を常時制御するため、消耗や疲労が多くなる。風属性に高い適性があって魔力量もそれなりの、2人しか頼まないことであった。
周りに気をつけつつ歩いていくと、地面から揺れが伝わってくる。
「地震…?いや、違う!足元からなにかっ!?」
私達は異変に気づいて、急いでその場から退避する。シリウスは結界を張ったまま跳躍し、アルキオネはソフィアを抱えて跳躍した。私は少しまでに出て警戒する。
地面から出てきたのは、巨大な亀だった。風による探知も電磁波による探知も、地中にはあまり効果がない。そのためギリギリまで気づくことができなかった。
「2人には、ここまで頑張ってもらったね。私が戦うわ。」
「「了解しました。」」
「お気をつけて。」
3人に手を振って、亀に近づいていく。大きさは約10メートルくらいだ。
少し近づくと、亀が首を伸ばして口を開けた。口の中から圧縮されたマグマが吐き出される。私は銀月を抜刀して、マグマを縦に両断する。
「防御魔術は準備してるのでご安心を。」
「ええ、助かるわ。」
アルキオネは防御魔術を展開する直前で、待機させているようだった。シリウスが張っている結界は、直接攻撃に対しては効果がないためだ。
(私の魔力だと広範囲に防御魔術をかけるのは難しいのよね…常時発動させる結界も使えないし、護るための立ち回りを考えないと。)
今までは騎士や軍人と共にいることが多かったため、相手を倒すことに集中すればよかった。しかしこれから先、戦いが苦手な人を護ることがあるだろうし、私1人で護ることもあるかも知れない。
(もっと強く、護れるようにならないとね。)
内心で気合を入れ直して、身体強化をして銀月を振るう。攻撃の瞬間、亀は頭を甲羅の中に縮めた。私の攻撃は甲羅に弾かれるが、同じ位置に何度も斬撃を当てていく。何十という斬撃を一点に当て続けたことで甲羅にヒビが入った。私は、ヒビの入った場所に突きを繰り出す。刀が少し刺さると、刀の先を起点に魔術を行使して、爆発を起こした。
内部からの圧力と衝撃で甲羅が弾け飛ぶ。その隙に急所を斬り裂いて、亀にとどめを刺した。
私は、相手が動かなくなったことを確認して3人の元に戻る。
「お待たせ。皆も大丈夫かしら?」
「こちらは大丈夫です。」
「皆様、あの亀の魔物の鼈甲は、貴重なものらしいですよ。なんでも軽くて頑丈なため、装備品にも使われるとか。」
ソフィアの話を聞いて、鼈甲を少し頂くことにした。冒険者として活動する時は、魔物の素材もいただいていたが、旅をしている場合だと容量の関係で、頂かないことが多い。もしかしたら今まで戦った魔物の中で貴重な素材もあったのかもしれない。
その後は、強力な魔物に襲われることもなく、マグマに対応しながら進んでいく。日が暮れた頃、漸く地底火山を抜けることができた。少し先に、幅の広い川がある。
「あの川の渡れば、トランスポートスクエアの城壁が見えてくるはずです。」
「では、渡りましょうか。」
私は川に手をつけて、水冷属性の魔術を発動させる。川の水を一部浮かせて凍らせることで、氷の橋を作り出した。川を渡ると街の面影が見えてくる。
ついに、ノーランド王国へ辿り着いたのだった。
ここにいる竜種は、他の場所とは別格の強さとなっている。以前戦った飛龍でさえ数倍の強さを持つと言われているが、ここには更に上位の火龍などの属性竜や、最高位に当たる黒龍、白龍も稀にいるらしい。
そんなわけで、地底にある洞窟を通っているが、色々な危険に襲われている。魔物については、マグマの中を泳ぐ魚やトカゲ型の魔物が多いが、今の私達にとっては問題ない強さだった。どちらかと言うと、火山というこの場所そのものが厄介である。
現に今も、天井からいきなりマグマが噴き出してきた。
「っ!?」
流れてきたマグマを、シリウスが暴風で吹き飛ばした。マグマの雨が私達の周りに降り注いだ。
「それにしても…事前に察知できないのは、かなり厄介な場所ですね」
「そうですね。セイン王国からであれば山越えの必要はないですが、魔族領から行き来することはほとんどないですからね。ここを通る人なんて滅多にいないと思います。」
ソフィアに聞いたところ、基本的にこの火山は、入ったら出ることができない場所として知られている場所のようだった。
魔族領との間にあるこの山脈は、天然の防壁の役割を担っているのだろう。ここにいる魔物も火山の中に棲息する魔物達しかいない。外に出ることはないし、外にいる魔物は、この中では生きていけない。
その後も、マグマや高温ガスの噴き出したり、いきなり火柱がたったりする。
「兄さん、もうそろそろ交代お願い。」
「…もうそんな時間か。」
アルキオネがシリウスにお願いすると、憂鬱そうに答える。2人には交代で、毒ガスの防御と酸素を収束させる結界の維持をしてもらっていた。風属性によって、通常の空気以外の気体が結界内に入らないようにして、なおかつ呼吸に必要な酸素を優先的に集まるものだ。結界を常時制御するため、消耗や疲労が多くなる。風属性に高い適性があって魔力量もそれなりの、2人しか頼まないことであった。
周りに気をつけつつ歩いていくと、地面から揺れが伝わってくる。
「地震…?いや、違う!足元からなにかっ!?」
私達は異変に気づいて、急いでその場から退避する。シリウスは結界を張ったまま跳躍し、アルキオネはソフィアを抱えて跳躍した。私は少しまでに出て警戒する。
地面から出てきたのは、巨大な亀だった。風による探知も電磁波による探知も、地中にはあまり効果がない。そのためギリギリまで気づくことができなかった。
「2人には、ここまで頑張ってもらったね。私が戦うわ。」
「「了解しました。」」
「お気をつけて。」
3人に手を振って、亀に近づいていく。大きさは約10メートルくらいだ。
少し近づくと、亀が首を伸ばして口を開けた。口の中から圧縮されたマグマが吐き出される。私は銀月を抜刀して、マグマを縦に両断する。
「防御魔術は準備してるのでご安心を。」
「ええ、助かるわ。」
アルキオネは防御魔術を展開する直前で、待機させているようだった。シリウスが張っている結界は、直接攻撃に対しては効果がないためだ。
(私の魔力だと広範囲に防御魔術をかけるのは難しいのよね…常時発動させる結界も使えないし、護るための立ち回りを考えないと。)
今までは騎士や軍人と共にいることが多かったため、相手を倒すことに集中すればよかった。しかしこれから先、戦いが苦手な人を護ることがあるだろうし、私1人で護ることもあるかも知れない。
(もっと強く、護れるようにならないとね。)
内心で気合を入れ直して、身体強化をして銀月を振るう。攻撃の瞬間、亀は頭を甲羅の中に縮めた。私の攻撃は甲羅に弾かれるが、同じ位置に何度も斬撃を当てていく。何十という斬撃を一点に当て続けたことで甲羅にヒビが入った。私は、ヒビの入った場所に突きを繰り出す。刀が少し刺さると、刀の先を起点に魔術を行使して、爆発を起こした。
内部からの圧力と衝撃で甲羅が弾け飛ぶ。その隙に急所を斬り裂いて、亀にとどめを刺した。
私は、相手が動かなくなったことを確認して3人の元に戻る。
「お待たせ。皆も大丈夫かしら?」
「こちらは大丈夫です。」
「皆様、あの亀の魔物の鼈甲は、貴重なものらしいですよ。なんでも軽くて頑丈なため、装備品にも使われるとか。」
ソフィアの話を聞いて、鼈甲を少し頂くことにした。冒険者として活動する時は、魔物の素材もいただいていたが、旅をしている場合だと容量の関係で、頂かないことが多い。もしかしたら今まで戦った魔物の中で貴重な素材もあったのかもしれない。
その後は、強力な魔物に襲われることもなく、マグマに対応しながら進んでいく。日が暮れた頃、漸く地底火山を抜けることができた。少し先に、幅の広い川がある。
「あの川の渡れば、トランスポートスクエアの城壁が見えてくるはずです。」
「では、渡りましょうか。」
私は川に手をつけて、水冷属性の魔術を発動させる。川の水を一部浮かせて凍らせることで、氷の橋を作り出した。川を渡ると街の面影が見えてくる。
ついに、ノーランド王国へ辿り着いたのだった。
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