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第4章 無慈悲な大陸と絶望の世界
3 鋼鉄の巨人
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街を出発して数日、私達は湿地帯を全力で駆け抜けていた。後ろから鋼鉄でできていると思われる巨人から追われているためだ。
事の発端は、数刻前に遡る。
岩場の多い地帯で野営を行い夜を過ごしていた。朝になって片付けをして歩き出してしばらくしたとき、地面に埋もれていたであろう巨人を踏みつけてしまったらしく、急に10メートルほどの高さの巨人が動き出した。急いで岩陰に隠れたが直接視界に入っていなくても察知しているようで、以降襲われ続けているわけである。
(鋼鉄の巨人って魔物なのか機械なのかどっちなのよ!?しかも障害物があっても正確に場所を捉えてくるって熱源察知でもしてるのかしら!?)
ぼやきながらも逃げているが巨人は速かった。見た目の重厚さに反して俊敏さや跳躍力も高いため厄介な相手である。
「…これならどうですか!?」
アルキオネが巨人の足が地面に着く瞬間、大地に穴を開けて穴の周囲を隆起させた。巨人の片足は、地面深くに落ちてバランスを崩して倒れそうになって…両手を地面につけて1回転し何事もなかったかのように動き出した。これには私達も瞠目する。
「逃げてもきりがないしここで倒しましょう!」
私は、周囲の魔力を収束させて術式を構築する。この辺りは木が少なく湿地なため、炎熱系の魔術でも周囲への被害は少ない。私と等身大くらいの炎弾を生成して、温度を上げた状態で巨人の足へと放つ。放たれた炎弾は、狙い通りに足の間接部分に命中して爆発を起こした。
シリウスとアルキオネも私の狙いを察してくれたようだった。アルキオネが魔術で冷気の槍を生成して攻撃した直後、シリウスの風を纏った魔槍による突きが直撃し、足の関節部分に亀裂が走った。
(素材がわからなかったから、あわよくばくらいだったけど成功のようね。)
高温による膨張と低温による収縮、さらに低温脆性を利用した攻撃だ。仮に効かなくても物理的な衝撃も伴うため無駄にはならない。
「片足は動かないはずだけど、どう動くかしら?」
「同じ攻撃をもう片方の足に!?」
巨人は膝をついたまま口を開いた。魔力が一点に集まってるのを感じて、慌てて散開する。次の瞬間高密度の魔力が、先ほどまでいた場所に命中し地面にクレーターができた。
「龍じゃないのだから、咆哮はあり得ないでしょ!?」
アルキオネの叫びが聞こえるが内心では同じ気持ちだった。何度も撃たれることを避けるために、シリウスは魔槍をもって直接打撃を与える。巨人はその身体の大きさゆえに近距離に攻撃することが難しい。
私も跳躍して接近しつつ銀月を抜刀して首筋を斬りつける。武器が巨人に当たるたびに甲高い音が響くが大打撃にはならなかった。
(やっぱり硬い…下手に斬りかかると手が痺れそうだわ。機械のように雷に弱かったら嬉しいけど…)
この世界にも電子機器は存在する。大体の国では魔術具のほうが普及しているが、地域によっては電子機器が主流のところもあるらしい。電子機器といってもコンピュータは存在しないが電球やモータくらいならあるそうだ。
アルキオネの風魔術が当たったことで巨人の視線が外れた。私はその隙に、頭の上まで跳躍して魔術を行使する。周囲の魔力を集めて雷を落とすが、電流が地面に流れただけで大したダメージはなさそうだった。
(機械と仮定して電気が効かないとなると、魔術によって動いている可能性が高いわ。自律している以上、魔力炉もしくは制御部分をどうにかしないと…一般的に考えて胴体か頭にあるかな?)
3人ばらばらに攻撃しても有効打がない状態だ。関節部分は脆いため攻撃が通りやすいが、足止めに有効なだけで致命傷には至らない。致命傷を与えるには、守りが堅い部分を破壊するしかないだろう。
「2人に有効な攻撃はあるかしら?」
「魔槍による全力の一撃なら、防御ごと抜けると思います。」
「わたくしも同じです。」
「了解。攻撃までの間は私が時間を稼ぐから、頭か心臓のどちらかに全力の一撃を頼むわね!」
巨人の周囲を魔力障壁を利用して飛び回りながら、銀月を使って斬る。弾かれて斬撃は通らないが気を引くには十分だ。さらに隙をみて魔術による炎弾や氷弾を放っていく。
シリウスとアルキオネの準備が完了したことを確認して、跳躍して安全圏まで撤退した。
私が下がると同時にシリウスの投擲した暴風を纏った魔槍と、アルキオネの暴風を纏わせた斬撃が巨人の頭を吹き飛ばす。ようやく巨人の動きが止まるのだった。
「シリウスもアルキオネも良くやったわね!巨人も流石に頭なくなると動かないみたいだっ!?」
突如として巨人から膨大な魔力があふれ出す。
「「「自爆!?」」」
私達は、全力でここから離れる。身体強化を最大にして地面ずれすれを跳躍するが、後ろから膨大な魔力の奔流を感じた。次の瞬間、溢れるばかりの閃光と衝撃が襲ってくる。
私は宝石を1つ砕いて魔力の縦を作る。シリウスとアルキオネも重ねるように魔力を縦の生成した。さらに私達は身体全体を魔力で覆う。
魔力爆発によって私達は吹き飛ばされた。さらに爆発の影響で辺り一帯の地面が喪失し、地面に巨大な穴が開く。
(っ!?この辺りの地下に空洞があるとか知らないんですけど!?)
閃光と衝撃と浮遊感に包まれながら、地中深くに落ちてゆく。閃光が止むと爆発によって巻き上げられた土砂や瓦礫が、降り注いでくるのが見えた。
事の発端は、数刻前に遡る。
岩場の多い地帯で野営を行い夜を過ごしていた。朝になって片付けをして歩き出してしばらくしたとき、地面に埋もれていたであろう巨人を踏みつけてしまったらしく、急に10メートルほどの高さの巨人が動き出した。急いで岩陰に隠れたが直接視界に入っていなくても察知しているようで、以降襲われ続けているわけである。
(鋼鉄の巨人って魔物なのか機械なのかどっちなのよ!?しかも障害物があっても正確に場所を捉えてくるって熱源察知でもしてるのかしら!?)
ぼやきながらも逃げているが巨人は速かった。見た目の重厚さに反して俊敏さや跳躍力も高いため厄介な相手である。
「…これならどうですか!?」
アルキオネが巨人の足が地面に着く瞬間、大地に穴を開けて穴の周囲を隆起させた。巨人の片足は、地面深くに落ちてバランスを崩して倒れそうになって…両手を地面につけて1回転し何事もなかったかのように動き出した。これには私達も瞠目する。
「逃げてもきりがないしここで倒しましょう!」
私は、周囲の魔力を収束させて術式を構築する。この辺りは木が少なく湿地なため、炎熱系の魔術でも周囲への被害は少ない。私と等身大くらいの炎弾を生成して、温度を上げた状態で巨人の足へと放つ。放たれた炎弾は、狙い通りに足の間接部分に命中して爆発を起こした。
シリウスとアルキオネも私の狙いを察してくれたようだった。アルキオネが魔術で冷気の槍を生成して攻撃した直後、シリウスの風を纏った魔槍による突きが直撃し、足の関節部分に亀裂が走った。
(素材がわからなかったから、あわよくばくらいだったけど成功のようね。)
高温による膨張と低温による収縮、さらに低温脆性を利用した攻撃だ。仮に効かなくても物理的な衝撃も伴うため無駄にはならない。
「片足は動かないはずだけど、どう動くかしら?」
「同じ攻撃をもう片方の足に!?」
巨人は膝をついたまま口を開いた。魔力が一点に集まってるのを感じて、慌てて散開する。次の瞬間高密度の魔力が、先ほどまでいた場所に命中し地面にクレーターができた。
「龍じゃないのだから、咆哮はあり得ないでしょ!?」
アルキオネの叫びが聞こえるが内心では同じ気持ちだった。何度も撃たれることを避けるために、シリウスは魔槍をもって直接打撃を与える。巨人はその身体の大きさゆえに近距離に攻撃することが難しい。
私も跳躍して接近しつつ銀月を抜刀して首筋を斬りつける。武器が巨人に当たるたびに甲高い音が響くが大打撃にはならなかった。
(やっぱり硬い…下手に斬りかかると手が痺れそうだわ。機械のように雷に弱かったら嬉しいけど…)
この世界にも電子機器は存在する。大体の国では魔術具のほうが普及しているが、地域によっては電子機器が主流のところもあるらしい。電子機器といってもコンピュータは存在しないが電球やモータくらいならあるそうだ。
アルキオネの風魔術が当たったことで巨人の視線が外れた。私はその隙に、頭の上まで跳躍して魔術を行使する。周囲の魔力を集めて雷を落とすが、電流が地面に流れただけで大したダメージはなさそうだった。
(機械と仮定して電気が効かないとなると、魔術によって動いている可能性が高いわ。自律している以上、魔力炉もしくは制御部分をどうにかしないと…一般的に考えて胴体か頭にあるかな?)
3人ばらばらに攻撃しても有効打がない状態だ。関節部分は脆いため攻撃が通りやすいが、足止めに有効なだけで致命傷には至らない。致命傷を与えるには、守りが堅い部分を破壊するしかないだろう。
「2人に有効な攻撃はあるかしら?」
「魔槍による全力の一撃なら、防御ごと抜けると思います。」
「わたくしも同じです。」
「了解。攻撃までの間は私が時間を稼ぐから、頭か心臓のどちらかに全力の一撃を頼むわね!」
巨人の周囲を魔力障壁を利用して飛び回りながら、銀月を使って斬る。弾かれて斬撃は通らないが気を引くには十分だ。さらに隙をみて魔術による炎弾や氷弾を放っていく。
シリウスとアルキオネの準備が完了したことを確認して、跳躍して安全圏まで撤退した。
私が下がると同時にシリウスの投擲した暴風を纏った魔槍と、アルキオネの暴風を纏わせた斬撃が巨人の頭を吹き飛ばす。ようやく巨人の動きが止まるのだった。
「シリウスもアルキオネも良くやったわね!巨人も流石に頭なくなると動かないみたいだっ!?」
突如として巨人から膨大な魔力があふれ出す。
「「「自爆!?」」」
私達は、全力でここから離れる。身体強化を最大にして地面ずれすれを跳躍するが、後ろから膨大な魔力の奔流を感じた。次の瞬間、溢れるばかりの閃光と衝撃が襲ってくる。
私は宝石を1つ砕いて魔力の縦を作る。シリウスとアルキオネも重ねるように魔力を縦の生成した。さらに私達は身体全体を魔力で覆う。
魔力爆発によって私達は吹き飛ばされた。さらに爆発の影響で辺り一帯の地面が喪失し、地面に巨大な穴が開く。
(っ!?この辺りの地下に空洞があるとか知らないんですけど!?)
閃光と衝撃と浮遊感に包まれながら、地中深くに落ちてゆく。閃光が止むと爆発によって巻き上げられた土砂や瓦礫が、降り注いでくるのが見えた。
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