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第2章 王女兼冒険者の世界を巡る旅
5 防御魔術と暗雲
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刀の完成を待つ中で、今日はユリア先生の授業の日だ。
「ラティアーナさんお待たせしました。では始めましょうか?まず、属性ごとの下級魔術は前回で一通り終わっているので、今日は無属性ですね。無属性魔術は属性魔術に含まれないものが該当します。主な無属性魔術は...」
約半年間、毎週授業を受けていることもあって、こういった場ではさん付けで呼んでくれるようになった。本来の教師と生徒の関係に近づいているし、なにより先生は好感が持てる方なので、距離が近くなって嬉しい。
無属性魔術について説明が終わったところでユリア先生が聞いてきた。
「ラティアーナさんは、守るための魔術を覚えたいのですよね?」
「ええ。もう後悔したくありませんから。」
ユリア先生には、以前魔術をどう使っていきたいか聞かれたので、私の希望を伝えてある。
「無属性の中には防御用の魔術があります。消費魔力に応じて強度が変わるので私はあまり使えませんでしたが...ラティアーナさんなら上手く使えるかもしれません。
下級の防御魔術として障壁と盾と呼ばれるものがあります。どちらも魔力障壁を生み出し強度も変わらないですが、違いとして障壁は指定の空間上に、盾は術者本人からの相対位置に生み出します。基本的には、どちらもそう変わらないですが、障壁は発動後は動かないので一定以上の負荷がかかると耐えきれなくなると壊れますが、盾の場合は負荷がかかっても術者ごと吹き飛ばされます。また、術者の移動に合わせてシールドの場所も変更可能です。」
2種類の防御魔術は、いざというときに使えるかもしれない。また、思いついたこともあるのでそのうち試してみようと思う。
「ラティアーナさんは魔力の制御が精密で、見極めも早いです。かなり難しいですが、相手の攻撃に対して必要最低限の範囲に、必要最低限の強度で展開することができれば...実用可能かもしれません。」
確かに、ギリギリの防御というのは一歩間違えれば防御が崩れて致命的だ。ただ可能性はゼロじゃないしやってみる価値はある。
こうして、新たな可能性を胸に秘めて、今日の授業は終わりを迎えた。
「ラティアーナさん...今度リーファス様に魔術の教師がつくことは聞いてますか?」
リーファスは私の弟でそろそろ4歳になる。どうやらリーファスは保持している魔力が大きくらしく、寝ているときに無意識に魔力を放出することがあった。お父様に報告したところ、早いうちから制御できるようにするため新しい教師を派遣することにしたそうだ。
「ええ聞いてます。離宮の管理は正式にわたくしになってますから。」
離宮の管理は今まで侍女頭のイリスが行っていたが、私がお披露目を迎えたことで変更された。といっても実質的な管理は今まで通りイリスが行い、私は報告を聞くだけだけど。
「まだ内々の決定みたいですが、イグニス侯爵家の令嬢のようです。」
私はユリア先生の言いたいことがわかった。イグニス侯爵家は魔術の名門で魔力の強さをとても大事にしている。リーファスが王族の中でもっとも強い魔力を持つとなったら、次期国王にするために暗躍する可能性もある。
現状、お父様は王妃の実子を優先しているため、大きな権力争いは起きていない。けれど今回の件で注目が集まりリーファスが貴族たちの支持が集まった場合、お父様はともかくレティシア様がどう動くか読めない。下手をすれば命が狙われる可能性もある。
「助かったわ。ありがとう」
「いえ、わたくしにできるのはこれくらいですから。」
その日の夜。イリアとリーナに新しくくるであろう教師の話をして自室で作業していた。
以前、授業が早く終わったときに教わっておいて助かったわね。
手にしているのは最近買ったペンダントだ。もともと純度の高い宝石類に魔力をこめておいて、魔術行使時に使い捨ての増強剤にするつもりだったが、一部をお守り用にする。発動したときに壊れるのは同じだが、魔力を込めた石に術式を刻んでおくと、使い捨ての魔術具になる。
私は、いくつかのアクセサリに防御用の術式を刻んでイリナとリーナに渡しておく。もう少しリーファスが大きくなったら、リーファスにもプレゼントしたいと思う。
「ラティアーナさんお待たせしました。では始めましょうか?まず、属性ごとの下級魔術は前回で一通り終わっているので、今日は無属性ですね。無属性魔術は属性魔術に含まれないものが該当します。主な無属性魔術は...」
約半年間、毎週授業を受けていることもあって、こういった場ではさん付けで呼んでくれるようになった。本来の教師と生徒の関係に近づいているし、なにより先生は好感が持てる方なので、距離が近くなって嬉しい。
無属性魔術について説明が終わったところでユリア先生が聞いてきた。
「ラティアーナさんは、守るための魔術を覚えたいのですよね?」
「ええ。もう後悔したくありませんから。」
ユリア先生には、以前魔術をどう使っていきたいか聞かれたので、私の希望を伝えてある。
「無属性の中には防御用の魔術があります。消費魔力に応じて強度が変わるので私はあまり使えませんでしたが...ラティアーナさんなら上手く使えるかもしれません。
下級の防御魔術として障壁と盾と呼ばれるものがあります。どちらも魔力障壁を生み出し強度も変わらないですが、違いとして障壁は指定の空間上に、盾は術者本人からの相対位置に生み出します。基本的には、どちらもそう変わらないですが、障壁は発動後は動かないので一定以上の負荷がかかると耐えきれなくなると壊れますが、盾の場合は負荷がかかっても術者ごと吹き飛ばされます。また、術者の移動に合わせてシールドの場所も変更可能です。」
2種類の防御魔術は、いざというときに使えるかもしれない。また、思いついたこともあるのでそのうち試してみようと思う。
「ラティアーナさんは魔力の制御が精密で、見極めも早いです。かなり難しいですが、相手の攻撃に対して必要最低限の範囲に、必要最低限の強度で展開することができれば...実用可能かもしれません。」
確かに、ギリギリの防御というのは一歩間違えれば防御が崩れて致命的だ。ただ可能性はゼロじゃないしやってみる価値はある。
こうして、新たな可能性を胸に秘めて、今日の授業は終わりを迎えた。
「ラティアーナさん...今度リーファス様に魔術の教師がつくことは聞いてますか?」
リーファスは私の弟でそろそろ4歳になる。どうやらリーファスは保持している魔力が大きくらしく、寝ているときに無意識に魔力を放出することがあった。お父様に報告したところ、早いうちから制御できるようにするため新しい教師を派遣することにしたそうだ。
「ええ聞いてます。離宮の管理は正式にわたくしになってますから。」
離宮の管理は今まで侍女頭のイリスが行っていたが、私がお披露目を迎えたことで変更された。といっても実質的な管理は今まで通りイリスが行い、私は報告を聞くだけだけど。
「まだ内々の決定みたいですが、イグニス侯爵家の令嬢のようです。」
私はユリア先生の言いたいことがわかった。イグニス侯爵家は魔術の名門で魔力の強さをとても大事にしている。リーファスが王族の中でもっとも強い魔力を持つとなったら、次期国王にするために暗躍する可能性もある。
現状、お父様は王妃の実子を優先しているため、大きな権力争いは起きていない。けれど今回の件で注目が集まりリーファスが貴族たちの支持が集まった場合、お父様はともかくレティシア様がどう動くか読めない。下手をすれば命が狙われる可能性もある。
「助かったわ。ありがとう」
「いえ、わたくしにできるのはこれくらいですから。」
その日の夜。イリアとリーナに新しくくるであろう教師の話をして自室で作業していた。
以前、授業が早く終わったときに教わっておいて助かったわね。
手にしているのは最近買ったペンダントだ。もともと純度の高い宝石類に魔力をこめておいて、魔術行使時に使い捨ての増強剤にするつもりだったが、一部をお守り用にする。発動したときに壊れるのは同じだが、魔力を込めた石に術式を刻んでおくと、使い捨ての魔術具になる。
私は、いくつかのアクセサリに防御用の術式を刻んでイリナとリーナに渡しておく。もう少しリーファスが大きくなったら、リーファスにもプレゼントしたいと思う。
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