王女の夢見た世界への旅路

ライ

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第1章 前世の記憶とお披露目

7 希望と方針

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 授業や弟との触れ合い、図書館での調べ物といった日常が過ぎていく。

 私は、これから学園に入学するまでの約5年間について考えていた。今のままでも知識は身につくし魔術についても実践できている。
 ただ、それだけでは足りないとも思っていた。

「ねぇリーナ。イリスを呼んでもらえないかしら?」

 イリスというのは、この離宮の侍女頭でリーナのははになる。リーナがイリスを連れて私の部屋にやってきた。

「あなたたちに相談というかお願いしたいことがあるのだけど...」

 私は2人に自分の考えていたことを伝えるとイリスが確認してきた。

「身分を隠して冒険者になりたい...ですか?」

「ええそうよ?2人にはそのためのサポートをお願いしたくて。」

 私が考えていたのは、冒険者として活動しつつ、色々な場所を見てまわるというものだ。この国だけでも領地によって様々な特色がある。直接でないと見えないものもあるだろう。授業のある日を除いても、5日連続で活動可能だ。

「流石に王女が1人で歩き回っていたら色々と問題もあるでしょうし、良いところしか見せようとしないでしょ?私はね、ありのままの国を見てみたいのよ。」

「でしたら、今までみたいにお忍びで良いのではないですか?王都以外となると護衛は、必要になりますが、資産家の令嬢くらいに誤魔化すことができると思いますよ?」

 リーナの提案はもっともだろう。実際に王都を散策してた時も王族とは思われてなかっただろうし。ただ、目的はもう1つあるのだ。

「国を見ることの他に、強くなりたいのもあるわ。学園に入れば対人戦や魔物との戦闘も経験するようになるし、卒業してからも有事の場合は、戦うことになる。王族である以上、今まで以上に命を狙われることだってあるかもしれない。」

 王侯貴族に特権があるのは、一般の兵士たちでは対応できない時、前線に立つからだ。私は、不当に特権を行使するつもりはないけど、いざという時は躊躇なく使う。だからそこ必要な責任や覚悟はするつもりだ。

「それにね。王族としての責務だけじゃないのよ?私個人としても、大切な人たちを護りたい。もう失いたくないし傷ついてほしくないから...もう2度と後悔しないために...」

 私の考えを伝えると、最初に賛成してくれたのは、意外にもイリスだった。

「...かしこまりました。離宮を預かる侍女頭として、精一杯尽くします。それにしても...ラティアーナ様はティアラ様のご令嬢ですね。決意した時の芯の強さも、覚悟を決めた時の瞳もとてもよく似ていらっしゃいます。ティアラ様もご結婚されるまでは、近衛魔法士団に勤めてましたから。」

「...私もラティアーナ様のために、全力を尽くします!」

 こうして3人で今後のことを詰めていく。
 対外的には私は、王城内にいることにして何かあった場合は、通信用の魔術具で知らせてもらうことにした。また、1部の信頼できる侍女や執事にのみ真実は伝えておく。情報が漏洩する可能性は、少しでも低い方が良い。
 もっとも当面は、日帰りできる程度に抑えるつもりだった。

「あとは、変装をどうするかでしょうか?ラティアーナ様がリーナとお忍びをしていた時は髪色を変えていたのですよね?」

「そうよ。金髪のままだと目立つから茶色に染めていたわね。」

 この国では、金髪や銀髪は上位の王侯貴族だけで、他は茶や濃い青、黒が多い。他国の人なら平民にもいるらしいが、王都では滅多にみない。

「あの染料は、もともと芝居用のもので水に濡れると簡単に元に戻ります...変装用の魔術具とかありませんか?」

「変装用の魔術具は王城の保管庫にはあるらしいわよ?私の名前を出せば借りることはできるけど、記録に残ってしまうから気が進まないわね...」

 王城で管理しているものは、王族なら借用可能だ。ただ記録が正式に残るため、調べられると面倒だ。
 すると、考えていたイリスから提案があった。

「昔...ティアラ様が公爵家にいた頃、似た魔術具を作っていた記憶があります。うまくいけば離宮に保管してあるかもしれません。」

 イリスの話を聞いて探してもらい、保管庫にあることがわかった。他の魔術具もたくさんあって...お母様も似たようなことをしていたのかしら!?
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