王女の夢見た世界への旅路

第1章 前世の記憶とお披露目

1 プロローグ

　街にお忍びで出掛けた時にコートを着た人に襲われた。
　侍女兼護衛のリーナと2人で王都の露店を見て回っていると、短剣を突き刺されて...庇ったリーナが倒れて、地面が赤く染まっていく。

　私は、リーナを助けるために回復魔術を使う。
　けれど、まだ幼い私の魔力では足りなくて、生命力をも魔術に充てる。
　リーナの傷をふさがっていくのと同時に、私の中で肉体よりもさらに深いところで、亀裂がはしるのを感じながら、私は気を失った...

　意識が遠くなっていくなか、私は夢を見る。
　それは、前世の記憶。
　ぼんやりとしているものが多いけれど、強い想いや記憶の残滓が流れていく。

　私は、エスペルト王国の第3王女、ラティアーナ・エスペルト。
　7歳で前世の記憶を思い出した時だった。