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後日談 オーフィア公爵夫妻の華麗なる外交

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 私たちの結婚を機に、オーフィア公爵家の爵位をカストルが受け継いだ。同時に、カストルの父であるポルックス様が就いていた財務大臣という立場も引き継いでいた。ポルックス様とカストルの母であるアイリス様は、王都にある屋敷から領地に帰り、今まで代官に任せていた領地運営に性を出していた。もちろん、私たちの相談には乗ってくれており、数は少ないものの家同士で長い付き合いのある社交には、出ることもある。

 さて、平民から公爵夫人というシンデレラストーリーみたいになった私だが、王城にあるパーティーのような沢山の貴族が集まる場では、下に見られることも多い。もっとも表向きは公爵夫人なため、あからさまな態度を取られることは少ないけれども。

 今日の社交は、城で行われるパーティーのようなものだ。カストルは、他の大臣や要職についてる方への挨拶に行っているため、私は1人でいる。

「あら、リリア様ではないですか?…美しいドレスですね。様になっていると思いますよ?」

「あら、ありがとう存じます。」

 ふふふ、と微笑みながら返す。ドレスに飾られてやっとですねと言いたいのだろうけど、この手の嫌味はよくあることだ。

「カストル様が選んでくれましたから、嬉しいです。アザレア様もお似合いですわ。ヴァイオレット様もそう思いますよね。」

「ええ、そうですわね。アザレア様はさすがお似合いです。」

 ヴァイオレットはアザレアを褒めるが、その際の表情をよく観察する。

「ドレスだけでなく宝石類もお似合いですわ。わたくしも是非知りたいですの。」

 私が社交でやるとこは、繋がりを得ることよりも貴族間の繋がりの調査だ。成人した後でも取り巻きは多い。格上の家だから渋々なのか、格上につくことで優越感に浸りたいのか、領地同士で繋がりがあるのか、当主の役職同士で関わりがあるのかをそれとなく聞く。貴族夫人は、自慢したい人が多い。少しでも自尊心を刺激しつつ聞き出せば、教えてくれる人が多かった。

 少しして人がひけるとカストルがやってきた。

「リリアお疲れ様。」

「カストル様こそ。…あとで新しい情報を渡すわね。」

ボソッと小声で呟くと、カストルはいい笑顔になる。

「それは助かるね。どこの部署も予算を取ろうと必死だし、領地の経営をよく見せようとしてくるから。情報があると精査しやすくて助かる。」

「手が足りなくなったら手伝うわ。だからこの後は…一緒に回りましょう。」

 私にとって、カストルと普段から一緒にいるだけで幸せだった。他の貴族相手にどう対応するか考える時もこうして挨拶まわりする時も、楽しみながらやっている。

 数年後…オーフィア公爵夫妻のことを、金庫の番人ないしは影の支配者夫婦と呼ばれるのであった。

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