悪役令嬢とヒロインはタッグを組みます!

ライ

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18 断罪の裏側

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「そもそもね、証拠なんて一切なかったのよ。」

「で、でもリリアさんの髪を模したカツラが部屋にあったって…」

 だからこそサフランは慌てたはずだ。部屋にカツラがあるのがバレて、リリアに罪をなすりつけようとした証拠になったのだから。

「あら、私は一度もカルミラ様とサフラン様の部屋にあったなんて言ってませんもの。目線を合わせただけで、どこにあるとも誰とも言ってないです。つまりはブラフです。」

 リリアはくすりと笑いながら教えてくれる。

「じゃあ、どうして犯人がわかったのよ?確信がなければあんなことできないでしょう?」

「今までの私への虐めや、リコリス様が突き落とされた時に近くにいた人。私とリコリス様が落ちぶれることで得をする人。そういった点と点を結ぶとロベリア様が怪しかった。もっとも確信したのは、私を断罪しようとしてきた時ですけどね。今までは影で動いていても、断罪しようとなると表に出てこないといけないですから。」

目が点になってマジマジとリリアを見る。

「ロベリア様はリゲル殿下と歳も近いです。筆頭貴族であるオーフィア公爵家の令嬢の次に、婚約者に選ばれる可能性が高いのは、侯爵家のロベリア様ですからね。それを前提に考えると、取り巻きのカルミラ様とサフラン様も共犯の可能性が高いです。リコリス様が突き落とされてから今までの間で、長期休暇はありませんでしたから、街の外には行かないはず…あとは、聞き込みと念入りな調査から、カツラを買った人がいたということと、捨てられた形跡が無いとなれば予測できます。」

リリアの考えに思わずため息が出そうになる。お兄様も腹黒だと思ってたけど、リリアには負けるかもしれないと思った。

「流石というかなんというか…あなたのことを少し恐ろしく感じるわ。」

「褒め言葉として受け取っておくわ。ともかく、犯人に目星がついた後は、証拠を見つけるか自白させるだけ。部屋の中は無理だから、自白させたのよ。人間っていうのはね、長い間立てていた計画が成功する直前に油断しやすいのよ。」

 リリアは肩をすくめて微笑んだ。

「それからリコリス様に謝りたいことがあるのだけど…ファーストキス取っちゃってごめんなさいね。」

「ファーストキス!?」

 私は突然出てきた言葉に驚いて、小声で叫んでしまった。そしてつい想像してしまい、顔が赤くなる。

「リコリス様を助けるために人工呼吸したのだけどキス扱いなのね。まさか精霊との繋がりが確立できるとは、思わなかったわ。」

 このゲームでヒロインは精霊に愛されていたが、繋がりは確立できていない。愛を覚えることで精霊と繋がり力を分け合うことができる。キスしたことで条件が達成できるなんて、想像すらしていなかった。

「ノーカウントよ!わたくしはまだ誰ともキスをしてない。良いわね!?」

 いかにせよ、世界が滅ぶこともなく、断罪される可能性もなくなったとみて良いだろう。
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