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13 長期休暇-後編-

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 公爵家に帰ってきて数日、リリアはお母様とお茶会をしているため、私は部屋で寛いでいた。するとノックが聞こえる。

「リコリス…いま大丈夫か?」

「ええ、大丈夫です。」

 お兄様は失礼すると言いながら部屋の中に入ってくる。

「その…今まで悪かったな。昨日家に着いたときに母上から叱られた。…学園が休みになってからお前のことを考えていたんだ。確かに学園に入るまでは我儘だったけど、人のものを盗るとか突き落とすとか、そのようなことは絶対にしなかった。それなのに噂が流れて、お前のせいだと思ってしまった。証拠などないのに決めつけてしまった。本当にすまなかった。」

 リゲル殿下もお兄様も休暇に入ってからは、きちんと話を聞いてくれるようになったと思う。

「わたくしも、今までの行いが悪かったと思います。これからは、繰り返さないようにしますから…1度お互いに無かったことにしましょう?それに…わたくしの大切な友人であるリリアさんのこと、よろしくお願いしますね。」

 最後にリリアのことを引き合いに出して、場を和ませる。

「わかった。本当にすまなかった。」

 まだ、ぎこちないもののお兄様と少し距離が縮んだ気がした。




 その頃、公爵家の庭園では私…リリアとリコリスの母であるアイリス様とお茶会をしていた。

「…さて色々とあなたには言いたいことがあるのだけれど、リコリスのことはどう考えているのかしら?」

「大切な友人ですわ。」

 私は笑顔を崩さずに返す。

「…あなたには感謝しているわ。リコリスは、今まで本心を隠していたけれど、今では想いをはっきり告げるようになった。」

「どういたしまして。」

「では、もう一つ。カストルとのことはどう考えているかしら?」

「私は、カストル様のことをお慕いしております。」

「我が家は公爵家です。カストルはこの家を継ぎます。その時、あなたは婚約者としていずれ公爵夫人とて支えることができると?」

「ええ。カストル様のことは私が支えます。功績が必要であれば、必要なだけ積み重ねましょう。…手始めに、私とリコリス様に降りかかっている問題でもどうにかしましょうか?」

 私の言葉にアイリス様は驚いているようだった。

「いいわ。そこまで言うなら見せていただこうかしら。」

「1年生の最後にある舞踏会。そこで決着をつけます。」

 私は、アイリス様に宣言した。
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