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11 長期休暇-前編-
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長期休暇が始まった。最初の5日ほどは、ガーベラとローゼ、リリアとの4人で王都を散策した。アクセサリを見たりお菓子を食べに行ったりする、まったりとした時間だった。
その後は、ガーベラもローゼも各々の領地に帰り、私も明日、王都を立つことになる。
今日はその前にリゲル殿下とのお茶会に望んでいた。学園に入学してからは、機会が少なくなっていたが元々は、2月に1度くらいの間隔で行っていたものだ。今までの恒例通り、王城にある庭園で行われる。
「リコリス嬢。待たせたかな?」
「大丈夫です、リゲル殿下。学園以来ですわね。」
この席に座っているのは、リゲル殿下との2人のみ。王城勤めの騎士やメイド、私付きのメイドのシーナも少し離れたところに立っている。2人きりでいるのは、学園に入学した最初の頃に1度のみのため、かなり久しぶりに感じた。
「あぁそうだな…そのなんだ、学園ではすまなかったと思っている。」
私は、リゲル殿下の謝罪に目を丸くした。
「父上からも言われたが、リコリス嬢がリリア嬢に何もしていないと言うのに問い詰めてしまった。…言い訳に聞こえるかもしれないが、よく思い返してみると辻褄が合わないことに気づいた。最近の…4人を見ていると、皆が楽しそうにしているのがよくわかる。」
学園は王立扱いとなっている。最高責任者は学園長だが、実際のところ国王陛下にも学園内部のことは共有されているらしい。
「いえ…学園に入るまではわたくしも我儘が過ぎたと思っております。疑われるのも仕方がないとも。」
「…確かに権威に言わせて使用人に当たっていたとは思う。だが、学園で言われているような陰湿な嫌がらせをしたことはないだろう?リコリス嬢の場合、良くも悪くも、何をするにしても堂々としていた。」
改めて言われると穴に入りたくなるが、思い返してみると、裏でこそこそやったことはないように思う。そもそも悪いとさえ思ってなかった私は、家の外では控え目にしていたものの、家の中では誰の前でも態度を変えてなかった。
「それから、学園が始まる前に母上がお茶会をしたいと言っていた。もうそろそろ、王太子妃としての勉強が始まるかもしれないから、そのつもりでいてくれ。」
その後は、色々なことを話した。当たり障りのない雑談だが、こんなに話したのはいつ以来だろうか。
お茶会の時間も終わりを迎えたころ、別れの挨拶をしようとして
「今日は楽しかったですわ。1月ほど領地に帰りますが、王都に戻ったらまたお茶会をしてくださいませ。」
「そうだな。俺も時間が取れるだろうから、お茶会だけじゃなくて街を少し歩こうか…それから、今のリコリス嬢の表現は、自然な笑顔で可愛らしく思う。」
最後の最後で、リゲル殿下からの言葉に顔から火が出るかと思った。その言葉を思い出すたびに顔が赤くなっていたと思う。
その後は、ガーベラもローゼも各々の領地に帰り、私も明日、王都を立つことになる。
今日はその前にリゲル殿下とのお茶会に望んでいた。学園に入学してからは、機会が少なくなっていたが元々は、2月に1度くらいの間隔で行っていたものだ。今までの恒例通り、王城にある庭園で行われる。
「リコリス嬢。待たせたかな?」
「大丈夫です、リゲル殿下。学園以来ですわね。」
この席に座っているのは、リゲル殿下との2人のみ。王城勤めの騎士やメイド、私付きのメイドのシーナも少し離れたところに立っている。2人きりでいるのは、学園に入学した最初の頃に1度のみのため、かなり久しぶりに感じた。
「あぁそうだな…そのなんだ、学園ではすまなかったと思っている。」
私は、リゲル殿下の謝罪に目を丸くした。
「父上からも言われたが、リコリス嬢がリリア嬢に何もしていないと言うのに問い詰めてしまった。…言い訳に聞こえるかもしれないが、よく思い返してみると辻褄が合わないことに気づいた。最近の…4人を見ていると、皆が楽しそうにしているのがよくわかる。」
学園は王立扱いとなっている。最高責任者は学園長だが、実際のところ国王陛下にも学園内部のことは共有されているらしい。
「いえ…学園に入るまではわたくしも我儘が過ぎたと思っております。疑われるのも仕方がないとも。」
「…確かに権威に言わせて使用人に当たっていたとは思う。だが、学園で言われているような陰湿な嫌がらせをしたことはないだろう?リコリス嬢の場合、良くも悪くも、何をするにしても堂々としていた。」
改めて言われると穴に入りたくなるが、思い返してみると、裏でこそこそやったことはないように思う。そもそも悪いとさえ思ってなかった私は、家の外では控え目にしていたものの、家の中では誰の前でも態度を変えてなかった。
「それから、学園が始まる前に母上がお茶会をしたいと言っていた。もうそろそろ、王太子妃としての勉強が始まるかもしれないから、そのつもりでいてくれ。」
その後は、色々なことを話した。当たり障りのない雑談だが、こんなに話したのはいつ以来だろうか。
お茶会の時間も終わりを迎えたころ、別れの挨拶をしようとして
「今日は楽しかったですわ。1月ほど領地に帰りますが、王都に戻ったらまたお茶会をしてくださいませ。」
「そうだな。俺も時間が取れるだろうから、お茶会だけじゃなくて街を少し歩こうか…それから、今のリコリス嬢の表現は、自然な笑顔で可愛らしく思う。」
最後の最後で、リゲル殿下からの言葉に顔から火が出るかと思った。その言葉を思い出すたびに顔が赤くなっていたと思う。
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