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6 タッグを組みませんか

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 私も気になって医務室に向かった。するとベットに寝ているリリアの姿が目に入った。リリアのことを診察していた医師が、私に気づいたようで

「リリアさんは、怪我を負ったばかりです。申し訳ないが」

「リコリス様なら構いません。」

 医師がリリアから私を離そうとするのを、リリアが引き止めた。

「私は大丈夫ですから。少しリコリス様と2人にして貰えませんか?」

 医師も噂を知ってるようで、2人きりにするのを逡巡するが、リリア本人の希望ということで席を外していった。

「リリアさん怪我は大丈夫ですか?」

「はい。軽い打撲なので動けないほどではないです。」

 階段から落ちた割には、軽い怪我のため少しホッとする。

「単刀直入に聞きます。リコリス様は、何がしたいのですか?」

「何が…したいですか?」

 質問の意図がわからないため繰り返してしまった。

「ええ。リコリス様とは、初対面のはずなのにずっと私のことを気にかけているように感じました。」

「わたくしは…」

  私は言葉に詰まってしまう。前世の記憶、この世界のことは誰にも話していないし、話したところで信じられるものでもない。リリアのことを気にしている理由が、説明できないでいると

「それとも…だからですか?」

 一瞬言った意味が分からなくて、驚きのあまり固まってしまった。

「どうして…誰にも言わずにいたのに…」

「私はこの世界について詳しくありません。この国の文化はフランスを模しているのに、言葉は日本語を使う。色々と不思議なところは多いですが…気づいたきっかけは、最初にお昼をご一緒した時です。あなたは、私のお弁当を見てパウンドケーキと言いました。でも…フランスだとパウンドケーキとは言わないんです。実際、街で売られている時もカトルカールと呼ばれてますからね。」

「随分昔から…」

「とはいえ、確証があったわけでもありません。この世界の別の国でイギリス文化を模している所がないとは言い切れないですから。ただ、あなたが前世の記憶があったとしても、私を気にかける理由がわからなかった。確証を持てたのは、あなたが最近イベントの進みが早いと呟いたからでした。」

「ちょっと待って!?わたくし、そんなこと言った覚えは…」

「ほとんど無意識だと思いますよ。私の虐めを見て、口が少し動いた程度です。あなたが私を気にしているのが気になって、私もあなたをよく見ていた。だからこそ、声は聞こえなかったものの、口の動きが読めました。…イベントというには、この世界は小説かゲームか、なにかしらのストーリがあるものなのではないですか?」

 色々とバレたこともあって、進むイベントを回避できずに追い詰められていたこともあって、この世界のことや断罪されたくないことなど全てを話してしまった。1度話し始めると、私の感情も滝のように溢れてきて、気づくと泣きながらリリアに想いをぶつけてしまう。その間、リリアは何も言わずに、ただただ私を抱きしめて撫でてくれていた。

「お互いが望む未来のために、タッグを組みませんか?」

 話を聞いたリリアは、最後にそう提案した。
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