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4 噂のはじまり

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 入学してから半年が経った。ゲームではしばらくの間、地道な好感度上げの期間に入る。大きなイベントもないため比較的まったりと過ごしていた。

 私の方にも変化があって、取り巻き…までは行かないものの、仲の良い友人が何人ができた。リリアについては、生徒会のメンバーとの仲が深まってきているようだった。特定の誰かではなく、全員の好感度が上がっているように思う。

(このゲームに逆ハールートなんて、あったかなぁ?)

 進んでいるルートが読めないが、着々も時間が過ぎていく。
 そんな中で、生徒会室に入るとリゲル殿下から呼ばれた。

「リコリス嬢。最近、リリア嬢の教科書が無くなったり、水をかけられたりしているようでな。本人は、何も言わなかったが、どうやらリコリス嬢が取り巻きの令嬢にやらせているという噂がある。」

 リゲル殿下は、どうなんだという視線を向けてきた。

「っ!?わたくしは、何も知りません!もちろんやらせるなんてこと、もっての外ですわ!」

 私にとっても寝耳に水だ。

「ならいい。」

 話が終わったようで、私も席に戻る。ここ最近、平和な時間が続いてきたため、驚きを隠せない。少しすると、リリアもやってきて生徒会の仕事が始まる。仕事といっても基本的には書類仕事が多い。各活動の活動報告や財務報告、陳情の受理と規則の確認。他にも、各行事の運営も行う。
 書類仕事をしながらチラッとリリアの様子を確認する。特に変化があるようには見えなかったため、少し安心した。




 それから普段のクラスの中で、リリアの様子をちょくちょく確認していた。表向きリリアの身に何かあるようには見えない。

(あくまで噂だけなのかしら?持ち物までは確認できないけど、授業に困っている様子もないし…濡れてることもないのよね。)

 座学が終わり、次の授業は音楽のため部屋を移動する。途中、忘れ物をしたため教室に戻ると話し声が聞こえてくる。

「ねぇ、リリアさん。あなた最近調子に乗ってないかしら?」

「生徒会でも周りの皆様に媚び売ってるようですし…立場を弁えたらどうですの?」

聞こえてくる声は、私の友人の侯爵令嬢のガーベラと伯爵令嬢のローゼだった。

「私は媚をうっているつもりはないです。…あなたたちこそ、リコリス様のことを利用しているだけではないですか。」

「っ!?言わせておけば!」

「あなた覚悟なさい!絶対っ後悔させてあげますわ!」

「私は逃げも隠れもしないので、いつでもどうぞ。」

リリアはそれだけ言うと教室から出てくる。私は急いで壁のところに隠れる。悪いことをしているわけではないが、つい隠れてしまった。
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