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月光のエルフライド 前編
プロローグ 拝啓、指揮官様へ
しおりを挟む拝啓、指揮官様へ。
皆の声が響く、民宿のダイニングで、今これを書いています。
騒々しいのは嫌いだったんですが、これも悪くないと思う自分がいる事に驚きつつ、ペンを走らせています。
さて、本題に入りましょう。
これを読まれている頃にはもう、私はこの世から既に去っている事でしょう。
しかし、悲しまないで下さい。
私はこの結果には、こころから満足しているのです。
何故なら、私の人生は、あの廃校から始まっているからです。
その前後は課程でしかなく、無味無臭で、閉塞した灰色の日々を消化的に終わらせてきただけです。
しかし、それを変えたのは救ってくれたのは間違いなく、貴方です。
貴方だったからなのです。
私はあの廃校で、確かな家族を得て、愛情というモノを知る事が出来ました。
偽りだと思っていたモノが、本物だと知れました。
そして、あの夢のような2か月間は私の確かな宝物へと変わり、何よりも、世界よりも変えがたいものになりました。
さて、世界をも欺いた、偽りの指揮官殿。
一つ、お願いがございます。
私亡き後、チームの心はバラバラになる事でしょう。
最早、私達を繋ぐ絆、線は完全に断ち切られ、何を信じていいか路頭に迷うはずです。
ですが、安心してください。
こうなる事は、当初より予見していました。
手は既に、打ってあります。
彼女たちを説得して、もう一度エルフライドのコックピットに座らせて下さい。
そうすればもう一度プログラムが作動し、彼女たちは元通りになります。
私の存在も抹消される事でしょう。
正直言えば、私は寂しいのかもしれません。
悲しいのかもしれません。
何だか、よく分かりません。
だけども、そう思う事、それすら何だか素晴らしいモノの気がするんです。
かけがえのない無いモノだと思うんです。
何度も繰り返しになりますが、最後に言わせてください。
本当に、本当にありがとうございました。
さようなら、世界で一番愛しています。
本物のミシマより、親愛と敬愛と情熱を込めて。
応援ありがとうございます!
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