電光のエルフライド 

暗室経路

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幕間 喧騒のエルフライド

第六話 パーティーは前途多難

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 小ミーティングを終えた俺たち電光中隊は、ちょうどお昼時を迎えていた。 
 とりあえず全員で食堂へと行くことに——なったのだが。
 
 「お疲れ様です!」

 「お疲れ様で——」

 「お疲れ——」 

 道行く先々で兵士たちから敬礼の荒らしを受けた。
 中には俺より上の佐官クラスの幹部まで含まれているのだから、その歓迎ぶりがうかがえる。
 それだけ電光中隊が穏健派の希望であることがうかがえた。

 まあ、そのせいで食堂に到着するまでにいつもより五分ほど時間がかかってしまった。
 しかもラッパが鳴ってすぐだったためか、食堂には長蛇の列が出来ていた。
 俺たちが最後尾に並ぶと、キラキラした目で兵士たちからの視線を受ける。
 ああ、なんだろう。すごく、居心地がわるいなあ。
 そう感じていると、何やら後方からバタバタと走り寄ってくる気配があった。
 
 「お前ら、脇に避けろ。教育隊だ」

 シノザキがキノトイらを壁際に寄せていた。
 良くわからないが俺も壁際に寄る。
 見れば、胸に白いネームをつけた汗だくの若い上等兵たちが、当然のように列を抜かしていく。
 それを受け入れるように、俺たち以外の兵士たちも壁際に寄って先に行かせてやっていた。
 
 「シノザキ伍長、教育隊って?」
 
 シノザキ大好きハブ・キョウコが聞くと、シノザキはいつもの淡々とした口調で答えた。
 
 「階級をあげる前に、それに準じた特別な知識を習得する必要がある。その訓練を四か月以上受けるのが教育隊だ。お前らも、同じことを数週間前していた」 

 「奴らは飯食う時間も満足に与えられない。だから、食堂の列は抜かさせてやるんだよ」
 
 シノザキの解説を、シミズ伍長が補足した。
 飯食う時間も満足に与えられないって……それってどうなんだよ?
 平時なんだから飯くらいゆっくり食わせてやったらいいのに。

 「あいつらの飯食ってるところ見てみな、あり得ないスピードでかっこむからよ」

 「へえー!」
 
 シミズ伍長がトキヨにそんなことを教えていた。
 トキヨも良い反応をするので、電光の男組からはすっかり気に入られている。
 シミズ伍長はまるで自分の妹かの如く、トキヨを可愛がっていた。
 次点でセノだ。
 セノに至ってはなんというか、ほわあっとしていて、もはや非戦闘員なのでマスコット化している。
 たまにトドロキ伍長が肩車をしてやってるのを何度も目撃した。
 彼女らも可愛がってくれる男陣に懐いていた。 
 
 まあ、なんというか。
 やはり、男陣に気に入られるのはトキヨとかセノとか、そういう系統の奴なんだよなあ。
 たまに信じられないことをやらかすけど、そういうところも愛嬌に思えるし。

 女性陣はそういうのはイラっとくるのか、トキヨへの当たりはキツイ。 
 キノトイ筆頭のクソまじめ組はシノザキに大層懐いていた。
 何かとこういう風に時間があればシノザキにまとわりついている。
 
 俺はというと——。

 「指揮官。今、合衆国の勉強、良いですか?」

 「おう、構わんぞ」

 最近よく絡むといえばユタ・ミアだ。
 彼女は廃校にいたころ、エルフライド乗りながらエンジニアとしても活用できるマルチプレーヤーとして活動していた。
 その時、エンジニアは合衆国の人間で、当然ながら技術習得の為には合衆国語の習得が必要だった。
 そうして彼女は日常会話程度の語学力は有しているのだが——まあ、俺からいわせりゃまだ全然だ。
 合衆国人関係者のいない今、習得を急ぐ必要は無いが、別にあって困るものじゃない。
 時々こうして話し相手になって練習しているのだ。 

 「お題をください」

 「じゃあ、店での会話とかにするか。お前は値切れるとこまで値切ってみろ」

 「はい」 

 並びながら思い思いの会話をする俺たち。
 少ない時間でもこうやって何かを得る為に会話するように義務付けてある。
 これが現在固まりつつある電光中隊のカラーだった。








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 まあ、そんなこんなしてたら待ち時間なんかあっという間だ。
 食堂中の注目を浴びながら、俺たちは食事を手に、まとまって席に座ることが出来た。
 さあ、キノトイの号令で頂きますをしようかと思った最中、
 
 「トキヨがいません」 

 全員そろっているか確認していたキノトイがそう言った。
 食堂を見渡してみると、食事の載ったプレートを持ったまま、トキヨがキョロキョロとしながら歩いていた。
 そして、何かを見つけたかのようにピタッと動きを止める。
 どうやらシミズ伍長の言っていた、教育隊の人間がメシを早く食うところを覗き込んでいるようだった。 

 「はやいッ!」

 噂のパイロットに覗き込まれ、動揺する教育隊の面々を前にしながら——トキヨは大きな声でそんなことを言っていた。
 当然、自然と食堂の視線はトキヨへと向かう。
 シミズ伍長はそれを見て、暫く呆気にとられた後、
 
 「あ、アイツ……まじか」

 ぷふーッと思わず吹き出していた。 
 ヒノ・セレカが顔を真っ赤にしながら立ち上がり、雑多な食堂の合間をつかつかとトキヨに近づいて行って——。
 
 「いたい!」

 トキヨの頭をボカンと一発殴った。
 ヒノは今にも火が出そうな真っ赤な顔をしたまま、

 「お前な……恥ずかしいから、もう堪忍してくれ」
 
 そう言われたトキヨは、自分のプレートを見つめて絶望した表情を浮かべる。

 「あー……お茶こぼれた」

 「あの、もう……ちょっ、早くこっちこい、私のやるから」

 「濡れたあ」
 
 ヒノに引っ張られて、取り急ぎ去ろうとする二人。
 波打つような静寂。
 食堂中がその様子を黙って眺めていた。
 なんといったらいいか……そんな表情を浮かべていた兵士たちは、暫くしてやっと自分たちの会話に戻った。
 そんな時——。

 「あまりにも、あの子は目に余ります」

 キノトイがそんな言葉を吐いていた。

 「指揮官がせっかく上げた兵士たちの士気を、彼女は台無しにしました」

 俺たちの視線を浴びながら、彼女は淡々とそう口にした。
 これは——朝の演説のことを指しているのだろう。

 彼女に視線をうつすと——キノトイは、ゾッとするような横目で俺を見ていた。
 その様子はまるで——「あんなことをやらかす人間トキヨは、電光中隊ここに必要ない」そう言っているようだった。
 
 ——これは、あの作戦が終わってから感じていたことだが。
 キノトイは第八階層まで降りてから、明らかに性格に変容が見られた。

 非常に合理的で、人間性のようなものが少し失われたような言動が増えたのだ。
 かつてのキノトイは、仲間を重んじ、一緒にいられないのならば心中を選ぶようなヤツだった。
 それが今は——。

 「キノトイ、そう思うならお前はまだまだだな」

 「……はい?」

 「ここにいる連中——夜、クそして寝る前に考えるだろうさ。あんなトキヨみたいなのに俺たちは使命を背負わせてたのかってな。逆に躍起になるよ」

 「……プラスに働くでしょうか?」

 「そう考えるような連中じゃなきゃ、俺は切る」

 ここは食堂内。
 多数の衆目を浴びるし、聞かれるかもしれない。
 そんな中での俺の発言に、キノトイは眉を寄せていた。

 「不用意な発言はよしてください」

 「事実だ、言わない方が不誠実だよ」

 「……もう、いいです。それより、シミズ伍長」

 「ん?」

 「センザキ軍曹に何か吹き込むのはもう止してください」

 氷のような目でシミズ伍長を射貫くキノトイ。
 シミズ伍長は圧倒されたように、萎縮していた。

 「お、おう。悪かった」
 
 そこでようやくヒノに連れられ戻ってきたトキヨは、満面の笑みで俺たちに向かって親指を立てた。

 「食うの、むっちゃはやかった!」

 





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 食後、俺たち電光中隊はそれぞれ分かれて活動することになった。
 キノトイらはシノザキの組んだトレーニング、フルハタ達は武道場で稽古するらしい。
 俺は叔父さんとパーティーの打ち合わせがあったのを思い出し、本部のあるでっかい棟へと赴いていた。

 偉そうなことに、叔父さんは個室を陣取っている。
 中に入ると、見覚えのある背広のおっさんが叔父さんと話していた。

 「おっ、大尉殿。こちらから伺おうと思っていたところなんですよ」

 ……公安の刑事がこんな堂々と出歩いて大丈夫なのか?
 叔父さんは俺の顔を見るなり、とぼけた顔を浮かべた。
 
 「あれ、何しに来た?」

 「時間が空いたから、パーティーの打ち合わせに来たんだよ」

 「ああ、パーティーな。その話を俺もしたかったんだが……」 
 
 チラリと横にいる刑事に視線をうつす叔父さん。
 刑事はいつもの飄々とした口調で説明を開始する。

 「パーティー当日にね、襲撃しようとしてる連中がいるって情報が入ったんですよ」

 軍のパーティーに襲撃?
 当日は厳戒態勢だろうし、よほどの連中じゃなきゃそんなの成功しないだろう。
 そもそも、一般公開されていない情報がなぜ外に漏れてるんだ? 
 その疑問は、刑事の次なる言葉でつながった。

 「〝跳鴉トビカラス〟って連中、聞き覚えあります?」
 「……まあ、それなりにな」

 跳鴉トビカラス——軍の間じゃそれなりに有名な連中だ。 
 たしか宇宙人騒ぎで退役した軍人で構成される暴力団だとかなんとか。
 しかも、そいつらは元はかなりの精鋭——主流派が所持する部隊の出が多いと聞く。

 おそらくその関係で跳鴉トビカラスと繋がっている奴が主流派にいるのだろう。

 勇んで戦勝パーティーを企画しといて、元身内から妨害されようとしている……杜撰な話だ。

 各国の軍部を招いたパーティー。

 もしその襲撃を許してしまえば、派閥関係なく軍はメンツ丸つぶれ、大恥をかいてしまう。

 「奴らほら、元軍人だから組織力もあるし、腕が立つ連中でしょう? あっちゅう間に首都の歓楽街の顔役に収まっちまってさ。ほかのヤクザ連中も怯えちまって手がだせねえ始末なんでさ」

 「ほう、それで?」

 「そいつらがウチとしても目障りでねぇ。テロを起こす前に、どっかに同じくらい腕の立つ連中がいないかと探してるんですわ」

 ヘッ……世も末だな。
 警察がチンケなヤクザ相手に、軍をけしかけて始末しろってことか?
 それも——本心ではないはずだ。
 今、軍部が独断で動けばただでは済まない、それを公安は分かっているはずだ。
 どうせ無理難題をもちかけて、

 「じゃあ、こっちでなんとかやってみますわ」

 みたいな感じで自分らで対処して、

 「ああ、あの件はやっておきましたよ」

 みたいな感じで恩を売る気だろう。
 ああ、こざかしい。
 まことにこざかしい。
 クソみたいな連中だ。 
 なら、逆に乗ってやるよ。
 下手したら主流派に貸しを作れるチャンスだ。
 
 「主流派の連中は情報が洩れているのは知ってるのか?」

 「もちろん、知ってます。でも、漏れるはずない情報が漏れたんで、スパイがいるんじゃねえかって疑心暗鬼になって身動き取れてねえんですわ」
 
 ほう……それを知らせたのは公安だろうか?
 あっちにいい顔、こっちにいい顔しているのかもしれない。
 もしそうだとするなら、叔父さんの友達だろうがいずれ始末をつける対象の一人だ。

 「その跳鴉トビカラスのパトロンは誰だ?」
 
 俺が聞くと、刑事はにこやかに笑った。

 「察しがいいですね。〝ゾルクセス〟……だとは思うんですけどねえ。奴らあんまり尻尾みせないんで憶測ですが」

 また、〝ゾルクセス〟か。
 ゴキブリみたいに何処にでも出てきやがるな。
 まあ、今回は見逃してやろう。
 今は跳鴉の始末だ。

 「そもそも、パーティーはいつだよ?」

 「一週間後だ」

 おいおい、それじゃ急がないとやばいな。

 ふむ……頭の中で軽く計算してみたが、三日もあればカタがつくか。
 首都近郊にはいっぱい知り合いがいる。
 それも、どこの組織にもマークされていない人材たちだ。
 そいつらを使うのも面白いかもな。
 
 「刑事さん、飛べないカラスどもの巣は知ってるのか」

 「今ここにありまっせ」

 刑事はひらひらと資料を振る。
 俺はそれを奪い取って、得意の高速読みする。
 場所は歓楽街の〝クラブ102〟構成員は二十八名——よし、全文記憶した。
 片手落ちの資料だが、補填すればいけるな。 

 「三日以内にケリをつける」
 
 俺の発言には、いつも飄々としていた刑事が眉をピクリと動かしていた。
 へっ、気取ったポーカーフェイスが歪んでやがる。
 いいざまだ。  

 「……いや、別に大尉どのに頼みにきたんじゃないんだよ。俺はあんたの叔父さんに話をつけに来たんだ」
 
 まあ、そうだろうな。
 電光中隊はそんなことをする部隊じゃない。
 仮に公安が本当に軍部の連中をけしかけようとしているのだとしても、俺意外なら絶対手をこまねくだろう。
 軍人たちは穏健派に限らず、縦社会だし自由な発想ができる者は少ないからな。
 上にお伺い立てている間に一週間なんかあっという間だ。

 叔父さんは肩肘ついて、呆れたように俺を見ていた。
 
 「おいおい、さすがにエルフライドの出動は許可できないぞ? 奴らの本拠地は街中だ」

 「んなことわかってるよ」

 「じゃあ、どうするつもりだ?」

 「まずは主流派と話をつけてくる。情報も欲しいしな」

 「はあ? 主流派、だと?」

 「ああ、月光のある〝イワハ基地〟に乗り込んでいく。あそこから歓楽街はまあまあ近いしな」

 「面会だろうが部隊を動かせば両派閥の戦争になるぞ?」

 「俺と、フルハタだけで行く。元々、月光の指揮官とは話もしたかった」
 
 穏健派が代わりに主流派の不始末を片づけるのだ。
 この件は主流派の連中にこれでもかってくらい恩を着せないといけない。 
 主流派の基地に行くと聞いて、さすがに刑事は苦笑していた。 

 「大尉、正気ですか? 二人だけで行くって……殺されますよ?」  

 「まあ、任せろ。あと叔父さん、〝第104歩兵大隊〟の中でも腕っぷしの良い連中を集めといてくれ」

 〝第104歩兵大隊〟は唯一穏健派でまともに戦闘可能な部隊だ。
 主流派より数は劣るが——優秀な駒となりうる。

 叔父さんはそれを聞いて、深いため息を吐いた。
 長い付き合いで分かる。
 これは、了解の意だ。
 
 「いつまでだ?」

 「今からだよ。うまくいけば今晩中にカタがつく。俺が指示出すまで待機させとけ」

 「……また、報告書が増えるぞ?」

 「構わねえよ。後先考えるキャラなら電光の指揮官なんてやってないっての」

 今晩中と聞いて、あからさまに刑事は呆気にとられていた。
 こういうのは電撃戦が望ましい。
 時間をかければかけるほど、情報というのは外に流れていくからな。

 「大尉どの、警察として言いますけど、あんまり街中で暴れられても困りますよ?」

 「ああ、わかってるよ。ちなみにお前らも働いてもらうぞ。連中に、警察がガサ入れする予定があると情報を流して、慌てさせろ。それくらいはできるだろ?」

 「……まあ、構いませんが。それも今からですか?」

 「ああ、今からだ。なんとか死者は出さんようにするが、〝跳鴉〟は全員病院送りになる。うまくヤクザ間の抗争で処理しといてくれ。刑務所に差し出す人間は〝跳鴉〟と敵対している組織ヤクザから出す。その調整もやっておいてやるよ」

 「死者を——出さない?」

 「なんだ、出してほしいのか?」

 「……ふっ、いやはや大尉どのは——」

 「最後に」

 俺は刑事の眼前まで近づいて、にらみつけてやった。

 「お前、どっちにも良い顔しているのか?」
 
 主流派、穏健派、どちらにもしっぽ振っていい顔してるんならこちらのリスクのが多い。
 おそらく公安は勝ち馬に乗るつもりだろうが、土壇場でこちらの情報まで差し出されたら敗北のリスクが高まる。

 俺の中には〝逆転戦術〟と言って負けそうに演出する戦術もあるのだ。

 勘違いして向こうにつかれたら逆転戦術どころか本当に敗北する可能性だってある。

 「そんな訳ないじゃないですか? どっちにも出入りはしてますが——」

 やっぱりそうか——そこで俺の中に潜む小型犬がアオーンと遠吠えをした。
 ようするに、ブチギレたってことだ。

 「あんまりはしゃぎすぎると、ぶち殺すぞ」
 
 俺が釘をさすように脅しをかけると、刑事は額に血管を浮き上がらせてブチギレた。

 「……おい、警察相手に脅しか、このやろう!」

 「なんだ、やりあうのか、コラァッ! お前の発言を全警察官からの宣戦布告だと受け止めるぞ? 俺は英雄だ、穏健派の若い奴らに呼びかけりゃ全員がライフル持って集まるだろうな」

 「警察が何人いんのか知ってんのか、コラァッ!」

 「警察なんざ軍にとって些末なもんでしかないんじゃ、ボケ! こちとらエイリアン相手に全面戦争をしかけたオモチャの兵隊だぞ? そっちは軍との戦争と聞いて何人逃げ出すんだろうな? 俺の予想じゃ三千人も残らねえよ! その残った奴ら全員必ずあの世行きだ! 渋滞する前に地獄行きのチケットをエコノミー予約しとけ!」

 そこまで言い合ったところで、叔父さんがあきれ顔で口をはさんできた。

 「ミシマ大尉」

 俺と刑事が同時に顔を向けると、叔父さんはいつも通りののほほんととした顔で、

 「もうやめろ。そんでついでに謝っておけ。大事なビジネスパートナーだ」

 「八ッ、失礼いたしました!」

 俺は呆気にとられる刑事に敬礼し、部屋からそそくさと出ていく。
 ——そして、叔父さんによくぞ止めてくれた感謝していた。
 心臓はバクバクと脈動していた。
 アドレナリンが噴出し、手の震えが止まらなかった。
 最近、よく感情が抑えきれなくなることが多い。
 今朝の演説が良い例だ。
 これも寝不足の影響だろうか——そんなことを考えながら、俺は廊下をひたすらズンズンと歩いていた。
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