アカシの小さな冒険

全ての始まり

彼女の物語2

「ええと…」アカシは言葉に詰まり、しばらく綾香の顔を見つめた。信じがたい事実に直面しているせいか、心の中で考えがまとまらない。

「ちなみに私は経営・流通学科よ」と綾香はあっさりと告げた。その言い方はどこか余裕があって、自分の秘密が暴かれても平然としているように見える。「それに、場所も別だから、あなたが気づかなかったのも当然よね」

アカシは眉間にシワを寄せた。「いや、待って。それはいいとして…なんで俺の家を特定できたんだ？」

綾香は少しだけ笑って、さらりと答えた。「実はね、偶然、通常サイズのあなたを見つけたの。あまりに不自然なところにいたから、つい気になって。だから、尾行して家を見つけたのよ」

彼女はその時の詳細を話した。

回想

私は望月綾香。経営者の娘という以外はどこにでもいる女子大生だ。帰り道、家に帰ろうとしたのだが、途中でナンパがしつこくて少し遅れてしまった。

思わずため息が出る。なんでこうなってしまったのか、辟易していた。まあ、自分で言うのもなんだけど、私は美女の部類に入ると思う。顔は童顔だし、小柄で、胸も最近少し成長した気がする。

「こんなところで立ち止まってたら、遅れちゃうじゃん…」

とりあえず迎えの車を待たせており、急いで移動した。途中、一人の男が道端に立っていた。

「彼、何してるんだろう…？」

気になり、思わず隠れて観察してしまう。少し経つと、その男は突然いなくなった。

「え？どこ行ったの？」

何なのか気になったが、これ以上待たせるのは良くないと感じ、今日は諦めた。

「もう、急がなきゃ！」

私は急いで歩き出した。心の中で「今度はナンパに引っかからないようにしよう」注意しながら車に移動した。

車の中で考えながら、綾香は自分に問いかけるように独り言をつぶやいた。

「…あれは幻覚だったのかな、それとも神隠しにでもあったのか…」

不安そうに視線を窓の外へ向ける。だが、それ以前に気になることがあった。彼女の中に、疑念が沸き上がってきた。

「あの男、いったい誰なんだろう？…」

とにかく、大学の敷地内で見かけたのだから、生徒か、その関係者である可能性が高い。

「大学の関係者なら、何かしら情報があるかもしれない…調べてみよう」

そう決心すると、綾香はさっそく調査に乗り出すことにした