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94.「千尋ちゃん、千歳ちゃん、起きたのか?良く、僕がここに居るって分かったな」
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「うん、起きたらお兄ちゃんが居なかったけど、何となく、ここに居るんじゃないかと思ったの、千歳さんも、同じ感覚だった。やっぱり、ここに居たんだね」
ふんすと鼻を鳴らして、千尋ちゃんが自慢げに答えた。
突然、2人の持っている、昇り旗とおもちゃ銃が光りを放つ。
「え・・・、これは・・・?」
「な、何?」
2人は驚きつつも、自分の武器と言うには頼りの無い物品の光りの放つ様子を見ている。物品達はぐにゃりと徐々に姿を変えて、そして、昇り旗は剣に、おもちゃ銃は弓に変わった。
それぞれ、あの異世界での千尋ちゃんと千歳ちゃんが持っていた、あのいかにも神秘的な見た目のあの武具だ。
「・・・・・・なっ?・・・2人共、どうしたんだ?その武器は?、何故急に姿を変えて・・・」
僕が2人に聞くと、
「わ、わかりません、いつの間にか、昇り旗が剣に変わっちゃいました・・・。でも、これ・・・・・・おかしいな、初めて見る剣なのに、何か、今まで持っていた様な気がします」
変わってしまった昇り旗、剣を見つめる千歳ちゃん、その目は驚きより、どこか、安心している様な、無くした物を見つけた時の様な顔をしている。
「お兄様の記憶が戻りつつあるから、貴女達にも影響が出てきているのですわ。お兄様が分ったのなら、貴女達も分るでしょう?自分自身が何者かについて」
ソルフィちゃんは、武具が変化した理由を、さも当然という風に言った。
「・・・・私達が何者か・・・・・私は、お兄ちゃんの妹だもん・・・・私は、中学生の頃までお兄ちゃんと家で暮らしていて、そして、お兄ちゃんが家を出て行ったら、お兄ちゃんとアパートで二人暮らししている、お兄ちゃんの妹だよ!」
「そうです、私も、幼い頃からずっと、お兄さんと一緒に居て、良く一緒に遊んで貰っていて、剣道大会に応援しに来てくれて、一杯一杯褒められて、だから、褒められたいから、いつもお兄さんのアパートに通っているお兄さんの従兄弟ですよ」
2人は絶叫した。その様子は何かに慌てていて、そして怯えている様だった。
「違うわ、貴女は名も無い様なエルフの集落に住んでいた、チヒローゼさん。貴女はロゼット王国の没落騎士の一族の騎士、チトセスさんよ」
「「違う!!」」
ソルフィちゃんが、異世界での2人の名を言うと、2人は大声でそれに否定し、そして、飛び掛ってきた。
ソルフィちゃんは、僕を抱きしめながら、馬車の外に飛び立ち出る。それを追って2人も馬車から飛び降りた。
僕らは草原の上に降り立った。
「違わないわ。貴女達、お兄様のただの妹や従兄弟なら、そんな神代の武具を振り回せるはずないでしょう?現実を見なさい、それが、お兄様を助ける・・・」
「うるさい!!」
叫んだかと思うと、千歳ちゃんは僕とソルフィちゃんの目の前に、瞬間移動とも言うべきスピードで詰め寄り、そして、ソルフィちゃんに斬りかかった。
「っ!!」
ソルフィちゃんもいつの間にか手に持っていた大鎌の柄で、千歳ちゃんの剣を防ぐ。
「・・・っくううっ!!」
突然、ソルフィちゃんが苦しそうに呻く、ソルフィちゃんの翼には、光り輝く矢が突き刺さっており、奥では、千尋ちゃんが弓を構えていた。
「そ、ソルフィちゃん!」
「大丈夫ですわ、お兄様、この程度平気ですの」
痛みをやせ我慢するかの様ににこりとソルフィちゃんは僕に微笑んで見せた。
「さあ、お兄さんを返して貰いますよ、おチビさん?人のお兄さん、将来のお兄さん以上になる人を連れ去るなんて、許せないです」
ソルフィちゃんを睨みつける千歳ちゃん。その目は爛々と光っており、鬼の様な迫力があった。
「そうだよ、次は、もっと痛い所を撃ち抜くよ」
次の矢を構えて、ソルフィちゃんを狙う千尋ちゃん、こちらも千歳ちゃんに負けず劣らずの鬼さ加減だった。
「待ってくれ、2人共、どうしたんだ、そんなに急に怒って。尋常じゃないぞ、いきなり斬りかかったり矢を放ったり。この娘はさっきは襲い掛かってきていたけど、今はコミニュケーションが取れているんだ。この娘は敵じゃない。落ち着いてくれ。」
ソルフィちゃんを庇う為に前に出て、僕は2人を説得する。
「お兄ちゃん・・・駄目だよ、どいてよ!そいつは・・・きっと駄目だよ!駄目な気がする。」
ぶんぶんと首を振って千尋ちゃんが否定する。
「駄目って・・・何でさ?」
「・・・・・わかんないけど・・・・その子は・・・・・お兄ちゃんを私から遠ざけると思う。お兄ちゃんから離さないと駄目な気がする・・・だから駄目だよ」
「気がするって・・・それじゃあ、殺す理由にはならないだろう?」
「そうだけど・・・そうだけどさ・・・」
千尋ちゃんは悩む様にさらに首をぶんぶん振る。
「・・・・・・そうですわ。この世界に取って、ソルフィは異物ですもの。貴女達はこちらの世界の住人。そして、お兄様は、この世界の住人では無いですわ。ソルフィはお兄様を迎えに来ましたの。お兄様を救う為にね・・・。貴女達は記憶を改竄され、無自覚なのでしょうけど、お兄様をこの世界に封印する貴女達がソルフィに敵意を抱くのは当然ですわ。それは封印としてもそうですし・・・そして、お兄様の女になる為の好敵手としてもそうでしょうね」
フッと落ち着いた風にソルフィちゃんは言った。千尋ちゃんと千歳ちゃんがこの世界の住人で、僕はこの世界の住人では無い?そしてソルフィちゃんは僕を迎えに来た・・・?つまり、ずっと3人で一緒だった僕らは、同じ様で同じじゃなかった・・・?
大分、謎の核心に近づいてた事なのだろう。
「私達と、お兄さんが違う世界の住人・・・・・・・意味分らない、意味分らないです!!」
そう言って、剣に力を込める様に叫ぶ千歳ちゃん。後1秒、後0.1秒も後には、ソルフィちゃんに斬りかかる・・・そう思った瞬間。
「お出でなさい!私の子達!!」
ソルフィちゃんの叫びと共に地面から無数の手が生えて、拳が千尋ちゃんと千歳ちゃんを吹き飛ばした。千尋ちゃんと千歳ちゃんはそのまま10メートル以上はぶっ飛んでいる。
「千尋ちゃん、千歳ちゃん!!」
僕が2人に語りかける間も無く、ソルフィちゃんに抱きつかれて、ソルフィちゃんは空に飛んだ。
眼下には、地面から出てきた無数の・・・ゴーレムが現れる。
「おい!ソルフィちゃん、やり過ぎだ。あんな事したら、流石に2人はただじゃあ・・・」
「大丈夫ですわ、光の戦士であるお2人があんな攻撃で倒れるほどやわじゃ無いですわ」
ウィンクして僕に微笑みかけるソルフィちゃん。
「良いですか、お兄様。時間がありませんの。先も言った通り、ソルフィはお兄様を迎えに来ましたの。お兄様のご納得を貰った上、お迎え様と思っていましたが、こうなっては仕方ありません、今すぐ、お兄様をこの世界から連れ出します」
とソルフィちゃんは決意に満ちた目で僕を見た。
「え・・・いや・・・・?」
僕が返事をする前に、ソルフィちゃんは、目を閉じ、そして唇を僕に向けた。
その様子は・・・まるで、いやまるで無くとも、それはキスをする構えだった。
「ま、待て、ちょっと!!」
僕が、それを拒否しようとすると、両手で首を捕まれる。最早、キスから逃げる手段は無い。
「そ、ソルフィちゃん・・・!それは・・・!」
僕が抗議しようとした、その刹那
バツッ!!
何か、肉が勢い良く斬れる音がした。
その何かの正体はすぐ分った。
目の前にあった、ソルフィちゃんの顔は無くなり。顔の無くなったソルフィちゃんの首は、綺麗な断面で切断されていた。
ふんすと鼻を鳴らして、千尋ちゃんが自慢げに答えた。
突然、2人の持っている、昇り旗とおもちゃ銃が光りを放つ。
「え・・・、これは・・・?」
「な、何?」
2人は驚きつつも、自分の武器と言うには頼りの無い物品の光りの放つ様子を見ている。物品達はぐにゃりと徐々に姿を変えて、そして、昇り旗は剣に、おもちゃ銃は弓に変わった。
それぞれ、あの異世界での千尋ちゃんと千歳ちゃんが持っていた、あのいかにも神秘的な見た目のあの武具だ。
「・・・・・・なっ?・・・2人共、どうしたんだ?その武器は?、何故急に姿を変えて・・・」
僕が2人に聞くと、
「わ、わかりません、いつの間にか、昇り旗が剣に変わっちゃいました・・・。でも、これ・・・・・・おかしいな、初めて見る剣なのに、何か、今まで持っていた様な気がします」
変わってしまった昇り旗、剣を見つめる千歳ちゃん、その目は驚きより、どこか、安心している様な、無くした物を見つけた時の様な顔をしている。
「お兄様の記憶が戻りつつあるから、貴女達にも影響が出てきているのですわ。お兄様が分ったのなら、貴女達も分るでしょう?自分自身が何者かについて」
ソルフィちゃんは、武具が変化した理由を、さも当然という風に言った。
「・・・・私達が何者か・・・・・私は、お兄ちゃんの妹だもん・・・・私は、中学生の頃までお兄ちゃんと家で暮らしていて、そして、お兄ちゃんが家を出て行ったら、お兄ちゃんとアパートで二人暮らししている、お兄ちゃんの妹だよ!」
「そうです、私も、幼い頃からずっと、お兄さんと一緒に居て、良く一緒に遊んで貰っていて、剣道大会に応援しに来てくれて、一杯一杯褒められて、だから、褒められたいから、いつもお兄さんのアパートに通っているお兄さんの従兄弟ですよ」
2人は絶叫した。その様子は何かに慌てていて、そして怯えている様だった。
「違うわ、貴女は名も無い様なエルフの集落に住んでいた、チヒローゼさん。貴女はロゼット王国の没落騎士の一族の騎士、チトセスさんよ」
「「違う!!」」
ソルフィちゃんが、異世界での2人の名を言うと、2人は大声でそれに否定し、そして、飛び掛ってきた。
ソルフィちゃんは、僕を抱きしめながら、馬車の外に飛び立ち出る。それを追って2人も馬車から飛び降りた。
僕らは草原の上に降り立った。
「違わないわ。貴女達、お兄様のただの妹や従兄弟なら、そんな神代の武具を振り回せるはずないでしょう?現実を見なさい、それが、お兄様を助ける・・・」
「うるさい!!」
叫んだかと思うと、千歳ちゃんは僕とソルフィちゃんの目の前に、瞬間移動とも言うべきスピードで詰め寄り、そして、ソルフィちゃんに斬りかかった。
「っ!!」
ソルフィちゃんもいつの間にか手に持っていた大鎌の柄で、千歳ちゃんの剣を防ぐ。
「・・・っくううっ!!」
突然、ソルフィちゃんが苦しそうに呻く、ソルフィちゃんの翼には、光り輝く矢が突き刺さっており、奥では、千尋ちゃんが弓を構えていた。
「そ、ソルフィちゃん!」
「大丈夫ですわ、お兄様、この程度平気ですの」
痛みをやせ我慢するかの様ににこりとソルフィちゃんは僕に微笑んで見せた。
「さあ、お兄さんを返して貰いますよ、おチビさん?人のお兄さん、将来のお兄さん以上になる人を連れ去るなんて、許せないです」
ソルフィちゃんを睨みつける千歳ちゃん。その目は爛々と光っており、鬼の様な迫力があった。
「そうだよ、次は、もっと痛い所を撃ち抜くよ」
次の矢を構えて、ソルフィちゃんを狙う千尋ちゃん、こちらも千歳ちゃんに負けず劣らずの鬼さ加減だった。
「待ってくれ、2人共、どうしたんだ、そんなに急に怒って。尋常じゃないぞ、いきなり斬りかかったり矢を放ったり。この娘はさっきは襲い掛かってきていたけど、今はコミニュケーションが取れているんだ。この娘は敵じゃない。落ち着いてくれ。」
ソルフィちゃんを庇う為に前に出て、僕は2人を説得する。
「お兄ちゃん・・・駄目だよ、どいてよ!そいつは・・・きっと駄目だよ!駄目な気がする。」
ぶんぶんと首を振って千尋ちゃんが否定する。
「駄目って・・・何でさ?」
「・・・・・わかんないけど・・・・その子は・・・・・お兄ちゃんを私から遠ざけると思う。お兄ちゃんから離さないと駄目な気がする・・・だから駄目だよ」
「気がするって・・・それじゃあ、殺す理由にはならないだろう?」
「そうだけど・・・そうだけどさ・・・」
千尋ちゃんは悩む様にさらに首をぶんぶん振る。
「・・・・・・そうですわ。この世界に取って、ソルフィは異物ですもの。貴女達はこちらの世界の住人。そして、お兄様は、この世界の住人では無いですわ。ソルフィはお兄様を迎えに来ましたの。お兄様を救う為にね・・・。貴女達は記憶を改竄され、無自覚なのでしょうけど、お兄様をこの世界に封印する貴女達がソルフィに敵意を抱くのは当然ですわ。それは封印としてもそうですし・・・そして、お兄様の女になる為の好敵手としてもそうでしょうね」
フッと落ち着いた風にソルフィちゃんは言った。千尋ちゃんと千歳ちゃんがこの世界の住人で、僕はこの世界の住人では無い?そしてソルフィちゃんは僕を迎えに来た・・・?つまり、ずっと3人で一緒だった僕らは、同じ様で同じじゃなかった・・・?
大分、謎の核心に近づいてた事なのだろう。
「私達と、お兄さんが違う世界の住人・・・・・・・意味分らない、意味分らないです!!」
そう言って、剣に力を込める様に叫ぶ千歳ちゃん。後1秒、後0.1秒も後には、ソルフィちゃんに斬りかかる・・・そう思った瞬間。
「お出でなさい!私の子達!!」
ソルフィちゃんの叫びと共に地面から無数の手が生えて、拳が千尋ちゃんと千歳ちゃんを吹き飛ばした。千尋ちゃんと千歳ちゃんはそのまま10メートル以上はぶっ飛んでいる。
「千尋ちゃん、千歳ちゃん!!」
僕が2人に語りかける間も無く、ソルフィちゃんに抱きつかれて、ソルフィちゃんは空に飛んだ。
眼下には、地面から出てきた無数の・・・ゴーレムが現れる。
「おい!ソルフィちゃん、やり過ぎだ。あんな事したら、流石に2人はただじゃあ・・・」
「大丈夫ですわ、光の戦士であるお2人があんな攻撃で倒れるほどやわじゃ無いですわ」
ウィンクして僕に微笑みかけるソルフィちゃん。
「良いですか、お兄様。時間がありませんの。先も言った通り、ソルフィはお兄様を迎えに来ましたの。お兄様のご納得を貰った上、お迎え様と思っていましたが、こうなっては仕方ありません、今すぐ、お兄様をこの世界から連れ出します」
とソルフィちゃんは決意に満ちた目で僕を見た。
「え・・・いや・・・・?」
僕が返事をする前に、ソルフィちゃんは、目を閉じ、そして唇を僕に向けた。
その様子は・・・まるで、いやまるで無くとも、それはキスをする構えだった。
「ま、待て、ちょっと!!」
僕が、それを拒否しようとすると、両手で首を捕まれる。最早、キスから逃げる手段は無い。
「そ、ソルフィちゃん・・・!それは・・・!」
僕が抗議しようとした、その刹那
バツッ!!
何か、肉が勢い良く斬れる音がした。
その何かの正体はすぐ分った。
目の前にあった、ソルフィちゃんの顔は無くなり。顔の無くなったソルフィちゃんの首は、綺麗な断面で切断されていた。
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