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プロローグ3
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部活の練習が終わったのち、部員たちがグランドの整備をしている間に私も用具の片付けをしていた。
そんな私を海風が通り過ぎていく。風はいつもよりも強く、空を見上げると雲がすごい速さで流されていた。
「風強いな…髪の毛ボサボサになりそう」
そう思いながらもメンテナンスを続けていると近くでガタンッと大きな音がした。
驚いてその方向を振り返ると荷物を置いていたベンチが倒れていた。私はベンチを元に戻そうと歩み寄ると後ろから声がかけられた。
「ゆみ!大丈夫か?」
「うん、大丈夫。風でベンチが倒れちゃったみたい」
振り返りながらそう告げるとだいちゃんの他に3人私の方に駆けてきていた。
「あー、今日風やべぇもんな」
「乗せてたカバン全部落ちてんじゃん、」
「ベンチ固定してねぇやつだもんな~」
3人の部員たちは話しながらベンチを元に戻していた。私とだいちゃんはベンチから落ちてしまったカバンを広っていた。
「てかまた飛ぶんじゃね?」
「たしかにな~しかも明日台風来るんだろ?」
「じゃあベンチ飛んでいかない場所に移しておくか」
3人がそう話していると他の部員達もグランド整備を終えて私たちの元に来ていた。その後監督に部長が相談しに行ったのち、グランドに出ているベンチ5個を部員の皆で安全な場所に片付けた。
全て片付け終わると挨拶し部活は終了となった。
私はカバンを持ち、自転車を取りに行っていただいちゃんの元に向かった。途中すれ違った部員たちに冷やかされたが笑って誤魔化し、だいちゃんの横に立つ。
「「お疲れ様です!」」
2人でそう言うと、まだたむろって話している他の部員たちの元を後にした。
「今日風強いから自転車乗らねぇ方がいいな」
だいちゃんに頷くと自転車を押す彼の横を歩く。
「すまないな、結局行きも帰りも歩きで…」
「大丈夫だよ、アイス奢って貰うんだし~」
ニシシと変な笑い方をするとだいちゃんもつられて笑う。
「りょーかい、今日コンビニでもよるか?」
「んー、今日はいいや。風強いし髪の毛もやばいから早く帰りたいかな」
だいちゃんは分かったと頷くと、ふと何かを思い出して私の方を向く。
「そういえば、ゆみの自転車どうなってるんだ?」
ああ、と私は頷くとだいちゃんに答える。
「昨日パンクしちゃって、今日お店に預けてきたの。明日の朝には戻ってくるよ」
私のおじさんが自転車屋さんをしていて、お願いしたら格安で引き受けてくれたのだ。その代わりに、他のお客さんのもあったみたいで戻ってくるのは明日になってしまった。
そんななんてことの無い会話をしながら2人で家に帰っていた。
私たちの家は隣同士であり、家族ぐるみでの付き合いは小さい頃からだ。私とだいちゃんが付き合い始めた頃は家族からからかわれる事もあったがとても喜んでくれてもいた。
家に着くとちょうど遊びから帰ってきたであろう、だいちゃんの弟の広樹くんと出会った。ひろ君は小学校3年生でとても素直で可愛く、私もだいちゃんも可愛がっていた。
「あ、にいちゃん、ゆみちゃん!おかえり!!」
「あぁ、ひろもおかえり」
ひろ君が笑顔で駆け寄ってきて、だいちゃんはひろ君の頭をガシガシなでる。私もひろ君の目の高さに少ししゃがむと声をかけた。
「ひろ君、遊びに行ってきたの?」
私の質問にニコニコと頷くと今日遊んだ事や、面白かった事を話してくれた。しばらく聞いていたが、5分くらい聞いたあとだいちゃんが口をはさんだ。
「ひろ、続きは家入ってからな。ゆみも部活で疲れてるから」
ひろ君は素直に頷くとバイバイと手を振って、だいちゃんと一緒に私が家に入るまで見届けてくれた。
私は自然と笑顔を浮かべながらただいまと家に入っていったのだった。
これが幸せな日常の最後の日になったのだった。
そんな私を海風が通り過ぎていく。風はいつもよりも強く、空を見上げると雲がすごい速さで流されていた。
「風強いな…髪の毛ボサボサになりそう」
そう思いながらもメンテナンスを続けていると近くでガタンッと大きな音がした。
驚いてその方向を振り返ると荷物を置いていたベンチが倒れていた。私はベンチを元に戻そうと歩み寄ると後ろから声がかけられた。
「ゆみ!大丈夫か?」
「うん、大丈夫。風でベンチが倒れちゃったみたい」
振り返りながらそう告げるとだいちゃんの他に3人私の方に駆けてきていた。
「あー、今日風やべぇもんな」
「乗せてたカバン全部落ちてんじゃん、」
「ベンチ固定してねぇやつだもんな~」
3人の部員たちは話しながらベンチを元に戻していた。私とだいちゃんはベンチから落ちてしまったカバンを広っていた。
「てかまた飛ぶんじゃね?」
「たしかにな~しかも明日台風来るんだろ?」
「じゃあベンチ飛んでいかない場所に移しておくか」
3人がそう話していると他の部員達もグランド整備を終えて私たちの元に来ていた。その後監督に部長が相談しに行ったのち、グランドに出ているベンチ5個を部員の皆で安全な場所に片付けた。
全て片付け終わると挨拶し部活は終了となった。
私はカバンを持ち、自転車を取りに行っていただいちゃんの元に向かった。途中すれ違った部員たちに冷やかされたが笑って誤魔化し、だいちゃんの横に立つ。
「「お疲れ様です!」」
2人でそう言うと、まだたむろって話している他の部員たちの元を後にした。
「今日風強いから自転車乗らねぇ方がいいな」
だいちゃんに頷くと自転車を押す彼の横を歩く。
「すまないな、結局行きも帰りも歩きで…」
「大丈夫だよ、アイス奢って貰うんだし~」
ニシシと変な笑い方をするとだいちゃんもつられて笑う。
「りょーかい、今日コンビニでもよるか?」
「んー、今日はいいや。風強いし髪の毛もやばいから早く帰りたいかな」
だいちゃんは分かったと頷くと、ふと何かを思い出して私の方を向く。
「そういえば、ゆみの自転車どうなってるんだ?」
ああ、と私は頷くとだいちゃんに答える。
「昨日パンクしちゃって、今日お店に預けてきたの。明日の朝には戻ってくるよ」
私のおじさんが自転車屋さんをしていて、お願いしたら格安で引き受けてくれたのだ。その代わりに、他のお客さんのもあったみたいで戻ってくるのは明日になってしまった。
そんななんてことの無い会話をしながら2人で家に帰っていた。
私たちの家は隣同士であり、家族ぐるみでの付き合いは小さい頃からだ。私とだいちゃんが付き合い始めた頃は家族からからかわれる事もあったがとても喜んでくれてもいた。
家に着くとちょうど遊びから帰ってきたであろう、だいちゃんの弟の広樹くんと出会った。ひろ君は小学校3年生でとても素直で可愛く、私もだいちゃんも可愛がっていた。
「あ、にいちゃん、ゆみちゃん!おかえり!!」
「あぁ、ひろもおかえり」
ひろ君が笑顔で駆け寄ってきて、だいちゃんはひろ君の頭をガシガシなでる。私もひろ君の目の高さに少ししゃがむと声をかけた。
「ひろ君、遊びに行ってきたの?」
私の質問にニコニコと頷くと今日遊んだ事や、面白かった事を話してくれた。しばらく聞いていたが、5分くらい聞いたあとだいちゃんが口をはさんだ。
「ひろ、続きは家入ってからな。ゆみも部活で疲れてるから」
ひろ君は素直に頷くとバイバイと手を振って、だいちゃんと一緒に私が家に入るまで見届けてくれた。
私は自然と笑顔を浮かべながらただいまと家に入っていったのだった。
これが幸せな日常の最後の日になったのだった。
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