自然魔力とアルモニーア

セツ

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うさぎ

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 ニケがスズリナの荷物とうさぎを持ってくるとスズリナが満面の笑みでニケにかけよった。

「ニケー。ありがとーー。」

「分かったから飛びついて来るなデス!」

 ニケから先に荷物を受け取っていると、ダイアンが声を上げる。

「ニケちゃんも戻ってきた事だし、ご飯の準備しましょ!」

 やったーと喜んでいるスズリナの後ろで黙々と鍋と包丁を用意しているレオシオンはスズリナの様子につい微笑みをこぼしていたのだった。

 そこでレオシオンが思い出した事をスズリナに告げる。

「スーナ、ダイアンには包丁を持たせるなよ。」

「なんで?料理上手そうなのに?」

「貴重な食材をゴミにする天才だ。見せかけに騙されて料理させるとあの世を見る事になるぞ。」

「ちょっとー!そんな言い方ないじゃない。チョット料理が下手っぴなだーけー!」

 レオシオンは蔑んだ目でダイアンを見た。

 面倒くさくなったレオシオンは再び準備に戻ったところで、蜂蜜がのこり少ないのに気がついた。

「おいハゲ!蜂蜜探してきてくれ。もうすぐ無くなる。」

「蜂蜜ね、任せてちょうだい!沢山取ってきてギャフンって言わせてやるんだから!」

 そう言い残して探しに行くダイアンにふぅ、と息を着くとレオシオンはニケが持ってきたうさぎに向き直る。

「レオシオンは料理出来るんデスカ?」
 
 レオシオンは、うさぎの毛皮をナイフで器用に剥ぎながら答える。

「料理は得意な方なんだ。それから、レオンでいいぞ。」

「分かったデス、レオン。」

「スーナは料理出来るのか?」

 レオシオンの手元を見ていたスズリナは良くぞ聞いてくれた!と顔を上げる。

「人並みには出来るよ!私にも手伝わせて!」

「レオン気をつけるデス。スーナは人並みには出来るデス。ただ!スーナはガサツデス!!」

 ニケの深刻そうな顔に、真剣に頷くレオシオンにスズリナは気づくことはなかったのだった。



30分後

 森に漂う肉とスープの香りを嗅ぎつけたダイアンは2つのビンいっぱいに入った蜂蜜を両手に抱えて戻ってきた。

「ダイちゃんおかえりなさーい。ご飯できてるよ…って、凄い。30分くらいでこんなに蜂蜜取ったの!?」

「料理はちょっぴり下手だけど、採取や狩りは得意な方なのよ~。スーナちゃんも何か欲しいものあったら言ってちょうだいね!」

「ダイちゃんすごーぃ。」

「さぁ!レオシオン、ギャフンも言っt…」

「ぎゃふん」

 ダイアンの言葉に、棒読みでレオシオンが重ねていく。

 レオシオンにダイアンが怒っている後ろでようやくうさぎは食卓に並ぶことが出来たのだった。





12‪話           fin
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