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少女と1匹
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「ハァッ!」
木々の生い茂る森の中、一人の少女の声が右手に持つ長剣を振り下ろす音と重なった。
長剣によって弾かれた、木から吊るしてある鉄板は弧を描き少女の所に戻っくる。左から戻ってきた鉄板を次は左手に持つ短剣で捌く。
その様な事を30分繰り返し続けると少女は元いた場所から後ろに飛び退いた。そして少女は双剣をそれぞれの鞘にしまう。
長剣の鞘は左に、短剣の鞘は右にそれぞれつってあり、共にすぐに抜ける状態になっていた。
「お疲れ、 スーナ。相変わらずキレッキレな腕前デスッ!」
そう言って草陰から出てきた狐は黄色のフサフサの毛並みと共にふっさふさな尻尾をフリフリしながらスーナと呼んだ少女の元に近寄る。
狐はしっぽの付け根からツルのようなものを2本出すとそれで地面を叩き少女の頭の上に飛び乗った。
「ニケ疲れてるのに飛び乗らないでよ。」
頭の上でくつろぐニケと呼ばれた狐はまるで聞こえないとでも言うかのように頭の上に乗り続ける。
そんな頭に狐を載せる少女の名前は、スズリナ・スウェル。シルバーアッシュの少しウェーブのかかった髪は肩下15cmくらいあり木々の間を抜けていく風に吹かれている。
瞳はダークブルーの澄んだ色をしており、時折陽の光を反射させては世の中の景色を写しこんでいた。
白い生地に赤色がワンポイントのように入った服を上下着ているがおへその部分には生地がなかった。
ニケには冷える!森を駆け回るなら怪我する!慎み!!と口うるさく言われていたが、暑いしいいの!っと無視していた。下は少しダボッとしているズボンで足首はキュッと閉められている。
1度見た踊り子の様な衣装に魅力され似たような物を着ているのだ。
世でいう見た目はすっごい可愛子ちゃんなのである。
そんなスズリナの上でくつろいでいる狐は世間では魔獣と呼ばれているものである。いわゆる5大魔力を使う動物である。
魔獣の数は多くはなく、人とは違い独自の生態系から強い力を持つものが多いという。魔法を使うせいか、中には人語を喋る事ができる者もいたりする。
そんな魔獣の狐ニケは、見た通りの草属性である。
「ま、今日の分の訓練は終わったし、後剣の手入れだけしたら昼ごはんにしよ!」
「りょーかいスーナ!手入れしている間に木の実でも取ってくるデスッ。」
「ありがとぉー」
そう言うとわざわざ登ったのにすぐに頭から降りて木々の中に消えていった。
スズリナとニケの1人と1匹暮しには蓄えがあるとはいえ毎日の食料確保は大重要事項である。
スズリナが家に向かって歩きだそうとすると、草むらからガサッと言う音と共にうさぎが飛び出してきた。
瞬間スズリナの目がピキーンと光った。
「ご飯だ!」
そう言うやいなやしまったばかりの短剣を即座に引き抜きうさぎの心臓目掛けて一直線に投げ抜いた。
「ゲット~~!!今日はお肉だ~♡」
そう言いながらうさぎの両耳を片手で掴み上げる。もちろんうさぎからはポタポタと血が垂れている。
女の子が満面の笑みでする姿ではない…はずなんだが………。
これが少女と1匹の日常である。
2話 fin
木々の生い茂る森の中、一人の少女の声が右手に持つ長剣を振り下ろす音と重なった。
長剣によって弾かれた、木から吊るしてある鉄板は弧を描き少女の所に戻っくる。左から戻ってきた鉄板を次は左手に持つ短剣で捌く。
その様な事を30分繰り返し続けると少女は元いた場所から後ろに飛び退いた。そして少女は双剣をそれぞれの鞘にしまう。
長剣の鞘は左に、短剣の鞘は右にそれぞれつってあり、共にすぐに抜ける状態になっていた。
「お疲れ、 スーナ。相変わらずキレッキレな腕前デスッ!」
そう言って草陰から出てきた狐は黄色のフサフサの毛並みと共にふっさふさな尻尾をフリフリしながらスーナと呼んだ少女の元に近寄る。
狐はしっぽの付け根からツルのようなものを2本出すとそれで地面を叩き少女の頭の上に飛び乗った。
「ニケ疲れてるのに飛び乗らないでよ。」
頭の上でくつろぐニケと呼ばれた狐はまるで聞こえないとでも言うかのように頭の上に乗り続ける。
そんな頭に狐を載せる少女の名前は、スズリナ・スウェル。シルバーアッシュの少しウェーブのかかった髪は肩下15cmくらいあり木々の間を抜けていく風に吹かれている。
瞳はダークブルーの澄んだ色をしており、時折陽の光を反射させては世の中の景色を写しこんでいた。
白い生地に赤色がワンポイントのように入った服を上下着ているがおへその部分には生地がなかった。
ニケには冷える!森を駆け回るなら怪我する!慎み!!と口うるさく言われていたが、暑いしいいの!っと無視していた。下は少しダボッとしているズボンで足首はキュッと閉められている。
1度見た踊り子の様な衣装に魅力され似たような物を着ているのだ。
世でいう見た目はすっごい可愛子ちゃんなのである。
そんなスズリナの上でくつろいでいる狐は世間では魔獣と呼ばれているものである。いわゆる5大魔力を使う動物である。
魔獣の数は多くはなく、人とは違い独自の生態系から強い力を持つものが多いという。魔法を使うせいか、中には人語を喋る事ができる者もいたりする。
そんな魔獣の狐ニケは、見た通りの草属性である。
「ま、今日の分の訓練は終わったし、後剣の手入れだけしたら昼ごはんにしよ!」
「りょーかいスーナ!手入れしている間に木の実でも取ってくるデスッ。」
「ありがとぉー」
そう言うとわざわざ登ったのにすぐに頭から降りて木々の中に消えていった。
スズリナとニケの1人と1匹暮しには蓄えがあるとはいえ毎日の食料確保は大重要事項である。
スズリナが家に向かって歩きだそうとすると、草むらからガサッと言う音と共にうさぎが飛び出してきた。
瞬間スズリナの目がピキーンと光った。
「ご飯だ!」
そう言うやいなやしまったばかりの短剣を即座に引き抜きうさぎの心臓目掛けて一直線に投げ抜いた。
「ゲット~~!!今日はお肉だ~♡」
そう言いながらうさぎの両耳を片手で掴み上げる。もちろんうさぎからはポタポタと血が垂れている。
女の子が満面の笑みでする姿ではない…はずなんだが………。
これが少女と1匹の日常である。
2話 fin
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