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花音ルート
30話 終わり
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膝から崩れ落ちる。映画やドラマではよく見るシーンだけど、実際に身をもってそれを経験する人はきっと多くはないだろう。
そう言った意味で、俺はなかなか珍しい経験をしているかもしれない。実際に足に力が入らなくなって、膝から崩れ落ちてうずくまっている訳だから。
彩華さんから届いた長文のメッセージを読んだ瞬間、全身の血の気が引くような感じがした。心臓の鼓動は激しくなり、スマホを持つ右手が震え始めた。そして気がついたら膝から崩れ落ちていた。
一人で考える時間がほしいと言っていた彩華さんから届いたメッセージは、あまりにも唐突で、あまりにも衝撃的なものだった。
俺の告白に対する「ごめんなさい」までは想定内だったけど、問題はその後。
「もう私は、颯太くんのそばにはいられません」から始まる次の文章は、完全な決別の言葉だった。つまり俺の彼女になれないだけではなくて、もう俺との「期間限定のパートナー」の関係も終わらせたいと。
彩華さんによると、彼女はあくまでもお互いにとって都合の良い関係を望んでいたらしい。
彩華さんには最初から誰かと本格的な恋愛をしたり、結婚を前提にした交際をしたりするつもりは一切なく、単純に俺の外見が彼女の好みのタイプでかつ女の子にモテそうに見えたから、どうぜ年上の自分はすぐに飽きられるだろうし遊び相手としてはちょうど良いと思ったと。
でも俺が彩華さんの予想に反して誠実で一途な人間だったから、彼女も本気で俺のことを好きにはなってくれたけど、だからこそこれ以上俺を苦しめたり、俺の将来を邪魔したりすることはできないとのことだった。
もっとショックだったのは、すでに彩華さんは住んでいたマンションから退居していて、そのメッセージを最後にLINEもブロックするからもう彼女と会うこともできないし、連絡もとれないという事実だった。
彩華さんは俺にできるだけ早く彼女のことを忘れてほしいと思っているから、もう完全に俺の前からいなくなることを決めたらしい。
俺が彼女に「どうしても付き合ってほしい」と伝えて「考える時間がほしい」と言われたあの日からまだ二週間。
俺としてはおそらく今回も良い返事はもらえないだろうけど、今までは告白に対して遅くても数日後には「ごめんなさい」と言われていたのが、今回はある程度時間をかけて考えてくれていたから「また一歩前に進めた」と思い込んでいた。
それが、まさかこんな結末になるなんて。この二週間で彩華さんが俺との関係を完全に断ち切るために動いていて、引っ越しまで終わらせていたなんて想像もしなかった。
そして彩華さんからの長文のメッセージの後半は「颯太くんにはどんなに謝っても許してもらえないようなことをしました。それでも謝らせてください。本当にごめんなさい」という謝罪の言葉から始まって、次に「でも私は颯太くんと一緒にいられて心から幸せでした。ありがとう」という感謝の言葉に繋がり……
「さようなら」というもっともシンプルで、もっとも絶望的な別れの言葉で終わっていた。
そう言った意味で、俺はなかなか珍しい経験をしているかもしれない。実際に足に力が入らなくなって、膝から崩れ落ちてうずくまっている訳だから。
彩華さんから届いた長文のメッセージを読んだ瞬間、全身の血の気が引くような感じがした。心臓の鼓動は激しくなり、スマホを持つ右手が震え始めた。そして気がついたら膝から崩れ落ちていた。
一人で考える時間がほしいと言っていた彩華さんから届いたメッセージは、あまりにも唐突で、あまりにも衝撃的なものだった。
俺の告白に対する「ごめんなさい」までは想定内だったけど、問題はその後。
「もう私は、颯太くんのそばにはいられません」から始まる次の文章は、完全な決別の言葉だった。つまり俺の彼女になれないだけではなくて、もう俺との「期間限定のパートナー」の関係も終わらせたいと。
彩華さんによると、彼女はあくまでもお互いにとって都合の良い関係を望んでいたらしい。
彩華さんには最初から誰かと本格的な恋愛をしたり、結婚を前提にした交際をしたりするつもりは一切なく、単純に俺の外見が彼女の好みのタイプでかつ女の子にモテそうに見えたから、どうぜ年上の自分はすぐに飽きられるだろうし遊び相手としてはちょうど良いと思ったと。
でも俺が彩華さんの予想に反して誠実で一途な人間だったから、彼女も本気で俺のことを好きにはなってくれたけど、だからこそこれ以上俺を苦しめたり、俺の将来を邪魔したりすることはできないとのことだった。
もっとショックだったのは、すでに彩華さんは住んでいたマンションから退居していて、そのメッセージを最後にLINEもブロックするからもう彼女と会うこともできないし、連絡もとれないという事実だった。
彩華さんは俺にできるだけ早く彼女のことを忘れてほしいと思っているから、もう完全に俺の前からいなくなることを決めたらしい。
俺が彼女に「どうしても付き合ってほしい」と伝えて「考える時間がほしい」と言われたあの日からまだ二週間。
俺としてはおそらく今回も良い返事はもらえないだろうけど、今までは告白に対して遅くても数日後には「ごめんなさい」と言われていたのが、今回はある程度時間をかけて考えてくれていたから「また一歩前に進めた」と思い込んでいた。
それが、まさかこんな結末になるなんて。この二週間で彩華さんが俺との関係を完全に断ち切るために動いていて、引っ越しまで終わらせていたなんて想像もしなかった。
そして彩華さんからの長文のメッセージの後半は「颯太くんにはどんなに謝っても許してもらえないようなことをしました。それでも謝らせてください。本当にごめんなさい」という謝罪の言葉から始まって、次に「でも私は颯太くんと一緒にいられて心から幸せでした。ありがとう」という感謝の言葉に繋がり……
「さようなら」というもっともシンプルで、もっとも絶望的な別れの言葉で終わっていた。
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