三年間片思いしていた同級生に振られたら、年上の綺麗なお姉さんにロックオンされた話

羽瀬川ルフレ

文字の大きさ
上 下
31 / 45
花音ルート

30話 終わり

しおりを挟む
 膝から崩れ落ちる。映画やドラマではよく見るシーンだけど、実際に身をもってそれを経験する人はきっと多くはないだろう。

 そう言った意味で、俺はなかなか珍しい経験をしているかもしれない。実際に足に力が入らなくなって、膝から崩れ落ちてうずくまっている訳だから。

 彩華さんから届いた長文のメッセージを読んだ瞬間、全身の血の気が引くような感じがした。心臓の鼓動は激しくなり、スマホを持つ右手が震え始めた。そして気がついたら膝から崩れ落ちていた。

 一人で考える時間がほしいと言っていた彩華さんから届いたメッセージは、あまりにも唐突で、あまりにも衝撃的なものだった。

 俺の告白に対する「ごめんなさい」までは想定内だったけど、問題はその後。

 「もう私は、颯太くんのそばにはいられません」から始まる次の文章は、完全な決別の言葉だった。つまり俺の彼女になれないだけではなくて、もう俺との「期間限定のパートナー」の関係も終わらせたいと。

 彩華さんによると、彼女はあくまでもお互いにとって都合の良い関係を望んでいたらしい。

 彩華さんには最初から誰かと本格的な恋愛をしたり、結婚を前提にした交際をしたりするつもりは一切なく、単純に俺の外見が彼女の好みのタイプでかつ女の子にモテそうに見えたから、どうぜ年上の自分はすぐに飽きられるだろうし遊び相手としてはちょうど良いと思ったと。

 でも俺が彩華さんの予想に反して誠実で一途な人間だったから、彼女も本気で俺のことを好きにはなってくれたけど、だからこそこれ以上俺を苦しめたり、俺の将来を邪魔したりすることはできないとのことだった。

 もっとショックだったのは、すでに彩華さんは住んでいたマンションから退居していて、そのメッセージを最後にLINEもブロックするからもう彼女と会うこともできないし、連絡もとれないという事実だった。

 彩華さんは俺にできるだけ早く彼女のことを忘れてほしいと思っているから、もう完全に俺の前からいなくなることを決めたらしい。

 俺が彼女に「どうしても付き合ってほしい」と伝えて「考える時間がほしい」と言われたあの日からまだ二週間。

 俺としてはおそらく今回も良い返事はもらえないだろうけど、今までは告白に対して遅くても数日後には「ごめんなさい」と言われていたのが、今回はある程度時間をかけて考えてくれていたから「また一歩前に進めた」と思い込んでいた。

 それが、まさかこんな結末になるなんて。この二週間で彩華さんが俺との関係を完全に断ち切るために動いていて、引っ越しまで終わらせていたなんて想像もしなかった。

 そして彩華さんからの長文のメッセージの後半は「颯太くんにはどんなに謝っても許してもらえないようなことをしました。それでも謝らせてください。本当にごめんなさい」という謝罪の言葉から始まって、次に「でも私は颯太くんと一緒にいられて心から幸せでした。ありがとう」という感謝の言葉に繋がり……

 「さようなら」というもっともシンプルで、もっとも絶望的な別れの言葉で終わっていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

ホストな彼と別れようとしたお話

下菊みこと
恋愛
ヤンデレ男子に捕まるお話です。 あるいは最終的にお互いに溺れていくお話です。 御都合主義のハッピーエンドのSSです。 小説家になろう様でも投稿しています。

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

処理中です...