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共通ルート
28話 両思い
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「私が颯太くんに興味を持った理由、ちゃんと言ったことあったっけ?」
「いや、ないかな」
「だよね。たぶん言ってないよね」
「うん」
「顔だよ」
「はい?」
「私が颯太くんに興味を持った理由は、顔だよ。単純に顔がタイプだったの」
「そうなんだ……」
これは喜ぶべきか、残念に思うべきか。
「昔から私、面食いでさ……。そしてそれもあって正直、颯太くんがここまで誠実な人だとは思わなかったんだよね」
「どういうこと?」
「颯太くん、これだけ顔がいいからさ、きっとすごいモテるんだろうなって。もっと失礼な言い方をすると遊びなれてるんじゃないかって思ってた。だからさ、そんな颯太くんなら私とも程よく遊んでくれるはずって思い込んでた」
「なるほど。……いや、ちょっと待って。ということは、彩華さんは最初、遊びのつもりだったってことだよね?」
「そうだよ。最低でしょ?」
「いや、まあ……」
最低とまでは思わないけど、悲しいのは間違いないな。
「しかもさ、颯太くんのことをそういう人だって判断した理由が、颯太くんの顔だけなんだよね。颯太くんみたいなイケメンはみんな遊びまくってるんだろうなって勝手に決めつけてたから。……ほら、やっぱり最低でしょ?」
「……」
「でも颯太くんは私の想像とは全然違う人でさ。だから最初はセフレのつもりだったのに、気がついたら私も颯太くんのことが大好きになっちゃってた」
「……それならさ」
「両思いだし付き合っちゃえばいいじゃんって思うでしょ?」
「うん」
俺のセリフは完璧に彩華さんの想定内だったらしい。
「それはね、ダメなの。颯太くんがこんなにも優しくて誠実な人だからこそ絶対にダメ」
「なんで……」
「だって私こんなだもん。絶対いつか颯太くんのことを傷つけるよ。自信がある」
「……」
「だからさ、たとえ両思いでも私は颯太くんの彼女にはなれないの。もちろん颯太くんのせいじゃないよ、私に問題があるの。私、自分のことが全く信用できないから。大好きな颯太くんにトラウマなんか残したくないし」
「……そっか」
「うん。だからさ、もうこれ以上私のことを好きにならないで」
「そんなことを言われても……」
「お願い。じゃないと私はもう、颯太くんと一緒にいられなくなるから」
「……」
「その代わり、私はこれからも本気で颯太くんのことを好きでいるから。私が颯太くんに片思いをしてるくらいの関係が私たちにはちょうど良いと思う」
いやそれ、明らかに無理な要求じゃない? だって俺はもう本気であなたのことが……。
「急にこんなことを言われても難しいのは分かってるよ。人の感情ってそう簡単にコントロールできるものじゃないし。でも……」
「うん」
「せめて『彼女になって』という言葉は、その言葉だけは……、もう言わないでほしい。本当に申し訳ないけど、これからも『期間限定のパートナー』でお願いします」
実現不可能な要求の次に出てきたのは、明確な拒絶な意思が込められた言葉だった。つら。
正直受け入れられないし、受け入れたくない。でも今の言葉に対して俺にできる返事は……。
「……分かった」
その一言しかなかった。
「いや、ないかな」
「だよね。たぶん言ってないよね」
「うん」
「顔だよ」
「はい?」
「私が颯太くんに興味を持った理由は、顔だよ。単純に顔がタイプだったの」
「そうなんだ……」
これは喜ぶべきか、残念に思うべきか。
「昔から私、面食いでさ……。そしてそれもあって正直、颯太くんがここまで誠実な人だとは思わなかったんだよね」
「どういうこと?」
「颯太くん、これだけ顔がいいからさ、きっとすごいモテるんだろうなって。もっと失礼な言い方をすると遊びなれてるんじゃないかって思ってた。だからさ、そんな颯太くんなら私とも程よく遊んでくれるはずって思い込んでた」
「なるほど。……いや、ちょっと待って。ということは、彩華さんは最初、遊びのつもりだったってことだよね?」
「そうだよ。最低でしょ?」
「いや、まあ……」
最低とまでは思わないけど、悲しいのは間違いないな。
「しかもさ、颯太くんのことをそういう人だって判断した理由が、颯太くんの顔だけなんだよね。颯太くんみたいなイケメンはみんな遊びまくってるんだろうなって勝手に決めつけてたから。……ほら、やっぱり最低でしょ?」
「……」
「でも颯太くんは私の想像とは全然違う人でさ。だから最初はセフレのつもりだったのに、気がついたら私も颯太くんのことが大好きになっちゃってた」
「……それならさ」
「両思いだし付き合っちゃえばいいじゃんって思うでしょ?」
「うん」
俺のセリフは完璧に彩華さんの想定内だったらしい。
「それはね、ダメなの。颯太くんがこんなにも優しくて誠実な人だからこそ絶対にダメ」
「なんで……」
「だって私こんなだもん。絶対いつか颯太くんのことを傷つけるよ。自信がある」
「……」
「だからさ、たとえ両思いでも私は颯太くんの彼女にはなれないの。もちろん颯太くんのせいじゃないよ、私に問題があるの。私、自分のことが全く信用できないから。大好きな颯太くんにトラウマなんか残したくないし」
「……そっか」
「うん。だからさ、もうこれ以上私のことを好きにならないで」
「そんなことを言われても……」
「お願い。じゃないと私はもう、颯太くんと一緒にいられなくなるから」
「……」
「その代わり、私はこれからも本気で颯太くんのことを好きでいるから。私が颯太くんに片思いをしてるくらいの関係が私たちにはちょうど良いと思う」
いやそれ、明らかに無理な要求じゃない? だって俺はもう本気であなたのことが……。
「急にこんなことを言われても難しいのは分かってるよ。人の感情ってそう簡単にコントロールできるものじゃないし。でも……」
「うん」
「せめて『彼女になって』という言葉は、その言葉だけは……、もう言わないでほしい。本当に申し訳ないけど、これからも『期間限定のパートナー』でお願いします」
実現不可能な要求の次に出てきたのは、明確な拒絶な意思が込められた言葉だった。つら。
正直受け入れられないし、受け入れたくない。でも今の言葉に対して俺にできる返事は……。
「……分かった」
その一言しかなかった。
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