三年間片思いしていた同級生に振られたら、年上の綺麗なお姉さんにロックオンされた話

羽瀬川ルフレ

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15話 卒業

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「ねぇねぇ、一つ聞いていい?」
「何?」

 いつもの他愛もない会話の中、彩華さんは特に深い意味はない質問をしようとしているかのようなリラックスした様子で、そう切り出してきた。

 だから俺も特に深く考えずに無防備な状態で彼女に質問を促した。でも実際に飛んできた「質問」は俺にとってあまりにも予想外でかつ唐突なものだった。

「もしかしてさ、今日は手を出さないつもり?」
「!?」

 もし俺が何か飲み物を口に含んでいた状態だったら、漫画のように噴き出していたと思う。

「そんなにびっくりすること?」
「いや、えっ? あの、えーっと……」
「あー、なるほどねぇ、うん。……ごめんね? 私、颯太くんのことをちょっと誤解してたのかも」

 彩華さんは俺の慌てふためく俺の様子を見てどうやら何かを勝手に理解し、納得した様子だった。

 そして次の瞬間、急に自分の顔を俺の顔に近づけて、左手で俺の顔を軽く触ってきた。

 ――ドクン!!

 心臓が破裂しそうな勢いで鼓動する。

「だって颯太くん、こんなにカッコいいんだもん。こういうことには慣れてるんじゃないかなって思うじゃん?」

 彩華さんは左手の親指で、俺の唇を軽くなぞってきた。そして次の瞬間、俺の耳元で甘美な言葉を囁く。

「大丈夫。今日は私にまかせて」

 ――ドクン!! ドクン!!

 心臓の鼓動がますます激しくなる。そして、そんな俺の心臓にトドメを刺すかのように、彩華さんは耳元から少し顔を移動させて俺の頬に軽く口づけをしてから……

「……キス、しよう?」

 俺の目を見つめながら、至近距離でそんな言葉を囁いてきた。この世のものとは思えないくらい妖艶な表情をして。


 そこからの俺の記憶はやけに鮮明だけど、同時にひどくあいまいだった。完全にオスとしての本能に支配され、どん欲に彩華さんの体を貪り尽くしたことだけは覚えている。

 そして気がついたら俺も彩華さんもヘトヘトになってベッドでぐったりしていた。

 童貞のくせに何の問題もなくスムーズに最後までできちゃったのは、きっと彩華さんのリードが完璧だったから。

 まあ、俺が変な見栄を張ったりしないで、彩華さんの言うことを素直に聞いていたのもよかったかもしれないけど。

 一つだけ残念だったのは、順番が逆になってしまったこと。できれば体の関係を持つ前に、ちゃんと彩華さんに告白して彼氏彼女の関係になっておきたかった。

 でも過ぎたことを後悔しても仕方ない。今からでもちゃんと言うべきことを言っておかないと。

「彩華さん」
「うん?」
「好きです。俺と付き合ってもらえませんか」

 その時、俺は安心しきっていた。きっとOKの返事をもらえると信じて疑わなかった。彩華さんと俺は両思いで、断られるはずがないと確信していた。

 でも現実はそんなに甘くはなかった。

「ごめん、それは無理」
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