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第二十七話

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 仮に神になる事が100%成功するとしても大聖堂の跡取りが他国の神になるなんて許されないとか、テルラがなるならわたくしもなるだとか、そもそも神になるってどう言う事なのかとか、休み無く言い続けるレイ。
 反論したくてもする間も無く、そもそも何も分かっていないので何も言えないテルラ。
 そんな二人の横で興味無さそうにしていながらも部屋に罠か仕掛けが無いかを油断無く探っているグレイ。
「ここでは話が纏まらない様ですので、数日この村に留まって頭を冷やしてください。数日後、選択の結果を伺います」
 レイの激昂を意に介していないルーメンはカゲロウに視線で合図し、カゲロウは問題無いと頷きを返した。
 改めてテルラのオッドアイを見るオレンジ髪の美女。
「グラシラド国の王女と騎士を含む10人は、この村の記憶をカゲロウの魔法で消した上で帰って貰います。何か用事が有るなら今の内に。書簡やメモ書きは許可しません。記憶を消す意味が無くなってしまいますので」
「ミマルンだけは残して頂けませんか?」
 テルラのお願いはすぐさま却下された。
「王女が帰って来ず、記憶を無くした護衛だけが帰ったら、その日の内に捜索隊が出ます。ですので、ダメです」
「俺達が帰らなかったら同じじゃないのか?」
 グレイがもっともな事を言うと、カゲロウが魔法使いの長い杖をどこからか取り出し、床を軽く小突いた。
「貴女達は余所者だから『調査のためにリビラーナの国境で別れた』で通せるでしょう。私の幻術なら容易い事」
「ハイタッチ王子もそれで騙したんですのよね。しかし、その魔法に危険は有りませんの? ハイタッチ王子は、ちょっと異常な部分が見え隠れしていましたけれども」
 レイが訊くと、カゲロウは杖をソファーに立て掛けた。
「彼には5年も洗脳を続けていたので、確かに自我が壊れ始めていたかな。でなければ王族皆殺しなんか実行しなかったでしょう。そこは悪かったなとは思うわ」
 特に反省していない顔と口調で続けるカゲロウ。
「グラシラドの10人には王都に着くまで一心不乱に帰るだけになる洗脳をしますが、戦闘力は奪わないわ。山賊や野盗にやられますから。要するにちょっと複雑な幻術を行うので、多少のダメージは有ります。ですが、自宅で数日休めば元通りになる程度のダメージよ。問題ありません」
「と言う事で、一旦解散しましょう。テルラくんのお仲間は記憶を消さず、この屋敷に案内させます。皆様のお部屋は、グラシラドの人達が帰った後で用意させましょう」
 ルーメンが話を終えた事で、この場は解散となった。
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