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第二十七話
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グラシラド王国の王都より北は山と森林と谷ばかりだった。エルカノート王国の隣、ランドビーク王国も山と森の国だったか、それよりも森が濃い。戦争に人手と予算が取られているせいで街道や森林の整備までは気が回らないんだろう。
ミマルン達が言うには他の国も同じらしく、砂漠前の荒野まではこんな風景が延々と続くらしい。グラシラド王国の民家が木造だったのは、木材が潤沢に有るからだろう。
山道に入った当初は見晴らしが良く踏み慣らされた道を普通に進んでいたのだが、飽きが来るほど山賊に襲われた。女子供も含まれる悪人を全て殺害していたらさすがに殺し過ぎだし、手強い相手は他国のスパイである可能性もあると言う事で、わざわざ歩き難い獣道を選んで進む事にした。進むスピードは半分以下になったが、襲撃がほぼゼロになったお陰で戦闘時間が無くなり、結局はすんなりとリビラーナ王国の国境付近に辿り着く事が出来た。
「これより先は魔物が国境を守っています。どうされますか?」
王城で最新の情報を得ている黒髪褐色肌のミマルンが伺いを立てて来たので、森の中の開けたところで一旦休憩し、落ち着いて今度の相談をする事にした。
「戦うならいつも通りになります。戦力が増えていますが、作戦は変えられません。ですので、魔物の警備が薄い場所をこっそり通れれば一番良いのですが」
金髪の少年テルラが言うと、ミマルンが指を二本立てた。
「国境を守っている魔物は、国が調べた情報が古くなっていなければ二種類です。ひとつ目の巨人と、ニワトリです」
紫髪のラカラが大きな弓の具合を確かめながら説明を受け継ぐ。
「ニワトリは、トラップの一種である鳴子の役割を果たすそうですね。ひとつ目に気付かれずに侵入出来たとしても、ニワトリに鳴かれたら一発アウト、です」
大剣を背負った全身鎧のルロンドが生真面目に兜を外した。編まれた金髪が木漏れ日に輝く。
「勿論ひとつ目に見付かってもアウトです。戦闘無しの侵入が無理なので、何年も放置されています。ただ、中から魔物以外の何かが出て来る事も有りません。リビラーナ王国は戦争を拒否したいと思われているのもそのせいです」
話を聞いていたテルラが頷く。
「僕達は無理だと言って諦める事が出来ません。不死の魔物を探しつつ、魔物の警備が薄い部分を探しましょう。薄い部分が無ければ、少々危険ですが、僕を囮にしたレイの火力で突破しましょう」
「護衛としては良いよとは言えないっスが、ここまで来たらやるしかないっスね。全力で守るっスよ」
カレンとグレイも頷く。
「ここまで野営を何泊もしていて疲れているので、無理は出来ません。今日は休息も兼ねてここで一泊し、日の出と共にリビラーナ王国の国境を沿う形で歩きましょう」
反対意見が出なかったので、その作戦で行く事になった。
そして、翌日。
国境に近付き、遠目でひとつ目の巨人とにわとりを確認する。
巨人は身長3メートルは有る上半身裸のおじさん。基本手ぶらだが、そこらで拾った感じの丸太を持っている奴が10体に1体の割合で居る。
ニワトリは赤いトサカの普通のニワトリ。食材にしたら美味しそうだ。
それらの様子を伺い、生息数が少ないところが無いかと確認しながら進む。
山賊は出ないが、魔物に気付かるので草木を揺らして音を出せないため、凄く歩き難い。
今のところ三種類目の魔物は居ない。
「ちょっと待って。そこそこ人が居ます。建物も有ります。――これは村ですね。なぜこんなところに集まっているのかしら。隠れ里でしょうか」
遠見の魔法が使えるラカラが国境ではない方を指差した。
ミマルン達が言うには他の国も同じらしく、砂漠前の荒野まではこんな風景が延々と続くらしい。グラシラド王国の民家が木造だったのは、木材が潤沢に有るからだろう。
山道に入った当初は見晴らしが良く踏み慣らされた道を普通に進んでいたのだが、飽きが来るほど山賊に襲われた。女子供も含まれる悪人を全て殺害していたらさすがに殺し過ぎだし、手強い相手は他国のスパイである可能性もあると言う事で、わざわざ歩き難い獣道を選んで進む事にした。進むスピードは半分以下になったが、襲撃がほぼゼロになったお陰で戦闘時間が無くなり、結局はすんなりとリビラーナ王国の国境付近に辿り着く事が出来た。
「これより先は魔物が国境を守っています。どうされますか?」
王城で最新の情報を得ている黒髪褐色肌のミマルンが伺いを立てて来たので、森の中の開けたところで一旦休憩し、落ち着いて今度の相談をする事にした。
「戦うならいつも通りになります。戦力が増えていますが、作戦は変えられません。ですので、魔物の警備が薄い場所をこっそり通れれば一番良いのですが」
金髪の少年テルラが言うと、ミマルンが指を二本立てた。
「国境を守っている魔物は、国が調べた情報が古くなっていなければ二種類です。ひとつ目の巨人と、ニワトリです」
紫髪のラカラが大きな弓の具合を確かめながら説明を受け継ぐ。
「ニワトリは、トラップの一種である鳴子の役割を果たすそうですね。ひとつ目に気付かれずに侵入出来たとしても、ニワトリに鳴かれたら一発アウト、です」
大剣を背負った全身鎧のルロンドが生真面目に兜を外した。編まれた金髪が木漏れ日に輝く。
「勿論ひとつ目に見付かってもアウトです。戦闘無しの侵入が無理なので、何年も放置されています。ただ、中から魔物以外の何かが出て来る事も有りません。リビラーナ王国は戦争を拒否したいと思われているのもそのせいです」
話を聞いていたテルラが頷く。
「僕達は無理だと言って諦める事が出来ません。不死の魔物を探しつつ、魔物の警備が薄い部分を探しましょう。薄い部分が無ければ、少々危険ですが、僕を囮にしたレイの火力で突破しましょう」
「護衛としては良いよとは言えないっスが、ここまで来たらやるしかないっスね。全力で守るっスよ」
カレンとグレイも頷く。
「ここまで野営を何泊もしていて疲れているので、無理は出来ません。今日は休息も兼ねてここで一泊し、日の出と共にリビラーナ王国の国境を沿う形で歩きましょう」
反対意見が出なかったので、その作戦で行く事になった。
そして、翌日。
国境に近付き、遠目でひとつ目の巨人とにわとりを確認する。
巨人は身長3メートルは有る上半身裸のおじさん。基本手ぶらだが、そこらで拾った感じの丸太を持っている奴が10体に1体の割合で居る。
ニワトリは赤いトサカの普通のニワトリ。食材にしたら美味しそうだ。
それらの様子を伺い、生息数が少ないところが無いかと確認しながら進む。
山賊は出ないが、魔物に気付かるので草木を揺らして音を出せないため、凄く歩き難い。
今のところ三種類目の魔物は居ない。
「ちょっと待って。そこそこ人が居ます。建物も有ります。――これは村ですね。なぜこんなところに集まっているのかしら。隠れ里でしょうか」
遠見の魔法が使えるラカラが国境ではない方を指差した。
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