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第二十六話

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「いいか、オペレッタ。眼帯は左右どっちでも着けられる物を選ぶんだぞ。船乗りが利用してるショップかストアに行けば必ず有る。自作するにしても、既製品を参考にしろ」
「分かっていますわ。グレイに教わった事は漏らさずノートに書き残しておりますので大丈夫ですわ」
「花の形になっている眼帯は使い物にならないから貰っておく。俺には必要な物だからな」
 オペレッタとの別れを済ませたグレイは、複雑な心境でグラシラドの港に降り立った。
 また海と別れるのかと奥歯を噛み締めながら去って行くオペレッタの船を見送っていると、隣で荷物の整理をしていたカレンが大きなリュックを背負った。
「さっきの眼帯の話って何?」
「今着けているこの眼帯は、元々オペレッタが着けていたんだ。海賊は眼帯を着けているイメージだからって言ってな。だが、これじゃ本来の使い方が出来ないから俺が取り上げたんだ」
「本来の使い方って?」
「船乗りじゃない奴に教えても意味が無いから気にするな。眼帯を使わない船乗りの方が多いし。さ、行くぞ」
 グレイとカレンは、今後の相談をしているテルラ達と合流する。いつも通りこの港町で物資の補給をする、と話し合っていた。その後、ミマルンの案内でグラシラドの王都を目指す。
「太陽の位置は――お昼前後、と言ったところですか。宿を取らずに出発しても良さそうな時間ですが、
どうしましょう」
 テルラが仲間の顔を見渡すと、ミマルンが小さく手を上げた。
「帰還を手紙に書いて王城に送りたいので、その時間を頂きたいです」
「先触れは必要ですわね。なら、出発は明日早朝にしましょうか。オペレッタのお陰で大分時間を短縮出来ましたので、急ぐ必要はありませんわ」
 潮風に揺れる銀髪を手で押さえながら言うレイ。
 異論が出なかったので、補給の後に宿を取って一泊する事になった。
「急いで手紙を書きますわ。では、後ほど合流しましょう」
 一礼したミマルンが郵便局を探して去って行ったので、テルラ達も補給のために港から街に移動した。
「なんか地面がユラユラするねぇ」
「気持ち悪いっスねぇ」
 カレンとプリシゥアが妙な違和感で歩き辛くしている。
 レイとテルラは何も言わないが、同じ感覚で気持ち悪くなっていた。
「陸酔いだな。ずっと海の上に居たから、誰でもそうなる。陸に慣れれば治るから気にせず歩け」
 この感覚に慣れているグレイが、黒コートの下に有る長銃と拳銃の位置を確認した。
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