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第二十四話

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 視界いっぱいに広がる海は広く青い。
 空も青くて程良く雲が流れている。
 バカンスには最高のロケーションだが、波打ち際で座っているテルラは放心状態になっていた。
 その背後では二本の木の間にロープが張られており、テント、空のリュック、衣類とタオル類、そして毛布が干されている。
 今日の午前、テルラ一行は海を渡る定期船に乗って半島の国に向かっていた。
 歩かなくて良い、退屈で平穏な旅だった。
 迫って来る海賊が発見されるまでは。
 そこからはスープ鍋をひっくり返した様な騒ぎになった。
 女性が乗っているとバレとあらゆる意味で危険なので、一般乗客は船底に、王女一行は小舟で逃がされた。
 王女が誘拐されたらもちろん、戦闘で怪我でもされたら船側は責任を取れない。
 下手したら死刑になるのではと怯えていたので、レイがそんな事にならないと言ってはみたものの、海賊旗を掲げた船がどんどん迫って来ているので聞き入れては貰えなかった。
 海賊はほぼ確実に銃を撃って来るし、有名な海賊だと大砲を装備している場合も有る。
 もたもたしていると逃がした小舟を発見されて撃たれる恐れが有ると、無理矢理押し出される様に小舟に乗せられた。そっちの方が失礼だし不敬じゃないのとカレンが抗議したが、パニックになっている船員の耳には届かなかった。
 結果、遠洋の高波で小舟は転覆。
 空気を含んだ荷物に掴まって浮くテルラとカレン。
 そのリュックに縋る仲間達。
 全員が泳ぎに慣れていないので沈まない様にバチャバチャと動いている内に、ふたつのリュックは海流に流されて二手に分かれてしまった。
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