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第十五話

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 少し雲が出ている青空の元、テルラパーティは山登りをしていた。
 大きなリュックを背負っているカレンは、観光客の様に周囲をしきりに見渡していた。
「へぇー。山の中に有る街って、こうやって畑を作るんだね」
 かなり広い山道の両脇には、のどかな段々畑が広がっていた。上から下まで様々な野菜が植えられており、瑞々しい葉っぱを山風で揺らしている。今は昼過ぎで気温が高いので、畑の世話をしている人の姿は少ない。
「ランドビークは国土の半分が山っスからね。土地を無駄にしない技術が発達してるんスよ」
 しんがりを務めているプリシゥアが、後方の安全を確かめながら言う。農夫に引かれた農耕牛が一行を追い掛ける様に登って来ているが、歩くスピードはこちらの方が早いので危険は無い。
「それよりも、このまま登っても宜しいのでしょうか。畑の中にテントを張る事になったら農家の方のご迷惑になりますが」
 先頭を歩くレイが心配そうに山頂を見上げた。
 左右に広がる段々畑の向こうには数軒の農家が見えるが、それ以外に建築物は無い。宿は勿論、商店も期待出来ない。
「大丈夫なはずです。上の方に有る水源地帯は立ち入り禁止で、畑は有りません。代わりに手付かずの森が広がっているそうなので、そこにちょっと入ったところなら野営しても問題は無いでしょう」
 レイの後ろ、カレンの隣に居るテルラが言う。彼も大きなリュックを背負っていて、山間の街で買った保存食をたっぷり入れている。山の中の街なので布などの物資は少ないが、肉や果実は潤沢だったので、食の心配は無い。
「手付かずの森って事は、虫や動物に注意っスね」
「順番で火の番をしないとだねぇ」
 プリシゥアとカレンが日が暮れてからの手順を確認している。野営の経験をたくさん積んだので、少ない言葉で事足りる。
「明日はその森の外周を沿って山の向こう側に行き、山を下ります。今後も同じ様にして山越えを繰り返しますので、頑張って歩きましょう」
「はーい」
 リーダーであるテルラに返事を返した女性陣は、明確になった今日の目的地に向けて気持ちを新たにした。
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