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第八話

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 安くて量が多い旅人向けの昼食を終えたテルラパーティは、飯屋の前で円陣を組んだ。
「では、今回の現象について聞き込みをしましょう。街の人も困っているでしょうから、きっと協力してくれるでしょう」
 テルラの言葉に頷く一行。
 周囲では大勢の街の人が行きかっている。不老不死の魔物が居るかも知れない疑惑が無ければ、特産や名所の無い街にしては活気が有ると思う間も無く通り過ぎていただろう。
「効率を求め、二手に分かれましょうか」
「じゃ、護衛の私はテルラ組っスね」
 プリシゥアは、言いながらレイの出方を伺った。
 予想通り、銀髪の美女はテルラの横に来た。
「わたくしも――」
「いや、待ってくれ。レイはカレンと組んでくれ。俺は単独で動く。2、2、1の三手で動くんだ」
 片手を上げたグレイがレイの動きを制する。
 異論が出る前に考えを言う。
「魔法が使える様な魔物が関わっているとしたら、目的が謎過ぎる。誰もが動けないくらい真っ暗にして何がしたいんだ?」
「確かに。人が食べられている訳でもなく、何かが破壊されている訳でもない様ですしね。魔物だけは動けると仮定しても、何をしているのかさえ分かりません。不気味です」
「だが、何度もやっているからには必ず目的が有る。そこに人間が関わっているのなら、聞き込みを始めた俺達の様子を伺うかも知れない。俺は一歩離れ、そう言う動きが無いかを探る」
「人間が魔物を利用していると? そして、そんな人間が街中に居ると?」
「本当に利用出来るかどうかは分からん。ただ単純に、朝が来たら咲く花の様に、何の目的も無く反射の様に闇を放っている魔物が居るだけかも知れない」
 黒コートの下で形見の長銃を撫でるグレイ。
「だが、今回みたいに取っ掛かりも無いケースなら、あらゆる事態を想定すべきだ。現に、なんだ、名前は忘れたが、洞窟の中で魔物を殺して何かを召喚しようとしていた奴が居ただろう?」
「ハイタッチ王子……ですか?」
「前例が有るんだから、やばい奴の存在を警戒すべきだ。――本来なら、リーダーが率先して警戒すべきだ。物事を正面から見てばかりだと足元を掬われるぞ」
「勉強になります。気を付けましょう」
「部下も指示待ちばかりだとリーダーの重荷になるから、こうして助言はするがな。最終判断はどうしてもリーダーがしなくてはならない。――どうする?」
「船長経験の有るグレイの意見を参考にして、三手で動きましょう。レイとカレンはアップタウン中心に、僕とプリシゥアはダウンタウン中心に聞き込みをします。グレイは怪しい人を探ってください。夕飯時にまたここに集合しましょう」
「了解」
 レイだけは不満そうな顔をしたが、ワガママを言って仕事に支障が出るとテルラに嫌われるだろうから、反対しないで指示に従った。
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