21 / 277
第三話
3
しおりを挟む
レイ、カレン、グレイの三人は、街の入り口付近に有る教会の門を潜った。
「海賊が大手を振って教会に入るのは違うよな」
ふと思い至ったグレイが自慢の海賊帽を脱ぐ。
「海賊が教会に入っちゃダメなの?」
カレンが不思議がっているので、レイが説明する。
「戦争時、教会が避難場所になるって説明を受けたでしょう? どんなに戦況が悪くなっても、教会は不可侵であると」
「うん。その時の為の通信を使って許可証を申請してるんだよね」
「凶悪なテロリストも、よほどの目的が無ければ教会を襲ったりはしません。しかし、海賊はお構いなしです。お金持ちの家を襲うノリで教会を焼いたりします。だから海賊は野蛮だと嫌われているんです」
「へぇ、そんな事してるんだ。怖いね」
「ここは内陸だから海賊に襲われた事は無いだろうが、それでも余計な波風は起こさない方が良いだろう。教会の力でハンターになるんだからな」
グレイは自分が放った言葉で顔を歪ませた。
「陸の上の俺は海賊の恰好をしたハンターって事になるのか。親父やおふくろはこんな俺をどう思うのかな……」
「何独り言言ってるの?」
立ち止まって暗い顔をしているグレイを気にするカレン。
「なんでもない。今は一文にもならない拘りを気にしている場合じゃないって確認しただけだ。――行くぞ」
グレイが先頭になって教会の玄関ドアを開けた。
広い礼拝堂は誰も居らず、閑静な空間になっている。
「ごきげんよう。どなたかいらっしゃいませんか?」
レイが先頭に立って声を張ると、奥から中年のシスターが出て来た。
「はい、何か御用でしょうか」
「テルラティア様がこちらにいらしているはずですので、御取り次ぎを願いますわ。レインボーが来たと伝えて頂ければ十分ですので」
「レ、レインボー姫!? 少々お待ちください」
慌てて奥に戻る中年のシスター。
ここが貴族の家だったらお茶やお菓子が出て来るのだろうが、教会内は女神を敬う場なので、王女と言えども特別扱いされない。なので、普通の客人と同じく、規則正しく配置されている長椅子のひとつに座って待つ。
「みなさん、お疲れ様です。どうでしたか?」
金髪のテルラが礼拝堂にやって来た。旅支度のままだが、大きなリュックは背負っていない。
「役所に行ってハンター向けのクエストが張り出されているって説明された掲示板を見たんだけどさぁ。ロクな依頼が無いのよ」
カレンが肩を竦め、その後を継ぐ様にレイが続ける。
「猫探し。ハチの巣駆除。ドブ川のネズミ退治。そんな仕事ばっかり。そんな物がハンターの仕事なのかと言う疑問は脇に置いて、48の魔物を探すと言うわたくし達の目的に沿う依頼は有りませんでしたわ」
「だからリーダーの意見を聞きに来たって訳だ」
グレイは女神の絵のステンドグラスを物珍しそうに見上げている。
「ここも聖都から徒歩一日の都会ですから、魔物はそんなに居ないんでしょうね」
テルラも適当な長椅子に座る。
「都会だから魔物が居ないってんなら、俺のハンター証明証が来たらすぐに田舎に移動するか?」
「仕事が無いのならグレイの言う通りにするしかないでしょうね。ハンター証明証は明日明後日には来るでしょうから、取り敢えず今日一日は様子を見ましょう」
「なら、猫探しをしますか? わたくし、ネズミ退治は嫌ですわよ?」
レイが嫌そうな顔をしたら、テルラは苦笑した。
「旅費はまだ十分に有りますから、今日のところは無理に仕事をする必要は無いでしょう。勿論、お金を稼ぎたいのなら、一人用の仕事をしても構いません」
「俺はまだ仕事出来ないよな?」
「はい。グレイはまだハンターではありませんから。ハンターでなくても受けられる仕事が有るのなら、許可証が来るまでの間だけならそれをしても構いませんけど」
「役所には無かったな。一般人はどこで仕事を探すんだろう?」
「それは――僕には分かりません。取り敢えず、今日の行動は各々の判断に任せます。勿論、仲間に迷惑を掛けない範囲でお願いします」
「なら、わたくしはテルラと一緒に居ますわ。テルラはこれから何をなさるんですか?」
「何も予定は有りませんが、大聖堂から質問が飛んで来たら対応しなければならないのでここから動けません。ですので、祭事のお手伝いでもしようかと」
「わたくしも、お邪魔にならない程度にお手伝い致しますわ。どうせ退屈ですから」
「ありがとう、レイ。カレンとグレイはどうしますか?」
帽子を小脇に抱えて座っているグレイが首を捻る。
「俺はどうしようかな。――なぁ、カレン。朝飯の金、余っただろ? 昼飯分は貰えるのか?」
「テルラ?」
「どうぞ」
カレンに視線を向けられたテルラは頷きを返す。
「じゃ、私もこのお金でお昼を食べるから山分けね。おつりはちゃんとテルラに返してね」
カレンはグレイと自分で一食分ずつ分け、余った小銭をテルラに返した。その小銭を共用のサイフに仕舞うテルラ。
「では、午後は自由行動で。日が暮れる前にこの教会に帰って来てください。無料で泊めてくれるそうです。夕飯は出ますが、精進料理のポテトサラダのみですので、外で食べて来ても良いですよ」
「分かった。ところで、プリシゥアは?」
護衛でリーダーから離れられないはずの少女モンクの姿を探し、礼拝堂を見渡すカレン。お昼ご飯の時間帯なので、礼拝に訪れる人は一人も居ない。
「僕が教会から出ないと知ったら、いつの間にか居なくなりました。まぁ、教会内なら護衛は要りませんからね。構わないでしょう」
「もう、テルラは優し過ぎですわ。代わりにわたくしが叱って差し上げますわ」
レイが腕を組んで頬を膨らませると、カレンがクスクスと笑った。
「自由時間だから別に良いじゃない。って事で、お昼食べに行って来ます。行こう、グレイ」
「ああ。夕方までブラブラして来る」
「行ってらっしゃい」
立ち上がったテルラに見送られ、カレンとグレイは教会を後にした。
「海賊が大手を振って教会に入るのは違うよな」
ふと思い至ったグレイが自慢の海賊帽を脱ぐ。
「海賊が教会に入っちゃダメなの?」
カレンが不思議がっているので、レイが説明する。
「戦争時、教会が避難場所になるって説明を受けたでしょう? どんなに戦況が悪くなっても、教会は不可侵であると」
「うん。その時の為の通信を使って許可証を申請してるんだよね」
「凶悪なテロリストも、よほどの目的が無ければ教会を襲ったりはしません。しかし、海賊はお構いなしです。お金持ちの家を襲うノリで教会を焼いたりします。だから海賊は野蛮だと嫌われているんです」
「へぇ、そんな事してるんだ。怖いね」
「ここは内陸だから海賊に襲われた事は無いだろうが、それでも余計な波風は起こさない方が良いだろう。教会の力でハンターになるんだからな」
グレイは自分が放った言葉で顔を歪ませた。
「陸の上の俺は海賊の恰好をしたハンターって事になるのか。親父やおふくろはこんな俺をどう思うのかな……」
「何独り言言ってるの?」
立ち止まって暗い顔をしているグレイを気にするカレン。
「なんでもない。今は一文にもならない拘りを気にしている場合じゃないって確認しただけだ。――行くぞ」
グレイが先頭になって教会の玄関ドアを開けた。
広い礼拝堂は誰も居らず、閑静な空間になっている。
「ごきげんよう。どなたかいらっしゃいませんか?」
レイが先頭に立って声を張ると、奥から中年のシスターが出て来た。
「はい、何か御用でしょうか」
「テルラティア様がこちらにいらしているはずですので、御取り次ぎを願いますわ。レインボーが来たと伝えて頂ければ十分ですので」
「レ、レインボー姫!? 少々お待ちください」
慌てて奥に戻る中年のシスター。
ここが貴族の家だったらお茶やお菓子が出て来るのだろうが、教会内は女神を敬う場なので、王女と言えども特別扱いされない。なので、普通の客人と同じく、規則正しく配置されている長椅子のひとつに座って待つ。
「みなさん、お疲れ様です。どうでしたか?」
金髪のテルラが礼拝堂にやって来た。旅支度のままだが、大きなリュックは背負っていない。
「役所に行ってハンター向けのクエストが張り出されているって説明された掲示板を見たんだけどさぁ。ロクな依頼が無いのよ」
カレンが肩を竦め、その後を継ぐ様にレイが続ける。
「猫探し。ハチの巣駆除。ドブ川のネズミ退治。そんな仕事ばっかり。そんな物がハンターの仕事なのかと言う疑問は脇に置いて、48の魔物を探すと言うわたくし達の目的に沿う依頼は有りませんでしたわ」
「だからリーダーの意見を聞きに来たって訳だ」
グレイは女神の絵のステンドグラスを物珍しそうに見上げている。
「ここも聖都から徒歩一日の都会ですから、魔物はそんなに居ないんでしょうね」
テルラも適当な長椅子に座る。
「都会だから魔物が居ないってんなら、俺のハンター証明証が来たらすぐに田舎に移動するか?」
「仕事が無いのならグレイの言う通りにするしかないでしょうね。ハンター証明証は明日明後日には来るでしょうから、取り敢えず今日一日は様子を見ましょう」
「なら、猫探しをしますか? わたくし、ネズミ退治は嫌ですわよ?」
レイが嫌そうな顔をしたら、テルラは苦笑した。
「旅費はまだ十分に有りますから、今日のところは無理に仕事をする必要は無いでしょう。勿論、お金を稼ぎたいのなら、一人用の仕事をしても構いません」
「俺はまだ仕事出来ないよな?」
「はい。グレイはまだハンターではありませんから。ハンターでなくても受けられる仕事が有るのなら、許可証が来るまでの間だけならそれをしても構いませんけど」
「役所には無かったな。一般人はどこで仕事を探すんだろう?」
「それは――僕には分かりません。取り敢えず、今日の行動は各々の判断に任せます。勿論、仲間に迷惑を掛けない範囲でお願いします」
「なら、わたくしはテルラと一緒に居ますわ。テルラはこれから何をなさるんですか?」
「何も予定は有りませんが、大聖堂から質問が飛んで来たら対応しなければならないのでここから動けません。ですので、祭事のお手伝いでもしようかと」
「わたくしも、お邪魔にならない程度にお手伝い致しますわ。どうせ退屈ですから」
「ありがとう、レイ。カレンとグレイはどうしますか?」
帽子を小脇に抱えて座っているグレイが首を捻る。
「俺はどうしようかな。――なぁ、カレン。朝飯の金、余っただろ? 昼飯分は貰えるのか?」
「テルラ?」
「どうぞ」
カレンに視線を向けられたテルラは頷きを返す。
「じゃ、私もこのお金でお昼を食べるから山分けね。おつりはちゃんとテルラに返してね」
カレンはグレイと自分で一食分ずつ分け、余った小銭をテルラに返した。その小銭を共用のサイフに仕舞うテルラ。
「では、午後は自由行動で。日が暮れる前にこの教会に帰って来てください。無料で泊めてくれるそうです。夕飯は出ますが、精進料理のポテトサラダのみですので、外で食べて来ても良いですよ」
「分かった。ところで、プリシゥアは?」
護衛でリーダーから離れられないはずの少女モンクの姿を探し、礼拝堂を見渡すカレン。お昼ご飯の時間帯なので、礼拝に訪れる人は一人も居ない。
「僕が教会から出ないと知ったら、いつの間にか居なくなりました。まぁ、教会内なら護衛は要りませんからね。構わないでしょう」
「もう、テルラは優し過ぎですわ。代わりにわたくしが叱って差し上げますわ」
レイが腕を組んで頬を膨らませると、カレンがクスクスと笑った。
「自由時間だから別に良いじゃない。って事で、お昼食べに行って来ます。行こう、グレイ」
「ああ。夕方までブラブラして来る」
「行ってらっしゃい」
立ち上がったテルラに見送られ、カレンとグレイは教会を後にした。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~
ふゆ
ファンタジー
私は死んだ。
はずだったんだけど、
「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」
神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。
なんと幼女になっちゃいました。
まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!
エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか?
*不定期更新になります
*誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください!
*ところどころほのぼのしてます( ^ω^ )
*小説家になろう様にも投稿させていただいています
惣菜パン無双 〜固いパンしかない異世界で美味しいパンを作りたい〜
甲殻類パエリア
ファンタジー
どこにでもいる普通のサラリーマンだった深海玲司は仕事帰りに雷に打たれて命を落とし、異世界に転生してしまう。
秀でた能力もなく前世と同じ平凡な男、「レイ」としてのんびり生きるつもりが、彼には一つだけ我慢ならないことがあった。
——パンである。
異世界のパンは固くて味気のない、スープに浸さなければ食べられないものばかりで、それを主食として食べなければならない生活にうんざりしていた。
というのも、レイの前世は平凡ながら無類のパン好きだったのである。パン好きと言っても高級なパンを買って食べるわけではなく、さまざまな「菓子パン」や「惣菜パン」を自ら作り上げ、一人ひっそりとそれを食べることが至上の喜びだったのである。
そんな前世を持つレイが固くて味気ないパンしかない世界に耐えられるはずもなく、美味しいパンを求めて生まれ育った村から旅立つことに——。
王太子様に婚約破棄されましたので、辺境の地でモフモフな動物達と幸せなスローライフをいたします。
なつめ猫
ファンタジー
公爵令嬢のエリーゼは、婚約者であるレオン王太子に婚約破棄を言い渡されてしまう。
二人は、一年後に、国を挙げての結婚を控えていたが、それが全て無駄に終わってしまう。
失意の内にエリーゼは、公爵家が管理している辺境の地へ引き篭もるようにして王都を去ってしまうのであった。
――そう、引き篭もるようにして……。
表向きは失意の内に辺境の地へ篭ったエリーゼは、多くの貴族から同情されていたが……。
じつは公爵令嬢のエリーゼは、本当は、貴族には向かない性格だった。
ギスギスしている貴族の社交の場が苦手だったエリーゼは、辺境の地で、モフモフな動物とスローライフを楽しむことにしたのだった。
ただ一つ、エリーゼには稀有な才能があり、それは王国で随一の回復魔法の使い手であり、唯一精霊に愛される存在であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる