コウは布を染める

田原更

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バラの花びら染め(3)

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 酢の水溶液を足した日を一日目として、あと一週間様子を見ることに。

 二日目:液の色が薄ピンクになる
 三日目:液の色が二日目より濃くなる
 四日目:さほど変化なし
 五日目:変化なし
 六日目:変化なし……。

 この間、頭の中は染め物のことでいっぱい。染色作業の際、染液を水で薄めたら染まる色は薄くなるのか、かといって、薄めなければ、灰汁を足したときのpHはどうなるのか……。

 そろそろ潮時かと思い、六日目で染色作業を始めることにしました。

 まずは灰汁の準備。

 お線香用のわら灰カップ1と水カップ3を土鍋で沸騰させ、コーヒーフィルターでこします。

 花びらと酢の水溶液を瓶から引き上げ、花をごみ取りネットに入れて、汁を搾り出します。加減がよくわからず、汁はあまり出てきませんでした。

 こうしてできた染液に、灰汁の上澄みを少しずつ入れ、シルクのスカーフが浸かりそうな液量になったところで、スカーフを投入。重しをのせて、30分待ちます。

 30分後、取り出してみると、うっすらピンクに染まっていました。

 これを色落ちしなくなるまで、じゃぶじゃぶ洗います。二回水を替えたら、もう色が落ちてこなくなる。

 スカーフを染液に戻し、あと30分浸けておきます。その間にお片付け。鍋に残った灰は庭に捨てる。

 染液に二回浸ければ、紫がかった濃いピンク色に染まるそうですが、さてはて結果は……?

 薄いピンク色でした。

 やっぱり、濃く染めるのは難しいようです。レシピ通りの分量じゃなかったのがいけないのか、やり方が悪いのか……。

 でも、上品なピンク色で、これはこれで素敵です。

 色落ちが怖いので、今回はおしゃれ着洗い用の洗剤を使って洗濯するのはやめておくことにしました。

 染液が余ってしまったので、スカーフをもう一枚投入。こちらは、一晩浸けたらどうなるか試すことにしました。

 結果は……前日染めたものより、紫がかかった薄ピンクでした。

 植物の命の、最期の煌めきをいただいたように感じて、とても感動しました。

 染め物をとおして、執筆とは違う静かな喜びを感じています。ますますはまりそうです。


参考資料:染色・草木染めにおけるバラ(薔薇)iroai.jp
https://iroai.jp/rose-dyeing/
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