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中編 ミーナは糸を染める
第28話 二つの女神像(2)
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「あなたの結婚相手のイェルクさまは、デゼルタ軍から、黒髪の復讐鬼とよばれていたとか」
またしても、アラリケの言葉がミーナの脳裏をかすめていった。ミーナは思わず首を振った。
「それに緑の瞳をしてらっしゃるとか!まるであの悪魔みたいに。きっと恐ろしい方に違いないわ!そんな人の元に嫁ぐなんて、ウィルヘルミーナさん、あなたなんてかわいそうなんでしょう!」
(違う…違うわ!わたしはイェルクのことを、恐れてなんかいない!)
ミーナはアラリケの言葉を必死の思いで振り払い、もう一度イェルクを見つめた。イェルクは目を細め、ミーナの頭を子どものようになでた。
「今日は体調が優れないのだったな。すまない。もう、休むといい」
「イェルク、違うわ!」
「やはり仮病だったのか」
「頭痛がしたのは、本当です。でももう平気です。それよりも、わたしは…」
ミーナは再びイェルクにしがみついた。今日こそは離れたくなかった。しかし、イェルクはミーナの身体を引きはがした。そして、もう一度、ミーナの頭を子どものようになでた。
「そう背伸びすることもあるまい。お前は何も知らないのだから」
何度も子ども扱いされて、ミーナはついに腹を立てた。
「わたしは何も知らない子どもではありません!すべて…すべて知っているのですから!」
「誰がお前にそんな話をした」
イェルクは心底不快そうに言った。
「修道院で聞いたのです!」
「修道院では、庶民の娘とも一緒に暮らしていたそうだな。それで聞いたのか」
「違います。ここよりもっといい家柄の娘から聞きました!」
ミーナはむきになって言い返した。
「誰から聞いたのかは、この際どうでもよい。重要なのは、お前が怖がりの子どもと変わらないことだ」
「子どもではないと、何度言えばわかってくださるのですか!」
「お前はまだ子どもだ」
イェルクはぴしゃりと言い放った。その勢いに、ミーナはたじろぎ、うつむいた。男の人の大声は、なぜこんなに怖いのだろう、ミーナはそう思っていた。
「雷を怖がる、猟犬や鷹を怖がる。そして、本当は、私のことも恐れているのだろう?再会したときに、私を見上げた顔を覚えている。お前は私を心底恐れているようだった。だが無理もない。十年前の私と、戦場を駆け抜けてきた今の私とでは、それこそ人が変わったように異なるのだから」
「違います…」
ミーナはうつむいた顔を上げて、叫ぶように答えた。
「修道院には魔女がいたのです。わたしに、愛する人と心を通わせなくなる呪いをかけた魔女が。魔女はわたしに言ったのです。イェルクはデゼルタ国では黒髪の復讐鬼と呼ばれる恐ろしい男だ、そんな男に嫁ぐわたしはかわいそうだと!もちろん、わたし自身はそんなことを思ってはいません!あなたがデゼルタでなんと呼ばれようと、わたしの知ったことではありません!わたしが知っているあなたは、優しかったイェルクお兄さまです…」
イェルクは長いため息をついたあと、やはり子どもに言い聞かせるような口調で語り出した。
「その、魔女とやらの言うとおりだ。私は恐ろしい男だ。子どもの頃とは違うのだよ。それをお前が受け止められるようになるまでは、私はお前に手を出す気はない」
ミーナは頭がくらくらしてきた。どうして自分のせいにされるのか、ミーナは悔しくてたまらなかった。
「わたしがあなたを恐れていたとしても、それを優しくほだすのが、殿方のつとめではありませんか!」
ミーナの発言に、今度はイェルクが顔を引きつらせた。
「なんということを。修道院ではよほど悪いご友人がいたようだな」
「友人ではありません。魔女です」
イェルクは気を取り直すように、椅子に腰掛けた。
「それに、今はお前にとって学びの時期だ。今は糸を紡いでいるのだろう?この部屋で糸を紡いでいるようだが、どうして家事室でやらないのだ。家事室でメイド達の様子を見るのも、お前にとってはいい勉強になる。いずれは、メイド達を指揮するようになるのだから」
「それは…メイドたちの噂話が気になって、落ち着かないのですわ。集中しないといい糸は紡げません」
ミーナも寝台に腰掛けて、ぶつぶつ文句を言った。
「噂など、気にするなと言いたいところだが、気持ちはわかる。私も噂話は大嫌いだ。聞くのも、話している者を見るのもな。なぜなら私は、メイド達の噂話で、自分が母上の産んだ子どもではないと知ったのだから」
「そうだったのですか…」
ミーナはイェルクの辛い過去に同情した。ミーナも噂話には傷ついてきたからだ。
「だが、人の口に戸板は立てられぬ。おおらかな母上はそれをよくご存じだからメイド達をとがめなかった。あの厳しいゲルトルート様でさえ、それを止めることはできなかった。あの方も随分苦労なさったろう。子どもの頃はそれに気づかず、好き放題言ったものだが。その点では私もお前も、噂好きのメイド達もそうは変わらぬ。恥ずべきことだがな」
恥ずべきこととまで言われたミーナはぶすっとした。
「あの方の肩を持つのですか。わたしはあの方は大嫌いです。お母さまとわたしを隅に追いやって。何より、あの方はお母さまのことを魔女と呼んだのですよ!」
「なんだって…」
イェルクは目を見開いた。その目を見た瞬間、ミーナはあることを悟った。それはミーナにとって辛いことだった。ミーナはテーブルの上の女神像を改めて見つめた。恐ろしいくらい、お母さまにそっくりね。イェルクはどうして、ほんのわずかしか会ったことのないお母さまの顔を、克明に覚えているのかしら。その答えは明白だわ。
「ねえ、許せないと思いませんか?思うでしょう?愛する女性を、魔女だと侮辱した人のことなんて!」
その瞬間、イェルクの顔はこわばった。あの夜とどちらがよりこわばった表情を見せたか、ミーナに判別する余裕はなかったが。
「何を言うのだ」
ミーナの心のどこかが、もうやめなさい、と言っていた。そんなことをしても、イェルクも、ミーナ自身も傷つくだけだと。しかしミーナはもう止められなくなっていた。
「あなたがあの日助けたかったのは、わたしじゃなくてお母さまだわ。あなたはお母さまのために池に飛び込んだのよ。あなたはお母さまのことを姉のように思っていたと言っていたけど、それは嘘。あなたはお母さまを一人の女性としてみていたのよ。あなたはお母さまのことだけを守りたかったのよ。わたしなんてただのおまけなんだわ。お父さまと同じで、わたしのことなんかどうでもいいんだわ」
「ミーナ、もうやめてくれ」
イェルクは首を振った。それでもミーナは意地悪く話し続けた。
「きっとあなたはお母さま相手に騎士ごっこをしたかったのでしょうけど、おあいにくさま、お母さまはあなたのことを子どもだとしか思っていなかったわ。悔しいでしょう?子ども扱いされるのは」
「もうやめろ」
「やめません!」
ミーナの目からは熱い涙があふれてきた。ミーナはそれを拭いもせずに叫んだ。
「あなたはお母さまを愛していたのよ!一目会ったときから、ずっと。だから、十年経っても、お母さまそっくりな女神像を買ってこられたんだわ。わたしだってお母さまのことを愛しているわ!でも、わたしはお母さまの代わりじゃない!」
ミーナは激情に駆られて、テーブルの上の女神像を一つ持ち上げた。
「こんなもの、いらないわ!」
ミーナはそのまま、女神像を床に叩きつけようとした、そのときだった。
ぱちん、と大きな音がして、ミーナは自分の頬を抑えた。手元が狂ったせいで、女神像はただ床を転がっただけですんだ。
「いい加減にしろ…母親の形をしたものを、私の目の前で壊そうとするな」
イェルクはミーナの頬を平手で打ったのだ。それが、今でもクラーラを愛している証拠なのか、それとも、母親という存在そのものへの強い思慕によるものなのか、そのときのミーナに考える余裕はなかった。
「出て行ってください」
ミーナは頬を抑えたまま、怒りの形相でイェルクを見つめた。
「わかった」
イェルクは、床に転がった女神像をテーブルに戻し、もう一つの女神像を持って、部屋を出て行った。
その日は部屋に運ばせた正餐も、晩餐も、ミーナは一切食べなかった。
次の日、イェルクは城を立った。ミーナは見送りを拒否した。
それから数ヶ月間、二人は顔を合わせることすらなかった。イェルクは帰ってこなかったのだ。
またしても、アラリケの言葉がミーナの脳裏をかすめていった。ミーナは思わず首を振った。
「それに緑の瞳をしてらっしゃるとか!まるであの悪魔みたいに。きっと恐ろしい方に違いないわ!そんな人の元に嫁ぐなんて、ウィルヘルミーナさん、あなたなんてかわいそうなんでしょう!」
(違う…違うわ!わたしはイェルクのことを、恐れてなんかいない!)
ミーナはアラリケの言葉を必死の思いで振り払い、もう一度イェルクを見つめた。イェルクは目を細め、ミーナの頭を子どものようになでた。
「今日は体調が優れないのだったな。すまない。もう、休むといい」
「イェルク、違うわ!」
「やはり仮病だったのか」
「頭痛がしたのは、本当です。でももう平気です。それよりも、わたしは…」
ミーナは再びイェルクにしがみついた。今日こそは離れたくなかった。しかし、イェルクはミーナの身体を引きはがした。そして、もう一度、ミーナの頭を子どものようになでた。
「そう背伸びすることもあるまい。お前は何も知らないのだから」
何度も子ども扱いされて、ミーナはついに腹を立てた。
「わたしは何も知らない子どもではありません!すべて…すべて知っているのですから!」
「誰がお前にそんな話をした」
イェルクは心底不快そうに言った。
「修道院で聞いたのです!」
「修道院では、庶民の娘とも一緒に暮らしていたそうだな。それで聞いたのか」
「違います。ここよりもっといい家柄の娘から聞きました!」
ミーナはむきになって言い返した。
「誰から聞いたのかは、この際どうでもよい。重要なのは、お前が怖がりの子どもと変わらないことだ」
「子どもではないと、何度言えばわかってくださるのですか!」
「お前はまだ子どもだ」
イェルクはぴしゃりと言い放った。その勢いに、ミーナはたじろぎ、うつむいた。男の人の大声は、なぜこんなに怖いのだろう、ミーナはそう思っていた。
「雷を怖がる、猟犬や鷹を怖がる。そして、本当は、私のことも恐れているのだろう?再会したときに、私を見上げた顔を覚えている。お前は私を心底恐れているようだった。だが無理もない。十年前の私と、戦場を駆け抜けてきた今の私とでは、それこそ人が変わったように異なるのだから」
「違います…」
ミーナはうつむいた顔を上げて、叫ぶように答えた。
「修道院には魔女がいたのです。わたしに、愛する人と心を通わせなくなる呪いをかけた魔女が。魔女はわたしに言ったのです。イェルクはデゼルタ国では黒髪の復讐鬼と呼ばれる恐ろしい男だ、そんな男に嫁ぐわたしはかわいそうだと!もちろん、わたし自身はそんなことを思ってはいません!あなたがデゼルタでなんと呼ばれようと、わたしの知ったことではありません!わたしが知っているあなたは、優しかったイェルクお兄さまです…」
イェルクは長いため息をついたあと、やはり子どもに言い聞かせるような口調で語り出した。
「その、魔女とやらの言うとおりだ。私は恐ろしい男だ。子どもの頃とは違うのだよ。それをお前が受け止められるようになるまでは、私はお前に手を出す気はない」
ミーナは頭がくらくらしてきた。どうして自分のせいにされるのか、ミーナは悔しくてたまらなかった。
「わたしがあなたを恐れていたとしても、それを優しくほだすのが、殿方のつとめではありませんか!」
ミーナの発言に、今度はイェルクが顔を引きつらせた。
「なんということを。修道院ではよほど悪いご友人がいたようだな」
「友人ではありません。魔女です」
イェルクは気を取り直すように、椅子に腰掛けた。
「それに、今はお前にとって学びの時期だ。今は糸を紡いでいるのだろう?この部屋で糸を紡いでいるようだが、どうして家事室でやらないのだ。家事室でメイド達の様子を見るのも、お前にとってはいい勉強になる。いずれは、メイド達を指揮するようになるのだから」
「それは…メイドたちの噂話が気になって、落ち着かないのですわ。集中しないといい糸は紡げません」
ミーナも寝台に腰掛けて、ぶつぶつ文句を言った。
「噂など、気にするなと言いたいところだが、気持ちはわかる。私も噂話は大嫌いだ。聞くのも、話している者を見るのもな。なぜなら私は、メイド達の噂話で、自分が母上の産んだ子どもではないと知ったのだから」
「そうだったのですか…」
ミーナはイェルクの辛い過去に同情した。ミーナも噂話には傷ついてきたからだ。
「だが、人の口に戸板は立てられぬ。おおらかな母上はそれをよくご存じだからメイド達をとがめなかった。あの厳しいゲルトルート様でさえ、それを止めることはできなかった。あの方も随分苦労なさったろう。子どもの頃はそれに気づかず、好き放題言ったものだが。その点では私もお前も、噂好きのメイド達もそうは変わらぬ。恥ずべきことだがな」
恥ずべきこととまで言われたミーナはぶすっとした。
「あの方の肩を持つのですか。わたしはあの方は大嫌いです。お母さまとわたしを隅に追いやって。何より、あの方はお母さまのことを魔女と呼んだのですよ!」
「なんだって…」
イェルクは目を見開いた。その目を見た瞬間、ミーナはあることを悟った。それはミーナにとって辛いことだった。ミーナはテーブルの上の女神像を改めて見つめた。恐ろしいくらい、お母さまにそっくりね。イェルクはどうして、ほんのわずかしか会ったことのないお母さまの顔を、克明に覚えているのかしら。その答えは明白だわ。
「ねえ、許せないと思いませんか?思うでしょう?愛する女性を、魔女だと侮辱した人のことなんて!」
その瞬間、イェルクの顔はこわばった。あの夜とどちらがよりこわばった表情を見せたか、ミーナに判別する余裕はなかったが。
「何を言うのだ」
ミーナの心のどこかが、もうやめなさい、と言っていた。そんなことをしても、イェルクも、ミーナ自身も傷つくだけだと。しかしミーナはもう止められなくなっていた。
「あなたがあの日助けたかったのは、わたしじゃなくてお母さまだわ。あなたはお母さまのために池に飛び込んだのよ。あなたはお母さまのことを姉のように思っていたと言っていたけど、それは嘘。あなたはお母さまを一人の女性としてみていたのよ。あなたはお母さまのことだけを守りたかったのよ。わたしなんてただのおまけなんだわ。お父さまと同じで、わたしのことなんかどうでもいいんだわ」
「ミーナ、もうやめてくれ」
イェルクは首を振った。それでもミーナは意地悪く話し続けた。
「きっとあなたはお母さま相手に騎士ごっこをしたかったのでしょうけど、おあいにくさま、お母さまはあなたのことを子どもだとしか思っていなかったわ。悔しいでしょう?子ども扱いされるのは」
「もうやめろ」
「やめません!」
ミーナの目からは熱い涙があふれてきた。ミーナはそれを拭いもせずに叫んだ。
「あなたはお母さまを愛していたのよ!一目会ったときから、ずっと。だから、十年経っても、お母さまそっくりな女神像を買ってこられたんだわ。わたしだってお母さまのことを愛しているわ!でも、わたしはお母さまの代わりじゃない!」
ミーナは激情に駆られて、テーブルの上の女神像を一つ持ち上げた。
「こんなもの、いらないわ!」
ミーナはそのまま、女神像を床に叩きつけようとした、そのときだった。
ぱちん、と大きな音がして、ミーナは自分の頬を抑えた。手元が狂ったせいで、女神像はただ床を転がっただけですんだ。
「いい加減にしろ…母親の形をしたものを、私の目の前で壊そうとするな」
イェルクはミーナの頬を平手で打ったのだ。それが、今でもクラーラを愛している証拠なのか、それとも、母親という存在そのものへの強い思慕によるものなのか、そのときのミーナに考える余裕はなかった。
「出て行ってください」
ミーナは頬を抑えたまま、怒りの形相でイェルクを見つめた。
「わかった」
イェルクは、床に転がった女神像をテーブルに戻し、もう一つの女神像を持って、部屋を出て行った。
その日は部屋に運ばせた正餐も、晩餐も、ミーナは一切食べなかった。
次の日、イェルクは城を立った。ミーナは見送りを拒否した。
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