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前編 ミーナは糸を紡ぐ
第15話 女の務め(1)
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ミーナは何日も泣き続けた。ありとあらゆることがミーナを泣かせた。イェルクに拒絶された悲しみと怒り。レオポルトが亡くなった悲しみ。不甲斐ない自分への憤り。自分が誰の子かわからない恐怖と絶望。愛する人を忘れたクラーラへの哀れみと、そんなクラーラを喪った悲しみ。思えば、修道院の暮らしは、泣くことさえ困難にさせた。多くの娘たちが自分と同様に、親元を離れ不便な暮らしをしているのに、皆悲しみに耐えていたからだ。ここでは遠慮なく泣けた。優しいヘリガが、来る人すべてを追い払ってくれるからだ。
ヘリガは、ミーナがよほど乱暴に扱われたと思っているようだった。何度かイェルクがミーナの部屋を訪れたが、強い口調で入室を拒んでいた。その口調には怒りさえ感じられた。
「あのお方は、女心というものを全く理解できないようですわ。優しく慰めることさえできない。これからミーナお嬢さまがいらぬ苦労をなさると思うと、お気の毒で…」
どうやらヘリガは、幼い日にイェルクが慰めてくれなかったことをよく覚えているようだ。様子を見に来た他のメイドに愚痴をこぼすのを、ミーナはこっそり聞いていた。
一度、扉の外からマルクスの声がしたことがあった。
「イェルクは娘一人の機嫌も取れんのか!こんなことが、イメディング家の耳に入ったらどうする!」
もし、耳に入ったとしても、コンラートお兄さまが手を叩いて喜ぶだけよ、とミーナは思った。
一月近くが経ったある日のことだった。ヘリガはもう、城じゅうの人を追い払うのに疲れたのだろう。美しい服を用意してミーナに誘いかけた。
「ミーナお嬢さま、ご覧ください。どうです、この美しい緑の服!ビルング家の仕立職人にお願いして作ってもらったのですよ。若葉の美しい緑にそっくり!じきに五月になります。この緑の服を着て、外に出てみてはいかがですか?きっとご気分も晴れやかになりますよ」
ミーナは緑の服を手に取ったり、身体にあててみたりした。服はミーナの身体にぴったりと合った。ヘリガが細やかに製作を依頼したに違いなかった。確かにこの服を着れば、気分が少し楽になるだろう、とミーナは思った。
「ヘリガ。着替えさせて。それから、この服にあうように化粧してちょうだい」
ミーナがそう言うと、ヘリガは花のつぼみがぱっと開いたような顔をした。ヘリガは他のメイドも呼び、嬉しそうにミーナを着替えさせた。布で隠してしまうほど鏡を嫌うミーナのために、極力鏡を使わずに化粧を施し始めた。半分程度化粧が終わったあと、部屋の戸を叩く音がした。
「ミーナ、私だ。話がある」
部屋を訪れたのはイェルクだった。ヘリガは「いかがなさいますか?」とミーナに尋ねた。ミーナは一瞬ためらったが「帰ってもらって」と返事した。
ヘリガは部屋を出た。しばらく経つと、扉の外からイェルクの声が聞こえてきた。
「ミーナ、聞いてくれ。まずは子ども扱いしたことを謝る。お前を傷つけるつもりはなかった」
謝ったって、子どもだと思っているのは変わらないのでしょう、と、ミーナはふてくされた顔をした。
「これから私はしばらくの間城を留守にする。いつ帰るかはわからない。父上がお元気なうちに学ばねばならぬことが、私にはたくさんある。だから忙しいのだ。どうかわかってくれ」
そんなことは知らないわ、とミーナは思った。
「お前も、母上がお元気なうちに学ばねばならぬことがあるだろう。私の留守中は、母上の言うことをよく聞いて過ごすのだ。では、もう行くぞ」
ミーナはそっぽを向いて、イェルクに返事をすることも、別れの挨拶をすることも拒んだ。やがて足音がした。イェルクが去っていったのだ。ミーナは突然寂しくなってきた。ヘリガが室内に戻ってきた。
「ヘリガ、お願いよ。早く化粧をすませて」
ミーナは懇願した。ヘリガはミーナの思いをくんで、できる限り早く化粧をした。そしてミーナの髪を簡単に結い、頭に円錐形の帽子をかぶせた。
ミーナは部屋を飛び出し、一階に下り、城の外扉を開けた。
「イェルク!」
しかし、イェルクはもういなかった。ミーナの目には今日は一度も流れなかった涙が浮かんでいた。
ミーナはとぼとぼと部屋に戻った。部屋の近くで、ミーナはぎくりと立ち止まった。この一月近く、一度もここを訪れなかったカタリーナが部屋の前で立っていた。
ああ、叱られる…ミーナは覚悟を決めた。こういうときは、先に謝ったほうが心証がよくなる。これは修道院生活で学んだことだ。
「お義母さま、長い間伏せっておりまして、申し訳ありませんでした。どのようなお叱りも受けます」
しかし、カタリーナはにこにこ笑っていた。
「よかったわ。元気になって。その緑色の服、とても似合うわ。まるで五月の若葉のようね」
「いえ、そんな…」
ミーナは謙遜しつつ、カタリーナの笑顔を警戒していた。にこにこ笑っている人ほど怖いというのも、修道院生活で学んだことだ。
「でもね、それだと若葉の上に雪が積もっているようで、かわいそうだわ」
ミーナは言葉の意味をすぐには理解できずに戸惑った。カタリーナはミーナの化粧の濃さを批判しているのだとわかるまでに少し時間がかかった。確かに、ミーナの顔は雪のように白かった。カタリーナはほとんど化粧をしていないようだった。この国の説教師たちは化粧を軽薄だととがめていた。もちろん、修道院では誰も化粧などしていなかった。でも、一度化粧の魅力を知ったミーナは、それを手放したくはなかった。
「お義母さま…わたしは化粧なしでは、恥ずかしくて外を歩けません。どうかお許しください」
ミーナは自分の気持ちを正直に口にした。カタリーナは驚いた表情をした。
「どうして?ありのままのあなたでいたほうが、きっと素敵だと思うわ」
「そんなことはありません。わたしはあの蛮族どもと同じ髪の色、肌の色をしています。お義父さまやお義母さまに不愉快な思いをさせたくないのです」
それは言い訳だった。不愉快なのはミーナ自身だった。夫に拒絶された自分を、化粧ですべて塗りつぶしてしまいたかったからだ。
「気を遣う必要はないのよ、ミーナ。ここでは、赤毛の人など珍しくないのだから。ビルング領では、東の国からやってきた開拓者がたくさん暮らしているの。あなたの亡くなったお母さまは、記憶を無くされていたとうかがったけれど、きっと東の国のお生まれなのね。だから、あなたは赤毛をしているのだわ。それに、ね…」
カタリーナはミーナの頬にそっと手を当てた。乾いた手のぬくもりと、どこか甘い香りがミーナに伝わってきた。
「赤毛の人は、とても肌が薄いのだとか。だから、肌が赤く見えるのよ。あまりお化粧を濃くして、柔らかい肌を傷めては、かわいそうだわ」
カタリーナは優しく微笑んだ。ここ一月ほど、すべてを拒絶して泣き濡れていたミーナにとって、その木漏れ日のような優しさはむしろまばゆく感じられた。ミーナの心の中で、何かが溶けていった。これからイェルクとずっと一緒に暮らす以上、いつかは素顔を見られるのよ。そんなことがなぜわからなかったの?十年前は何も気にせずに側にいられたわ。今も、勇気を出せば、きっと大丈夫よ。ミーナは自分に言い聞かせた。
「あ、そうでした。こんな話をしに来たわけではないの。あなたに城の外を案内したくて…。ついてきてちょうだい」
「わかりました。その前に、化粧を落としてまいります、お義母さま」
ミーナは部屋に戻り、ヘリガに化粧を落とすように命じた。ヘリガは少しがっかりした顔をしたが、ミーナがもういいの、と言うと、素直に化粧を落とした。
ヘリガは、ミーナがよほど乱暴に扱われたと思っているようだった。何度かイェルクがミーナの部屋を訪れたが、強い口調で入室を拒んでいた。その口調には怒りさえ感じられた。
「あのお方は、女心というものを全く理解できないようですわ。優しく慰めることさえできない。これからミーナお嬢さまがいらぬ苦労をなさると思うと、お気の毒で…」
どうやらヘリガは、幼い日にイェルクが慰めてくれなかったことをよく覚えているようだ。様子を見に来た他のメイドに愚痴をこぼすのを、ミーナはこっそり聞いていた。
一度、扉の外からマルクスの声がしたことがあった。
「イェルクは娘一人の機嫌も取れんのか!こんなことが、イメディング家の耳に入ったらどうする!」
もし、耳に入ったとしても、コンラートお兄さまが手を叩いて喜ぶだけよ、とミーナは思った。
一月近くが経ったある日のことだった。ヘリガはもう、城じゅうの人を追い払うのに疲れたのだろう。美しい服を用意してミーナに誘いかけた。
「ミーナお嬢さま、ご覧ください。どうです、この美しい緑の服!ビルング家の仕立職人にお願いして作ってもらったのですよ。若葉の美しい緑にそっくり!じきに五月になります。この緑の服を着て、外に出てみてはいかがですか?きっとご気分も晴れやかになりますよ」
ミーナは緑の服を手に取ったり、身体にあててみたりした。服はミーナの身体にぴったりと合った。ヘリガが細やかに製作を依頼したに違いなかった。確かにこの服を着れば、気分が少し楽になるだろう、とミーナは思った。
「ヘリガ。着替えさせて。それから、この服にあうように化粧してちょうだい」
ミーナがそう言うと、ヘリガは花のつぼみがぱっと開いたような顔をした。ヘリガは他のメイドも呼び、嬉しそうにミーナを着替えさせた。布で隠してしまうほど鏡を嫌うミーナのために、極力鏡を使わずに化粧を施し始めた。半分程度化粧が終わったあと、部屋の戸を叩く音がした。
「ミーナ、私だ。話がある」
部屋を訪れたのはイェルクだった。ヘリガは「いかがなさいますか?」とミーナに尋ねた。ミーナは一瞬ためらったが「帰ってもらって」と返事した。
ヘリガは部屋を出た。しばらく経つと、扉の外からイェルクの声が聞こえてきた。
「ミーナ、聞いてくれ。まずは子ども扱いしたことを謝る。お前を傷つけるつもりはなかった」
謝ったって、子どもだと思っているのは変わらないのでしょう、と、ミーナはふてくされた顔をした。
「これから私はしばらくの間城を留守にする。いつ帰るかはわからない。父上がお元気なうちに学ばねばならぬことが、私にはたくさんある。だから忙しいのだ。どうかわかってくれ」
そんなことは知らないわ、とミーナは思った。
「お前も、母上がお元気なうちに学ばねばならぬことがあるだろう。私の留守中は、母上の言うことをよく聞いて過ごすのだ。では、もう行くぞ」
ミーナはそっぽを向いて、イェルクに返事をすることも、別れの挨拶をすることも拒んだ。やがて足音がした。イェルクが去っていったのだ。ミーナは突然寂しくなってきた。ヘリガが室内に戻ってきた。
「ヘリガ、お願いよ。早く化粧をすませて」
ミーナは懇願した。ヘリガはミーナの思いをくんで、できる限り早く化粧をした。そしてミーナの髪を簡単に結い、頭に円錐形の帽子をかぶせた。
ミーナは部屋を飛び出し、一階に下り、城の外扉を開けた。
「イェルク!」
しかし、イェルクはもういなかった。ミーナの目には今日は一度も流れなかった涙が浮かんでいた。
ミーナはとぼとぼと部屋に戻った。部屋の近くで、ミーナはぎくりと立ち止まった。この一月近く、一度もここを訪れなかったカタリーナが部屋の前で立っていた。
ああ、叱られる…ミーナは覚悟を決めた。こういうときは、先に謝ったほうが心証がよくなる。これは修道院生活で学んだことだ。
「お義母さま、長い間伏せっておりまして、申し訳ありませんでした。どのようなお叱りも受けます」
しかし、カタリーナはにこにこ笑っていた。
「よかったわ。元気になって。その緑色の服、とても似合うわ。まるで五月の若葉のようね」
「いえ、そんな…」
ミーナは謙遜しつつ、カタリーナの笑顔を警戒していた。にこにこ笑っている人ほど怖いというのも、修道院生活で学んだことだ。
「でもね、それだと若葉の上に雪が積もっているようで、かわいそうだわ」
ミーナは言葉の意味をすぐには理解できずに戸惑った。カタリーナはミーナの化粧の濃さを批判しているのだとわかるまでに少し時間がかかった。確かに、ミーナの顔は雪のように白かった。カタリーナはほとんど化粧をしていないようだった。この国の説教師たちは化粧を軽薄だととがめていた。もちろん、修道院では誰も化粧などしていなかった。でも、一度化粧の魅力を知ったミーナは、それを手放したくはなかった。
「お義母さま…わたしは化粧なしでは、恥ずかしくて外を歩けません。どうかお許しください」
ミーナは自分の気持ちを正直に口にした。カタリーナは驚いた表情をした。
「どうして?ありのままのあなたでいたほうが、きっと素敵だと思うわ」
「そんなことはありません。わたしはあの蛮族どもと同じ髪の色、肌の色をしています。お義父さまやお義母さまに不愉快な思いをさせたくないのです」
それは言い訳だった。不愉快なのはミーナ自身だった。夫に拒絶された自分を、化粧ですべて塗りつぶしてしまいたかったからだ。
「気を遣う必要はないのよ、ミーナ。ここでは、赤毛の人など珍しくないのだから。ビルング領では、東の国からやってきた開拓者がたくさん暮らしているの。あなたの亡くなったお母さまは、記憶を無くされていたとうかがったけれど、きっと東の国のお生まれなのね。だから、あなたは赤毛をしているのだわ。それに、ね…」
カタリーナはミーナの頬にそっと手を当てた。乾いた手のぬくもりと、どこか甘い香りがミーナに伝わってきた。
「赤毛の人は、とても肌が薄いのだとか。だから、肌が赤く見えるのよ。あまりお化粧を濃くして、柔らかい肌を傷めては、かわいそうだわ」
カタリーナは優しく微笑んだ。ここ一月ほど、すべてを拒絶して泣き濡れていたミーナにとって、その木漏れ日のような優しさはむしろまばゆく感じられた。ミーナの心の中で、何かが溶けていった。これからイェルクとずっと一緒に暮らす以上、いつかは素顔を見られるのよ。そんなことがなぜわからなかったの?十年前は何も気にせずに側にいられたわ。今も、勇気を出せば、きっと大丈夫よ。ミーナは自分に言い聞かせた。
「あ、そうでした。こんな話をしに来たわけではないの。あなたに城の外を案内したくて…。ついてきてちょうだい」
「わかりました。その前に、化粧を落としてまいります、お義母さま」
ミーナは部屋に戻り、ヘリガに化粧を落とすように命じた。ヘリガは少しがっかりした顔をしたが、ミーナがもういいの、と言うと、素直に化粧を落とした。
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