ヴァンパイア様は溺愛すぎる

シンデレラタイム

《詩穂side》
ありゃりゃ！
優登も李都も、白百合に見事に捕まってるわね～。
ご愁傷さま～！
まあ、そういう私も颯汰に捕まってるんだけどね。
「ねぇ、颯汰。いつまでここにいる気なの？」
「･･･････」
無言。
こりゃあ、このパーティーが終盤になるまで、ここにいるつもりか。　
あー、ていうか、真優華に会いたーい！
元気にしてるかなー？　
夕食ちゃんと食べてるかなー？
一人でもきちんと眠れてるかなー？
なーんか、私も颯汰に負けないくらい、過保護だなぁ。
「真優華、一人でも大丈夫かな････？」
独り言のように呟かれた、私の言葉にピクッと颯汰が反応する。
真優華のことになると、本当に落ち着きがないな。
私たちがいるのは、適当に入った部屋で。
恐らく、ほとんど未使用の部屋だ。
殺風景にもほどがある。
かろうじで、二人がけの緑のソファと赤の椅子が一つずつあるくらいだ。
私がソファ、颯汰が椅子に腰がけている。
一応、あんたが次期当主なんだから、あんたがソファに座りなよー！って言ったんだけど、何も言わずにいち早く椅子に座ってしまった。
こういうところは優しいっていうか、なんていうか。
不器用なのよね～！颯汰は。
不器用すぎて、たまに見落としてしまう。
でも、真優華は決して見落とさなかった。
今も････昔も。
♪～
愉快な音楽が流れ出した。
12時を知らせる、ミュージック。
「シンデレラタイムだ。俺は帰る」
はいはい。
あんたはこれが限界だもんね。
早く真優華に会いたいのか、颯汰は早歩きで一足早く帰っていった。
よし！私も李都たちを呼んで、さっさと帰りますか。
　　　　　　　　　　　　　《詩穂side  end》