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別人

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羞恥心で顔が更に赤くなった、そのとき!
ガン!
という人が壁にぶつかる音と
「うっ!」 
といううめき声が聞こえた。
え?・・・西園寺さん!?
西園寺さんが床に倒れこんでむせている。
「ゴホッゴホッ」 
私は急いで駆け寄ろうとした・・・・が、できなかった。
「ひょわっ!!?」 
後ろから手が伸びてきて、私を抱き上げたのだ。
その犯人は・・・・・颯汰さん。
西園寺さんを虫けらを見るような目で見下ろしている。
その目は絶対零度って言って良いほど、冷たい。
背筋にゾワッとした何かが駆け抜けた。
こんな目をする颯汰さん・・・・初めてみた。
私を見つめる目はいつも優しいから。
「あの・・・・・颯汰さん・・・?」 
恐る恐る声をかけてみると、
「ん?どうした?まさか、あいつに何かされたか?」
とさっきとはうって変わって心配するような目で私をみた。
なんか、二重人格みたい・・・・・。
「ん?口にできないくらいの何かをされたのか?」
え?
なかなか質問に答えない私を不思議に思ったのか、更に心配するような目で私をみる。
でも、その目の奥にある怒りに私は気づいてしまった。
颯汰さん・・・・怒ってる?
「あの・・・・大丈夫です。何もされてません。ただお風呂を頂いただけです」
「風呂・・・・・?そういえば、俺の好きな真優華の匂いが薄くなってるな」
颯汰さんは私の首筋に顔を埋めて、クンクンと匂いをかぐ。
うっ!くすぐったい~~~!!
「・・・・・真優華、帰ったら、絶対に風呂に入れよ」
「え?でも、もうお風呂入ってるし・・・・」
「駄目だ。入れ・・・入らないと許さねぇ」
颯汰さんの迫力に負け、コクンと頷いた。
その瞬間に笑顔になる颯汰さんが可愛くて、クスリと笑う。
「兄さん、そういうのはあとにして。こいつの処罰はどうすんの?」
「そーそー!早く決めなよねー!真優華、ただでさえお風呂あがりで髪だって濡れてて、体冷えてるんだからー」
「真優華ちゃんが風邪引く前に戻らないと」
李都さんたちに論され、颯汰さんは名残惜しそうに私を床へ下ろした。
颯汰さんは西園寺さんに近づくと、西園寺さんの髪を掴み上げる。
わっ!!
怖くて目をつむってしまった。
だって、颯汰さんが・・・別人のように見えたから。
そんな私を詩穂さんが真正面から抱き締める。
まるで、颯汰さんから、私を隠すみたいに。

《作者からのお願い!》
読者のみなさん、はじめまして、作者のヒマリです。
今回はお願いがあって、このような場を設けさせて頂きました。
みなさん、お願いです!
感想がほしいです!!
どんなものでも構いません!
感想を・・・・感想をください!!
厚かましいお願いですが、どうぞよろしくお願いします!!!
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