4 / 12
よし、行くか?
しおりを挟む
<翌日の土曜の朝>
昨日、黒須さんに『明日の朝、9時に迎えに行く』と言われ、朝早くから起きて準備をしていた。
ていうか、おまけに『逃げたら、お前の会社は終わると思え』という脅迫までされた。
なんでも黒須というのは我らが大原の大事な取引先だそうで・・・・・・。
黒須との取り引きがなくなれば、大原の財政は半減!それから、千人もの人が職なしとなる。
その事態はどうしても避けなくてはいけない。
なので、こうして失礼のないようにと準備とイメトレをしているのだ!
そのとき、ふいにインターホンが鳴る。
ピンポーン
緊張がMAXにまで達し、心臓はもうバクバク!
冷や汗が滲む思いで玄関のドアを開けた。
そこにはニコリともせず、ほぼ真顔でたたずむ黒須拓哉の姿があった。
「えっと、おはようございます」
なんとか絞り出した声で言った第一声がこれ!
我ながら、何でこれにした?と思う!
もっと、ほら!
『わざわざ、迎えに来てくださってありがとうございます!』
とか、
『今日の天気は良いですね?』
とか、あった筈なのに!
一人でああでもない、こうでもない、と悩んでいるとふいに手が引かれた。
「ぅわっ!?」
勢いがありすぎて、思わず彼の胸に飛び込んでしまった!
彼の胸は筋肉質で固かった。
って、そんなことを考えている場合ではない!
すぐに彼から、離れ、深々と頭を下げた。
「すみません!」
「・・・・・・・・」
何の返答も返ってこないことに肩をビクつかせる!
うぅ~!やっぱり、怒ってますよね!?
ごめん!パパ、ママ!それから、千人もの従業員の皆!私は初っぱなから、やらかしてしまったっぽい!
「大丈夫だ。だから、そんな顔をするな」
へ?
下を向いていた目線を上に向け、彼を見つめる。
「俺は怒ってないし、そもそもその程度のことで腹をたたせるほど、心も狭くない」
え?ホントに?
やった!
自然と笑みを浮かべるとわずかに彼の口角も上がった。
「よし、行くか?」
「あ、はい!」
差し出された手を恐る恐る取ると、満足げに微笑む彼の姿があった。
昨日、黒須さんに『明日の朝、9時に迎えに行く』と言われ、朝早くから起きて準備をしていた。
ていうか、おまけに『逃げたら、お前の会社は終わると思え』という脅迫までされた。
なんでも黒須というのは我らが大原の大事な取引先だそうで・・・・・・。
黒須との取り引きがなくなれば、大原の財政は半減!それから、千人もの人が職なしとなる。
その事態はどうしても避けなくてはいけない。
なので、こうして失礼のないようにと準備とイメトレをしているのだ!
そのとき、ふいにインターホンが鳴る。
ピンポーン
緊張がMAXにまで達し、心臓はもうバクバク!
冷や汗が滲む思いで玄関のドアを開けた。
そこにはニコリともせず、ほぼ真顔でたたずむ黒須拓哉の姿があった。
「えっと、おはようございます」
なんとか絞り出した声で言った第一声がこれ!
我ながら、何でこれにした?と思う!
もっと、ほら!
『わざわざ、迎えに来てくださってありがとうございます!』
とか、
『今日の天気は良いですね?』
とか、あった筈なのに!
一人でああでもない、こうでもない、と悩んでいるとふいに手が引かれた。
「ぅわっ!?」
勢いがありすぎて、思わず彼の胸に飛び込んでしまった!
彼の胸は筋肉質で固かった。
って、そんなことを考えている場合ではない!
すぐに彼から、離れ、深々と頭を下げた。
「すみません!」
「・・・・・・・・」
何の返答も返ってこないことに肩をビクつかせる!
うぅ~!やっぱり、怒ってますよね!?
ごめん!パパ、ママ!それから、千人もの従業員の皆!私は初っぱなから、やらかしてしまったっぽい!
「大丈夫だ。だから、そんな顔をするな」
へ?
下を向いていた目線を上に向け、彼を見つめる。
「俺は怒ってないし、そもそもその程度のことで腹をたたせるほど、心も狭くない」
え?ホントに?
やった!
自然と笑みを浮かべるとわずかに彼の口角も上がった。
「よし、行くか?」
「あ、はい!」
差し出された手を恐る恐る取ると、満足げに微笑む彼の姿があった。
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。


【完結】あわよくば好きになって欲しい(短編集)
野村にれ
恋愛
番(つがい)の物語。
※短編集となります。時代背景や国が違うこともあります。
※定期的に番(つがい)の話を書きたくなるのですが、
どうしても溺愛ハッピーエンドにはならないことが多いです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。

地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる