俺だけ愛して

地獄

《拓三side》
美音の寝ている隙にさっさと組の仕事を終わらせようと仕事部屋で作業をしていると、荒々しく扉が開け放たれた。　
その犯人は夏弥。
その表情から察するにただ事ではないらしい。
「大変です、組長！何者かがこの屋敷に侵入！そして････美音さんを連れ去りました！」
一瞬、息が出来なかった。
美音が連れ去られた････？
誰が俺から、美音を取り上げた？
誰だ････？
俺は眉間に深いシワを作りつつ、地を這うような低い声で夏弥にこう告げた。
「････早く、美音の居場所を洗い出せ」
「は、はい！」
夏弥は少し顔を青くしながら、この場を飛び出した。
犯人が誰とか、目的とかは今はどうでもいい。
今、一番に考えなくてはならないのは美音の安否だ。
可愛い、可愛い、俺の美音に掠り傷一つでも付けてみろ？
地獄の底の底まで、突き落としてやる。
ああ、美音は泣いていないだろうか？
心細くはないだろうか？
俺がいなくても平気だろうか？
マジ、殺す。
てか、死ね。

それから、約一時間後、美音の居場所が判明した。

　　　　　　　　　　　　　　《拓三side end》