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第三章 新生活始めました
りつのモヤモヤと想い出
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電話を切った後、どうにも落ち着かなくてキッチンに向かい、コーヒーが沸くのを待ってる間にタバコに火をつけ、ため息と一緒に大きく煙を吐き出すと急にある事を思い出した。
タバコを咥えながら、寝室のクローゼットの奥の方にしまってあったダンボール箱を引っ張り出しその中を確認すると、昔保健室で使ってたファイルとか文房具、それこそ将吾が覚えてたキャラクターの玩具とかフィギュアなんかが沢山出てきた。
そして…
「おっ、あったあった」
それは、辞める前にどうしてもこれだけは記念にと、校長に頼み込んで手に入れた将吾達の学年の卒業アルバム。
今の今まですっかり忘れていたが、辞めた直後は仕事もする事も無くてこのアルバムを開いては将吾の事思い出していた。
ペラペラページをめくりながらリビングに移動すると、アルバムの間から数枚の写真が出てきて床に散らばった。
「ん?なんだっけ…これ」
アルバムをテーブルに置いて灰を一旦灰皿に落として、散らばった写真を拾うと、懐かしい顔ぶれが沢山写っていて思わずテンションが上がった。
「うわ、懐かしい…」
この頃、俺が辞めるって噂が広まって、それを聞き付けた馴染みの連中が昼休みに保健室に溜まるようになって、それで記念にって誰かが撮ってくれたものだ。
そこには陽介や湊、涼ちゃんやリオンも写ってて、健太なんてめちゃくちゃクソガキで、随分大人になったなぁなんて感傷に浸りながらコーヒーを取りにキッチンに向かうと、もう一度ソファーに座り直し再び1枚1枚写真を確認してみる。
リオンなんて、あの頃がこれなら今やどんな大人になってるんだろう…
あれから涼ちゃんとはどうなったんだ?
涼ちゃんとも全く連絡取ってないなぁ…
陽介も湊も元気かなぁ…
そして最後の1枚まで見終わった時、俺が一番見たかった姿が写ってないことに気がつく。
あれだけ頻繁に来てたはずの将吾の写真が1枚もない。
将吾を感じたくて引っ張り出したのに、将吾の写真が1枚もないなんて、なんだか現実の寂しさにプラスされて余計に寂しさが増してきた。
そう言えばちょうどこの頃からだ。
将吾が全然保健室に来なくなったの…
入院してた隼人に付きっきりで、俺のところになんて全く顔も出さなくなって、やっぱり俺なんかより隼人の方がいいだろうって、そう思い込んでた。
結局、将吾が保健室に顔を出したのは、俺が退職する日だった。
この日の事は誰にも言ってなかったのに、妙に勘が鋭いというか巡り合わせというか…
将吾に黙って出ていこうとしてたあの時のことを思い出すと、今でもチクリと胸が痛む。
酷い事したよな…俺。
ソファーの背にもたれてふっと寝室に視線を向けると、出しっぱなしのダンボールが目に入り、タバコを消してダンボールの中からお気に入りだったキャラクターをいくつか取り出して、リビングの飾り棚に並べてみる。
「ふふっ…アイツ気付くかな?」
最後、キャラが二つくっついてるアイテムを手に取り、何となく裏っ返してみると、底にマジックで【しょうご♡かのっち】って書いてあって、それは間違いなく将吾の字で俺は嬉しさで胸が苦しくなった。
「はっ、何だこれ。いつ書いたんだ?あいつ…///」
昔の将吾の可愛いイタズラに当時気が付けなかった事に悔しさを覚えつつも、頬は緩みっぱなし…
しかし、こんな可愛いやつを一瞬でも手放した俺はほんとバカなんだと思う。
にしても、思い出を掘り返したせいで将吾に会いたい気持ちが更に増してしまって、この長い夜をどう耐えようかと考える。
あーもう!早く帰ってこいっ!!
仕方なくソファーに沈み天井を眺めると、シーンと静まり返る部屋で将吾がいなかった頃や、出ていった時の事なんかも思い出してしまう。
俺ら、本当に色々あったよなぁ…
その内に段々と瞼が閉じて、片付けもしないままソファーの上で眠ってしまった。
タバコを咥えながら、寝室のクローゼットの奥の方にしまってあったダンボール箱を引っ張り出しその中を確認すると、昔保健室で使ってたファイルとか文房具、それこそ将吾が覚えてたキャラクターの玩具とかフィギュアなんかが沢山出てきた。
そして…
「おっ、あったあった」
それは、辞める前にどうしてもこれだけは記念にと、校長に頼み込んで手に入れた将吾達の学年の卒業アルバム。
今の今まですっかり忘れていたが、辞めた直後は仕事もする事も無くてこのアルバムを開いては将吾の事思い出していた。
ペラペラページをめくりながらリビングに移動すると、アルバムの間から数枚の写真が出てきて床に散らばった。
「ん?なんだっけ…これ」
アルバムをテーブルに置いて灰を一旦灰皿に落として、散らばった写真を拾うと、懐かしい顔ぶれが沢山写っていて思わずテンションが上がった。
「うわ、懐かしい…」
この頃、俺が辞めるって噂が広まって、それを聞き付けた馴染みの連中が昼休みに保健室に溜まるようになって、それで記念にって誰かが撮ってくれたものだ。
そこには陽介や湊、涼ちゃんやリオンも写ってて、健太なんてめちゃくちゃクソガキで、随分大人になったなぁなんて感傷に浸りながらコーヒーを取りにキッチンに向かうと、もう一度ソファーに座り直し再び1枚1枚写真を確認してみる。
リオンなんて、あの頃がこれなら今やどんな大人になってるんだろう…
あれから涼ちゃんとはどうなったんだ?
涼ちゃんとも全く連絡取ってないなぁ…
陽介も湊も元気かなぁ…
そして最後の1枚まで見終わった時、俺が一番見たかった姿が写ってないことに気がつく。
あれだけ頻繁に来てたはずの将吾の写真が1枚もない。
将吾を感じたくて引っ張り出したのに、将吾の写真が1枚もないなんて、なんだか現実の寂しさにプラスされて余計に寂しさが増してきた。
そう言えばちょうどこの頃からだ。
将吾が全然保健室に来なくなったの…
入院してた隼人に付きっきりで、俺のところになんて全く顔も出さなくなって、やっぱり俺なんかより隼人の方がいいだろうって、そう思い込んでた。
結局、将吾が保健室に顔を出したのは、俺が退職する日だった。
この日の事は誰にも言ってなかったのに、妙に勘が鋭いというか巡り合わせというか…
将吾に黙って出ていこうとしてたあの時のことを思い出すと、今でもチクリと胸が痛む。
酷い事したよな…俺。
ソファーの背にもたれてふっと寝室に視線を向けると、出しっぱなしのダンボールが目に入り、タバコを消してダンボールの中からお気に入りだったキャラクターをいくつか取り出して、リビングの飾り棚に並べてみる。
「ふふっ…アイツ気付くかな?」
最後、キャラが二つくっついてるアイテムを手に取り、何となく裏っ返してみると、底にマジックで【しょうご♡かのっち】って書いてあって、それは間違いなく将吾の字で俺は嬉しさで胸が苦しくなった。
「はっ、何だこれ。いつ書いたんだ?あいつ…///」
昔の将吾の可愛いイタズラに当時気が付けなかった事に悔しさを覚えつつも、頬は緩みっぱなし…
しかし、こんな可愛いやつを一瞬でも手放した俺はほんとバカなんだと思う。
にしても、思い出を掘り返したせいで将吾に会いたい気持ちが更に増してしまって、この長い夜をどう耐えようかと考える。
あーもう!早く帰ってこいっ!!
仕方なくソファーに沈み天井を眺めると、シーンと静まり返る部屋で将吾がいなかった頃や、出ていった時の事なんかも思い出してしまう。
俺ら、本当に色々あったよなぁ…
その内に段々と瞼が閉じて、片付けもしないままソファーの上で眠ってしまった。
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