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第三章 新生活始めました
怪我
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そして諸々のことが片付いていつもより少し遅くに帰宅すると、俺のただいまの声に将吾がバタバタと足音を立てながら玄関まで迎えに来てくれた。
「おかえりっ…遅かったね…」
「あぁ、ちょっと色々あってな…」
「色々ってなに…?」
「あーっと、とりあえず飯食おう、買ってきたからさ」
「うん…」
将吾が居酒屋を辞めてから、出来るだけ早く帰宅していたから、今日みたいに遅いのは確かに怪しまれても仕方ない。
まぁ、この件は俺が勝手に仕返しして制裁したら終わりでも良かったんだが、ちょっと疑われてるし…
今後あいつの脅威に怯えずに暮らしていけると言う証明の為にも、将吾には軽く話しておくとするか。
そして商店街で買ってきたお弁当を並べると、向かい側に座る将吾は特に俺に話を振ってくることもなく、大人しくお弁当を食べ始めた。
まぁ、食べながらでもゆっくり話しはできると思い、ちょっと痛む右手で箸を掴もうとすると思ってた以上に激痛が走った。
「いっ…てぇ…っ!」
「りつ!?どうしたの!?」
将吾はすぐに席を立って俺の右手を確認した。
帰ってくる時も荷物持ちながら痛いなぁとは思ってたんだけど、我慢できる程度だったし、ほっとけば治るだろうくらい思ってたんだが…
そうでも無いのかもしれない。
「ねぇ…どうしたの…?腫れてるし…怪我してるじゃんっ…」
「あ…えっと…」
「誰かと喧嘩したの…?…もしかしてりつ…っ、警察に捕まるようなこと…してないよね…っ」
俺の右手を優しく撫でながら、真剣な表情で見つめてくる将吾を安心させるべく、左手を将吾の手に重ねて今日の出来事を話すことにした。
「まず、警察に捕まるようなことはしてない。大丈夫…」
「大丈夫じゃないじゃんっ、病院行ったの!?」
「えっと、行ってない…けど、平気だって、ちゃんと曲がるし……っう…痛い…かもっ…」
「ねぇ、今から病院っ!」
「もうやってないから…大丈夫だって…」
「だったらとりあえず傷だけでも消毒っ!お前元保健室の先生だろ!?」
「…っ、そうねぇ…そうだった」
事情を説明するより何より、手の怪我の事で頭がいっぱいらしく、薬箱を取りだしジャブジャブと消毒液をかけられガーゼを適当にペタペタと貼られ、包帯を実に不器用にグルグルと巻いてくれた。
「…これで…よし…」
「うん…大丈夫だ。ありがとう…」
やってしまったのが右手だから左手でやるよりは将吾にやって貰った方がいいかな?と思って見てたけど…
まぁ、とりあえずは良しとして、後でやり直すとするか…
「ご飯、食える?」
「うん、何とか…」
「食べさせよっか?」
「え?いいって…」
「んぅ…で、何があったんだよ…」
うん、だよな。
将吾も少し冷静になってくれたから、俺はアイツへの制裁をずっと考えていた事、そしてそれを今日実行した事、それでちょっとキレちゃって手を負傷した事、人は怪我させてない事を将吾に説明した。
「あの人…本当にりつのお店知ってたんだ…」
「有名だったよ、最悪な客だって…」
「りつは…変なことされなかった…?」
「俺は…何も…たださ、雅が…」
「雅!?雅に何かあったの!?」
「あ、いや…雅が自分が相手するって…お前にした事許せないって」
「雅ぃ…」
あぁ、もう泣きそうじゃん…
これ以上雅の身に起きたことを話せば、将吾は間違いなく泣くだろうし、何でそんなことさせたんだ!って怒られると思う。
てか、怒られて当然か…
でもここは雅に言われた通り、殴られた事は言わないでおこう。
将吾の事だから、泣く以上に自分のせいでって気に病んでしまうのが分かるから…
「てかさ、将吾が雅に紹介したの?うちの店…」
「うん、だって俺らがいた店最悪だったじゃん。けど雅は辞められなかったから…だからせめてりつん所ならって…」
「そっか…」
将吾から友達の話なんて、隼人か心か…そんなもんしか聞いたこと無かったけど、その場その場でちゃんと自分の世界を作ってたんだな。
「とにかく、アイツは俺がシメたから二度と将吾の前には現れないし、社会的な制裁を受けるだろうから、もう心配すんな」
「うん…けどそのせいで雅も、りつも…」
「それは違うよ。俺も雅も、アイツがお前にした事が本当に許せなかっただけだから。お前が気にすることないからな?」
「うん…っ」
あぁ、結局泣いちゃったか…
左手で将吾の頬に流れた涙を拭い、いつもの様に右手でポンポンと頭を撫でたら骨に電気が走ったみたいな痛みが走った…
思わず声を出しそうになったのを必死にこらえ、将吾にバレないように痛みをこらえると 将吾がじぃっとこちらを見てくるので、とりあえず笑顔で返してみた。
「あ、そうだ。健太から連絡来てたの返事忘れてた」
「ん?何?」
「4人で飲もうって」
「心と!?4人で!?いつ!?」
いや、さっきまでのテンションとのギャップ…
まぁ元気になってくれたならいいけど、心から連絡いってなかったのかな?
心がまた俺に気を使って将吾と直接連絡取らないでいるのか…
何にせよこの喜びようを見てしまったら断るなんて選択肢にはなくて、将吾に健太からのメッセージを見せた。
「多分こっちと向こうのスケジュール的に大晦日しか無理なんだよね…将吾は?平気?」
「うん、平気!…だけど、いいの?大晦日にみんなでとか…」
「ん?なんで?」
「二人っきりのが…いいかな…とか…////」
そりゃあ!!そりゃあ二人きりでしっぽりと新しい年を迎えてそのまま…♡って流れを俺だって期待してたけど…
でもその為に会わせる事なく離れるのもあんだけ将吾の為に動いてくれた心にも悪いし、将吾だって本当は嫌だろう。
「二人っきりの時間はちゃんと作るよ…でも心にも会いたいだろ?」
「りつぅ…」
「なんだよ…」
「ありがとう…っ」
「…っ、あぁでも、あれだぞ!?心とイチャイチャしたり、酔っ払ってはめ外したりしたら…っ、俺……泣くからな…」
「わかった…りつのこと泣かせないように頑張る…っ!」
いや、絶対わかってないってぇ…
だってそこ普通、頑張らなくても出来るでしょ!?
今年こそは悲しみにくれる酒なんて、飲みたくねぇんだわ。
将吾は知らないだろうけど、去年は一人でいるのが寂しすぎて、健太を呼んで呑んだくれてたからさ、今年は幸せたっぷりの美味しい酒が飲みたいわけよ。
うーん…やっぱり断ろっかな?
「おかえりっ…遅かったね…」
「あぁ、ちょっと色々あってな…」
「色々ってなに…?」
「あーっと、とりあえず飯食おう、買ってきたからさ」
「うん…」
将吾が居酒屋を辞めてから、出来るだけ早く帰宅していたから、今日みたいに遅いのは確かに怪しまれても仕方ない。
まぁ、この件は俺が勝手に仕返しして制裁したら終わりでも良かったんだが、ちょっと疑われてるし…
今後あいつの脅威に怯えずに暮らしていけると言う証明の為にも、将吾には軽く話しておくとするか。
そして商店街で買ってきたお弁当を並べると、向かい側に座る将吾は特に俺に話を振ってくることもなく、大人しくお弁当を食べ始めた。
まぁ、食べながらでもゆっくり話しはできると思い、ちょっと痛む右手で箸を掴もうとすると思ってた以上に激痛が走った。
「いっ…てぇ…っ!」
「りつ!?どうしたの!?」
将吾はすぐに席を立って俺の右手を確認した。
帰ってくる時も荷物持ちながら痛いなぁとは思ってたんだけど、我慢できる程度だったし、ほっとけば治るだろうくらい思ってたんだが…
そうでも無いのかもしれない。
「ねぇ…どうしたの…?腫れてるし…怪我してるじゃんっ…」
「あ…えっと…」
「誰かと喧嘩したの…?…もしかしてりつ…っ、警察に捕まるようなこと…してないよね…っ」
俺の右手を優しく撫でながら、真剣な表情で見つめてくる将吾を安心させるべく、左手を将吾の手に重ねて今日の出来事を話すことにした。
「まず、警察に捕まるようなことはしてない。大丈夫…」
「大丈夫じゃないじゃんっ、病院行ったの!?」
「えっと、行ってない…けど、平気だって、ちゃんと曲がるし……っう…痛い…かもっ…」
「ねぇ、今から病院っ!」
「もうやってないから…大丈夫だって…」
「だったらとりあえず傷だけでも消毒っ!お前元保健室の先生だろ!?」
「…っ、そうねぇ…そうだった」
事情を説明するより何より、手の怪我の事で頭がいっぱいらしく、薬箱を取りだしジャブジャブと消毒液をかけられガーゼを適当にペタペタと貼られ、包帯を実に不器用にグルグルと巻いてくれた。
「…これで…よし…」
「うん…大丈夫だ。ありがとう…」
やってしまったのが右手だから左手でやるよりは将吾にやって貰った方がいいかな?と思って見てたけど…
まぁ、とりあえずは良しとして、後でやり直すとするか…
「ご飯、食える?」
「うん、何とか…」
「食べさせよっか?」
「え?いいって…」
「んぅ…で、何があったんだよ…」
うん、だよな。
将吾も少し冷静になってくれたから、俺はアイツへの制裁をずっと考えていた事、そしてそれを今日実行した事、それでちょっとキレちゃって手を負傷した事、人は怪我させてない事を将吾に説明した。
「あの人…本当にりつのお店知ってたんだ…」
「有名だったよ、最悪な客だって…」
「りつは…変なことされなかった…?」
「俺は…何も…たださ、雅が…」
「雅!?雅に何かあったの!?」
「あ、いや…雅が自分が相手するって…お前にした事許せないって」
「雅ぃ…」
あぁ、もう泣きそうじゃん…
これ以上雅の身に起きたことを話せば、将吾は間違いなく泣くだろうし、何でそんなことさせたんだ!って怒られると思う。
てか、怒られて当然か…
でもここは雅に言われた通り、殴られた事は言わないでおこう。
将吾の事だから、泣く以上に自分のせいでって気に病んでしまうのが分かるから…
「てかさ、将吾が雅に紹介したの?うちの店…」
「うん、だって俺らがいた店最悪だったじゃん。けど雅は辞められなかったから…だからせめてりつん所ならって…」
「そっか…」
将吾から友達の話なんて、隼人か心か…そんなもんしか聞いたこと無かったけど、その場その場でちゃんと自分の世界を作ってたんだな。
「とにかく、アイツは俺がシメたから二度と将吾の前には現れないし、社会的な制裁を受けるだろうから、もう心配すんな」
「うん…けどそのせいで雅も、りつも…」
「それは違うよ。俺も雅も、アイツがお前にした事が本当に許せなかっただけだから。お前が気にすることないからな?」
「うん…っ」
あぁ、結局泣いちゃったか…
左手で将吾の頬に流れた涙を拭い、いつもの様に右手でポンポンと頭を撫でたら骨に電気が走ったみたいな痛みが走った…
思わず声を出しそうになったのを必死にこらえ、将吾にバレないように痛みをこらえると 将吾がじぃっとこちらを見てくるので、とりあえず笑顔で返してみた。
「あ、そうだ。健太から連絡来てたの返事忘れてた」
「ん?何?」
「4人で飲もうって」
「心と!?4人で!?いつ!?」
いや、さっきまでのテンションとのギャップ…
まぁ元気になってくれたならいいけど、心から連絡いってなかったのかな?
心がまた俺に気を使って将吾と直接連絡取らないでいるのか…
何にせよこの喜びようを見てしまったら断るなんて選択肢にはなくて、将吾に健太からのメッセージを見せた。
「多分こっちと向こうのスケジュール的に大晦日しか無理なんだよね…将吾は?平気?」
「うん、平気!…だけど、いいの?大晦日にみんなでとか…」
「ん?なんで?」
「二人っきりのが…いいかな…とか…////」
そりゃあ!!そりゃあ二人きりでしっぽりと新しい年を迎えてそのまま…♡って流れを俺だって期待してたけど…
でもその為に会わせる事なく離れるのもあんだけ将吾の為に動いてくれた心にも悪いし、将吾だって本当は嫌だろう。
「二人っきりの時間はちゃんと作るよ…でも心にも会いたいだろ?」
「りつぅ…」
「なんだよ…」
「ありがとう…っ」
「…っ、あぁでも、あれだぞ!?心とイチャイチャしたり、酔っ払ってはめ外したりしたら…っ、俺……泣くからな…」
「わかった…りつのこと泣かせないように頑張る…っ!」
いや、絶対わかってないってぇ…
だってそこ普通、頑張らなくても出来るでしょ!?
今年こそは悲しみにくれる酒なんて、飲みたくねぇんだわ。
将吾は知らないだろうけど、去年は一人でいるのが寂しすぎて、健太を呼んで呑んだくれてたからさ、今年は幸せたっぷりの美味しい酒が飲みたいわけよ。
うーん…やっぱり断ろっかな?
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