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第一章 出会いと再会

揺らぐ想い

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次の日の朝、目が覚めると心が俺に覆い被さるように寝ていて、体の痛みとダルさで昨日の事を少しずつ思い出す。

頭を抱え後悔してももう遅くて、言い訳も出来ないけど今ならまだ引き返せる…

こんなの一時の気の迷いでしかないんだから、これ以上はもう一緒にいられない。

起きたらちゃんと言おう、もう個人的には会わないって…

心を起こさないようにそぉっとベットを抜け出すと、俺はシャワーを浴びに風呂場に向かった。

昨日の事も全て、水に流せたらどれだけ楽か…
風呂から上がると既に心は起きてて、気まずさを前面に出してる俺とは対照的に、何事も無かったかのようにいつも通り笑顔のまま。


「おはよ」

「おぅ…」

「どうしたの?」

「…なにが?」

「全然目ぇ合わせてくんないし…」

「いや、別に…」


気まずいからと言って、このまま避けていたら心を傷つけることにもなるのだろうか…
でも、俺はこれ以上はもう…


「俺らさぁ、そのぉ…昨日さ?」

「あ、わりぃ…俺酔っててあんま覚えてないから、何かあったなら忘れて?」


覚えてないわけないし、あんな事…

誤魔化せるはずないことくらい分かってるけど、俺はこれ以上の発展を望んでない。

だから、ごめん…もう終わりにしたいっ。


「そっ…かぁ、わかった…」

「あとこれ、Tシャツありがとう」

「うん…」


もうこれで俺らを繋ぐ物もなくなる…

後はなるべく普通に、ただのバイト仲間として接すればいいだけ。


「将吾、俺っ…」

「あのさ、もうこうやって会うのやめよ…」

「やっぱり…そう言うと思ったよ。でも俺は将吾の事好きだから」

「…っ、ごめん…」

「そんな泣きそうな顔しないでよ…」

「うるせぇよ…お前学校だろっ、早く行けよ…っ」

「将吾…っ」


俺は借りてたTシャツを心に押付け、カバンに入れたのを確認すると、玄関まで心を見送った。

それからは何故かずっと涙が止まらなくて、多分もうどうしたって俺の気持ちは心でいっぱいで、後戻りなんて出来ないのに俺はそれでも心を拒むことしか出来ない。

せめて嫌われれば、距離を置いて俺のことを忘れてくれれば諦めもつくなんて、本当にそうなのか?

だけど、嫌われるよりも愛される事が怖い。

愛された先の裏切りに、俺はもう耐えられないから…

ぼぉっとする頭でベッドに身を投げて手元に触れた物に目をやれば、昨日心が上に羽織ってた結構派手目のシャツ…

俺の気持ちを見透かしてるかのように、置いていったシャツから心の匂いが鼻をかすめれば、また涙が溢れてくる。

あの策士め…っ、せっかくTシャツ手放したのに…

心の想いが苦しくて、また涙が込み上げてくる。

泣きすぎて頭がぼぉっとして二日酔いと相まって、更に具合が悪くなった俺は、再び深い眠りについた。
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