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第二章 心との生活

やっぱり好き

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このまま健太に心の家まで送って貰うのもなんだか癪で、一人で帰ろうかと思ったその時、着信が鳴りディスプレイを確認すればそこには【加野っち】の文字…

俺は少し緊張しながら電話に出た。


「もしもし…」

(まだ空港…?)

「うん…」

(心は…?)

「もう行ったよ…」

(はぁ、そっか…。帰って…くるんだよな?)

「え…」

(や、今からそっち行くわ)

「え?今からって…」

(5分で迎えに行く)

「はぁ!?」


りつってまだ入院してるんじゃなかったの!?

そんな疑問をぶつける間もなくりつに電話を切られてしまい途方に暮れる俺は、すぐさまターゲットを変えて何か知ってるんじゃなかろうかと健太を揺すった。


「な、なんで…っ!?」

「おっ、お前を一人になんかしておけないって、先生に無理言って退院早めてもらったんだとっ!」

「そんなっ、だってまだ…っ」

「りっちゃんな、この日に合わせて退院できるようにリハビリ頑張ったんだぞ?あんま無理させんなよ…」


そんなこと知らないよっ!

俺のせいで、俺のためにそんなに無理しなくたっていいのに。

一人でだって大丈夫なようにならなきゃいけないんだから!

なのに、なんで…?
今すぐりつに会いたいっ…

会って早くぎゅって抱きしめて欲しいなんて、やっぱり俺…全然成長してないじゃん。


「あのなぁ、りっちゃんはあんたが思ってる以上にあんたの事想ってるよ。本当はさっさと心から奪い取りたいって思ってたって。だけどそれがお前のためにならないならって、いつもいつも身を引いてさぁ…見てるこっちがしんどかったわ。もう余計な事考えないでいい加減りっちゃんのことだけ考えてやれよ」


りつのことだけ…

そうだ、フラフラしてたのは俺の方。

りつはいつだって俺の事を見ててくれたんだ…

なのに俺がりつのこと信用できなくて、心が優しくしてくれるのをいいことに逃げてただけだ。

それなのに、りつはまだ俺のこと好きでいてくれるの?

りつの想いが痛くて苦しくて、心とサヨナラした時でさえ流れなかった涙が一粒、頬を伝った。


「んじゃ、俺先帰るわ」


健太が俺の後方を確認して車のキーをクルクルと回しながら帰って行くと、同時に後ろからりつの声が響いた。
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