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第二章 心との生活
ずるいのは俺の方
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心を選ぶことは出来ない…
そう答えが出てるのにも関わらず、俺は心に抱かれた。
嫌われるのが怖かった、心のことも好きだったから…
だけどそんなの俺のわがままでしかなくて、心を傷つける事にしかならないって分かってるのに、心の誘惑に勝てなかった。
傷付くのは心だけじゃない、こんなのりつが知ったらりつだっていい気はしないだろう。
なのにそれを止められない自分の強欲さと緩さに嫌気がさす。
今までずっと守ってきたのに、いや…守ってこれたのは心が無理に手を出してこようとはしなかったからだ。
心の想いは痛いほど俺に突き刺さってくる…
なのに俺はそれに答えられない。
ならば受け入れちゃダメだったんじゃないのか?
今更になって後悔したってもう遅い、だけど…
だったら、今すぐにでも心の家を出なきゃ、そう思って俺は心を突き放しベットから抜け出した。
「将吾っ、待って…っ」
リビングに戻り適当に処理を済ませ、自分の服をかき集めると俺は玄関へとフラフラと歩き出した。
苦しい…でも本当に苦しいのは俺じゃない、心の方だ。
だからここで俺が甘えちゃダメなんだ、泣いたり頼ったりしたらまた心に期待を持たせてしまう。
そう思って玄関で身支度を済ませ出ていこうとすると、後ろからぎゅっと抱きしめられてしまった。
「ごめんっ、あんなこと言って…だから行かないでっ…」
「…っ、ダメ、もうダメだよ心っ…俺はここを出てく。もう心には頼れないし、迷惑かけられない…今までありがとう…っ」
「迷惑じゃないっ、頼ってくれてもいいっ、だから行かないでよっ!」
「でもっ、でも俺は心の気持ちに答えられない…っ!なのに…ここにいることなんて出来ないじゃん…っ」
心の腕を振りほどこうにも全然力が入らないし、泣いちゃダメだと思えば思うほど息が苦しくなる…
迷惑かけたくないのに…
目の前がぼやけて、涙が溢れてとうとう立っていられなくなってしゃがみこんでしまった。
「将吾…っ!」
「はぁ…はぁ…っ、大丈夫っ…大丈夫だからっ…」
「全然大丈夫じゃないじゃんっ…、部屋…戻ろ?ね?」
俺は懸命に首を横に振り玄関を出ようと試みたけど、結局心の助けなしには立ち上がることも出来なくて自分の弱さを痛感する。
もう心には頼れない、いや、頼っちゃいけない。
「はぁっ…ごめ…落ち着いたら…っ、出るから…」
「行かないで…ここにいて…っ。ごめんね…意地悪して。俺、分かってたんだ…将吾がりつさんの事好きなのも、忘れられないのも、離れられないのも…だからいいの…今だけ、このままそばに居てくれたらそれだけで…ずるいのは、俺の方だから…」
そんな事ない、俺だってちゃんと心のことが好きだった。
りつを忘れられるくらい幸せを感じてた。
だけど、きっと今それを言ったところで更に心を傷つけるだけ…
酸素が行き届かない頭で色々考えながら、そばにいることが心の為になるのなら、まだもう暫くだけ…こうしててもいいかな、なんて絶対ずるいのは俺の方。
「心…っ」
俺を支えてくれてる腕を掴んで見上げると、心はいつもの優しい表情を見せてくれた。
結局俺は、心の優しさに甘えて苦しさから逃れたいがためにその胸の中に顔を埋め呼吸を整える。
俺を包み込んでくれる心の匂いも背中を撫でてくれる暖かい手も優しい声も、どれもりつとは違うけど…
だけど、もうそれらは全て俺の安定剤料になってしまった。
少しづつ少しづつ呼吸が整い落ち着いて来たものの、もう抗う力も残ってないし疲れてしまって眠くて仕方ない…
「少し落ち着いた?」
「んぅ…」
「今日はもう寝よ?」
「うん…」
そう答えが出てるのにも関わらず、俺は心に抱かれた。
嫌われるのが怖かった、心のことも好きだったから…
だけどそんなの俺のわがままでしかなくて、心を傷つける事にしかならないって分かってるのに、心の誘惑に勝てなかった。
傷付くのは心だけじゃない、こんなのりつが知ったらりつだっていい気はしないだろう。
なのにそれを止められない自分の強欲さと緩さに嫌気がさす。
今までずっと守ってきたのに、いや…守ってこれたのは心が無理に手を出してこようとはしなかったからだ。
心の想いは痛いほど俺に突き刺さってくる…
なのに俺はそれに答えられない。
ならば受け入れちゃダメだったんじゃないのか?
今更になって後悔したってもう遅い、だけど…
だったら、今すぐにでも心の家を出なきゃ、そう思って俺は心を突き放しベットから抜け出した。
「将吾っ、待って…っ」
リビングに戻り適当に処理を済ませ、自分の服をかき集めると俺は玄関へとフラフラと歩き出した。
苦しい…でも本当に苦しいのは俺じゃない、心の方だ。
だからここで俺が甘えちゃダメなんだ、泣いたり頼ったりしたらまた心に期待を持たせてしまう。
そう思って玄関で身支度を済ませ出ていこうとすると、後ろからぎゅっと抱きしめられてしまった。
「ごめんっ、あんなこと言って…だから行かないでっ…」
「…っ、ダメ、もうダメだよ心っ…俺はここを出てく。もう心には頼れないし、迷惑かけられない…今までありがとう…っ」
「迷惑じゃないっ、頼ってくれてもいいっ、だから行かないでよっ!」
「でもっ、でも俺は心の気持ちに答えられない…っ!なのに…ここにいることなんて出来ないじゃん…っ」
心の腕を振りほどこうにも全然力が入らないし、泣いちゃダメだと思えば思うほど息が苦しくなる…
迷惑かけたくないのに…
目の前がぼやけて、涙が溢れてとうとう立っていられなくなってしゃがみこんでしまった。
「将吾…っ!」
「はぁ…はぁ…っ、大丈夫っ…大丈夫だからっ…」
「全然大丈夫じゃないじゃんっ…、部屋…戻ろ?ね?」
俺は懸命に首を横に振り玄関を出ようと試みたけど、結局心の助けなしには立ち上がることも出来なくて自分の弱さを痛感する。
もう心には頼れない、いや、頼っちゃいけない。
「はぁっ…ごめ…落ち着いたら…っ、出るから…」
「行かないで…ここにいて…っ。ごめんね…意地悪して。俺、分かってたんだ…将吾がりつさんの事好きなのも、忘れられないのも、離れられないのも…だからいいの…今だけ、このままそばに居てくれたらそれだけで…ずるいのは、俺の方だから…」
そんな事ない、俺だってちゃんと心のことが好きだった。
りつを忘れられるくらい幸せを感じてた。
だけど、きっと今それを言ったところで更に心を傷つけるだけ…
酸素が行き届かない頭で色々考えながら、そばにいることが心の為になるのなら、まだもう暫くだけ…こうしててもいいかな、なんて絶対ずるいのは俺の方。
「心…っ」
俺を支えてくれてる腕を掴んで見上げると、心はいつもの優しい表情を見せてくれた。
結局俺は、心の優しさに甘えて苦しさから逃れたいがためにその胸の中に顔を埋め呼吸を整える。
俺を包み込んでくれる心の匂いも背中を撫でてくれる暖かい手も優しい声も、どれもりつとは違うけど…
だけど、もうそれらは全て俺の安定剤料になってしまった。
少しづつ少しづつ呼吸が整い落ち着いて来たものの、もう抗う力も残ってないし疲れてしまって眠くて仕方ない…
「少し落ち着いた?」
「んぅ…」
「今日はもう寝よ?」
「うん…」
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