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第二章 心との生活
後悔
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あれから何故かりつと連絡が取れない。
元々心と住み始めてから連絡は取ってなかったものの、熱が下がってあの時のお礼のメッセージを入れたLINEにも全然既読がつかない。
キスなんかしちゃったから、もう連絡取るつもりもないってことなのか…
それともあの日のキスのせいで、風邪でも移してしまったんだろうか。
そんな事を考えるとちょっとりつの事が心配になってくる。
そして妙な胸騒ぎを覚え始めた次の日の事、学校から帰ってきた心が神妙な面持ちで俺に話し始めた。
「将吾、落ち着いて聞いてね」
「ん?何?」
「俺も今日健太から聞いたんだけど、りつさん3日前に事故にあって入院してるんだって」
「えっ、入院!?事故って…!?」
「トラックに跳ねられたらしい…」
「トラック…っ!?それでアイツは!?無事なのか!?」
「それが…意識がまだ戻ってないらしいんだ」
3 日前って言ったら…ここに来た日!?
嘘だろ…そんな事ってあるか!?
俺のところにさえ来なければ、わざわざ俺の看病なんてしに来なければ、事故に会わずに済んだかもしれないのに…っ。
俺は心からりつが入院している病院を聞いて、心と一緒に急いでその病院に向かった。
病室に着いて目にしたりつの姿は想像よりも酷く、頭に包帯が巻かれ沢山の機械に繋がれていて、その機械を頼りに呼吸をしている状態だった。
りつのそんな変わり果てた姿に、俺は絶望して泣き崩れた。
テーブルの上には潰れたチョコの箱…
大事そうに抱えてましたと看護師さんに言われて、涙と嗚咽が止まらなくて、心が隣にいるのにも関わらずりつにしがみつき泣き叫んだ。
「りつ!!ねぇりつ!?起きてよっ!!」
「将吾、落ち着いて…」
「俺のせいだよね!?俺の看病なんてしに来なければこんなことにならなかったんだよね!?」
「将吾のせいじゃないよ…大丈夫だから、ね?」
「何が大丈夫なんだよ!?全然大丈夫なんかじゃないじゃんっ!!りつ!ねぇ、りつ…っ、はぁっ、はぁ…っ」
「将吾!?将吾!!…しょぅ…」
息が上手くできなくて呼吸が苦しい、胸も痛いし目眩がする…
心の声もだんだん遠くなってきて吐き気と共に視界がぼやけ、俺はゆらゆらと深い闇に飲見込まれていった―――
・・・・・
どれくらい時間が経っただろうか。
目を覚ますとそこは別の病室で、心が心配そうに俺を眺めていた。
「将吾…っ」
「…しん、俺…」
「ごめんね…無責任な事言って」
「ううん、俺こそ…ごめん…」
「気分はどう?大丈夫ならそろそろ帰ろっか」
「ごめん…もう一度だけ、りつに会いたい」
心はずっと優しくて、こんな俺のわがままに嫌な顔ひとつせず付き合ってくれるのに、俺は取り乱して迷惑かけて、更にはりつの事しか頭になくて、心のことまで考える余裕なんてなかった。
どんなに自分が自己中で、そしてどんなにりつの事が大事か…
今になってやっとわかった。
無責任なのは俺の方なのに…
心が差しのべてくれた手を取り、りつの病室へと歩いていく。
さっきまでの出来事が全部夢だったら、何事も無かったかのように、いつものように声をかけてくれないだろうか。
そんなありもしない幻想を抱きながらもりつの病室に行くと、やっぱりまだ眠ったままのりつ。
点滴に繋がれた手を取り、包み込むように両手で握りしめてもなんの反応もない。
このまま一生目覚めないなんてことないよな!?
りつを失うなんて無理…
りつのいない世界なんて俺には耐えられない。
これまでの事全部謝るから、だから戻ってきてよっ!
お願いだよ、りつ―――
元々心と住み始めてから連絡は取ってなかったものの、熱が下がってあの時のお礼のメッセージを入れたLINEにも全然既読がつかない。
キスなんかしちゃったから、もう連絡取るつもりもないってことなのか…
それともあの日のキスのせいで、風邪でも移してしまったんだろうか。
そんな事を考えるとちょっとりつの事が心配になってくる。
そして妙な胸騒ぎを覚え始めた次の日の事、学校から帰ってきた心が神妙な面持ちで俺に話し始めた。
「将吾、落ち着いて聞いてね」
「ん?何?」
「俺も今日健太から聞いたんだけど、りつさん3日前に事故にあって入院してるんだって」
「えっ、入院!?事故って…!?」
「トラックに跳ねられたらしい…」
「トラック…っ!?それでアイツは!?無事なのか!?」
「それが…意識がまだ戻ってないらしいんだ」
3 日前って言ったら…ここに来た日!?
嘘だろ…そんな事ってあるか!?
俺のところにさえ来なければ、わざわざ俺の看病なんてしに来なければ、事故に会わずに済んだかもしれないのに…っ。
俺は心からりつが入院している病院を聞いて、心と一緒に急いでその病院に向かった。
病室に着いて目にしたりつの姿は想像よりも酷く、頭に包帯が巻かれ沢山の機械に繋がれていて、その機械を頼りに呼吸をしている状態だった。
りつのそんな変わり果てた姿に、俺は絶望して泣き崩れた。
テーブルの上には潰れたチョコの箱…
大事そうに抱えてましたと看護師さんに言われて、涙と嗚咽が止まらなくて、心が隣にいるのにも関わらずりつにしがみつき泣き叫んだ。
「りつ!!ねぇりつ!?起きてよっ!!」
「将吾、落ち着いて…」
「俺のせいだよね!?俺の看病なんてしに来なければこんなことにならなかったんだよね!?」
「将吾のせいじゃないよ…大丈夫だから、ね?」
「何が大丈夫なんだよ!?全然大丈夫なんかじゃないじゃんっ!!りつ!ねぇ、りつ…っ、はぁっ、はぁ…っ」
「将吾!?将吾!!…しょぅ…」
息が上手くできなくて呼吸が苦しい、胸も痛いし目眩がする…
心の声もだんだん遠くなってきて吐き気と共に視界がぼやけ、俺はゆらゆらと深い闇に飲見込まれていった―――
・・・・・
どれくらい時間が経っただろうか。
目を覚ますとそこは別の病室で、心が心配そうに俺を眺めていた。
「将吾…っ」
「…しん、俺…」
「ごめんね…無責任な事言って」
「ううん、俺こそ…ごめん…」
「気分はどう?大丈夫ならそろそろ帰ろっか」
「ごめん…もう一度だけ、りつに会いたい」
心はずっと優しくて、こんな俺のわがままに嫌な顔ひとつせず付き合ってくれるのに、俺は取り乱して迷惑かけて、更にはりつの事しか頭になくて、心のことまで考える余裕なんてなかった。
どんなに自分が自己中で、そしてどんなにりつの事が大事か…
今になってやっとわかった。
無責任なのは俺の方なのに…
心が差しのべてくれた手を取り、りつの病室へと歩いていく。
さっきまでの出来事が全部夢だったら、何事も無かったかのように、いつものように声をかけてくれないだろうか。
そんなありもしない幻想を抱きながらもりつの病室に行くと、やっぱりまだ眠ったままのりつ。
点滴に繋がれた手を取り、包み込むように両手で握りしめてもなんの反応もない。
このまま一生目覚めないなんてことないよな!?
りつを失うなんて無理…
りつのいない世界なんて俺には耐えられない。
これまでの事全部謝るから、だから戻ってきてよっ!
お願いだよ、りつ―――
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