こじらせ男子は一生恋煩い

むらさきおいも

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第一章 出会いと再会

りつと健太

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将吾が出て行って暫く経ったある日、話があると言って健太が家にやってきて突然外に連れ出され、俺は半ば無理やり健太の車に放り込まれた。


「ちょっ、なに!?」

「あいつに連絡した?」

「してない…」

「ウジウジしてないでさっさと連れ戻せって」


そんなこと言われなくたってわかってる。

だけど、このまま心と一緒にいた方がいいんじゃないかって、そんな事が頭をよぎる度に連絡するのを躊躇った。

無言の車内にカチカチとウインカーの音が響く…


「昨日さ、心に夏川先輩のこと聞いた」

「…ふぅん」


運転しながらチラッとこちらを向く健太から目を逸らし、興味なさげに返事を返す俺は、自分でもどんだけガキなんだって思うほどひねくれている。

本当はどうだったのか、将吾がどうしてるのか気になって仕方ないくせに…


「あの日はマジでなんもなかったって。だから早く謝って連れ戻してよ」

「…んな事わかってるよ」


なんにもなかった…そんなこと分かってる。

だとしても一緒にいた事実に胸が痛むし、結局のところ俺じゃなくて心の方が…って思うと疑わずにはいられなくなって将吾を追い詰める。

そんな俺が変わらなきゃダメなんだよな。


「あ、あれ…」

「ん?」

「りっちゃんへのプレゼントだったらしいよ?」

「え…?プレゼント?誕生日でもないのに?」

「今日、クリスマスじゃん…」

「えっ…」

「だからまだ渡したくなかったんだろ?」


あぁ、俺やっぱダメだ…

将吾のためにと休み返上で働いてて、今日がクリスマスだなんて日付の感覚すらなかった。

結局自分のことばっかりで、将吾のことなんも考えてやれてなかったんだな。

一緒にいられるならそれでいいなんて、俺の独りよがりだったんだ。

ポケットからタバコを取り出し火をつけると、大きく深呼吸して窓の外に煙を吐き出した。


「今から行く?」

「…いや、いいわ」

「なぁ、今日クリスマスだぞ!?あいつら二人っきりにさせていいのかよ…」

「そうだよなぁ…」

「はぁ…しっかりしてくれよぉ」


ほんとだな、俺にあいつを守ってやる資格なんかない。

傷付けて泣かせた挙句、怖気付いて迎えにも行けないなんて最低だ。

俺と会ってなければ傷つく事も無く、最初から心と幸せになれてたのにな。

俺なんかに再会したばっかりに…
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