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第一章 出会いと再会
疑惑
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「付き合わせて悪かったな」
「俺が付き合いたいって言っただけだし」
「じゃあ、ここで…」
「送ってくよ」
「いいよ…」
「俺がそうしたいんだけど、だめ?」
「ん…じゃあ」
あれからどれくらいの時間が経っただろう。
ふと携帯を確認すると、りつからの着信がずらりと並んでいる。
ちょっとコンビニ行ってくる程度にしちゃ長い時間だっただろうし、もしかしたら心配してるのかも…と思ってかけ直そうかと悩んでると再びりつからの着信が入った。
「りつさん?」
「…うん」
もう家の側だし、心もいるからとにかく今から帰るとだけ言って切ろうと電話に出た。
「もしもし」
(将吾!?お前、どこにいんだよっ、電話も出ねぇし!)
「ごめん、気が付かなかった…」
(迎えに行くから、場所…っ)
「…?もしもし?りつ…?」
りつの声が途中で途切れた。
そしてふと顔を上げると、横断歩道の向こう側に携帯を持ったまま立ち尽くすりつと目が合う。
信号が青になったにも関わらず、俺らはどちらも足を前に踏み出せないでいると、心がそっと背中を押してくれた。
「じゃあ、俺はここで…」
「あぁ、うん…」
「なんかあったらまた話し聞くから、なんでも話して?」
「うん、ありがとう」
心の優しさが、俺のギスギスした気持ちをすっと溶かしてくれた。
手を振る心を見送り、俺は一旦携帯切り信号を渡った。
目の前のりつは携帯を手に持ったまま、一歩も動かない…
心と一緒にいたことで、嫌な気持ちにさせてるのは間違いないと思うけど、でも別に何もやましいことなんてなかったし、たまたま会って買い物して送って貰っただけのこと。
説明すれば分かってくれるはず…それに
「りつ…」
「…何してたんだよ」
「ちょっと…外出てブラブラしてただけ…」
「は?なんで黙って出てくの?心配するじゃん…っ、それに心と一緒とかさ…どういうこと?」
そもそもりつが悪いんじゃん…っ、何で俺がこんなに責められなきゃいけないんだよ。
しかもお前のためにプレゼントまで用意したのに…
「心とはたまたま会っただけだよ…」
「じゃあ何?その袋…」
「これは、別に…」
今は渡せないと、必死に抵抗するその行動がりつに火をつけてしまったのか、りつはむっとして俺を睨みつけてきた。
「心から貰ったの…?」
「違うよっ、そんなんじゃ…っ」
「じゃあ見せろよ」
「…っ、だめだよっ、今はダメ!」
「あぁそうかよっ」
「あ、りつ…っ!」
りつは力任せに俺の腕を掴み、振り返ることなく歩き続けた。
そして家に着いてもその手を離されることなく寝室に連れていかれ、ベットに押し倒された。
電気もゲームも付けっ放しのままのリビングが、俺がいないと気がついた時のりつの状況を物語っていた。
きっと本気で心配してくれたんだって思えて嬉しかったけど、りつに買ったプレゼントも押し倒された衝撃で無惨に床に転がり、今目の前にいるりつはいつもの優しいりつじゃなくて、何されるか分からなくてただただ怖い。
「りつ…っ」
「俺だけだって言っよなぁ?」
「言ったよ…りつだけだよっ!?なんで…っ、んぅっ」
上着の襟首を掴まれ無理やり身体を起こされると、口内に荒々しくりつの舌が入り込んでくる。
息をするタイミングが分からないくらい攻められ、苦しくてりつの胸を叩くがりつはそれをやめてはくれない。
時折スエットのズボンの中の固くなったりつのモノがあたり、自ずとこちらの心拍も上がっていく。
閉じられない口の端から唾液がこぼれ首筋を伝っていくと、やっとりつの唇が離れ今度は首筋を這っていく…
「ん、あっ…りつぅ…っ」
「はぁ、はぁ…っ、脱げよ」
冷たくそう言い放つと上着を剥ぎ取られ一気にズボンを下ろされると、顕になったソレを容赦なく扱かれる。
「ぅあっ!あっ…ま、てっ…」
「もう固いじゃん…誰のせいでこんなになってんの?ねぇ…」
「うぁっ、りつ…がっ」
「あ?俺が何?」
「りつがっ、激しくするっ…からっ」
トレーナーをまくり上げられぷっくりと脹れた突起に噛みつかれると、全身に電気が走ったように震える。
執拗に突起を遊ばれ、握ったソレを激しく扱かれれば気持ちとは裏腹に絶頂へと勝手に導かれる。
「あっ、あっ、い…っ、あっ、イッちゃ…っ」
「あ?勝手に行くなよ」
「んっ…でも…っ」
「気持ちい?」
「う…ぅ、んぅ…っ」
「気持ちいいかって聞いてんのっ!」
「はぅ…っ、きもちぃ…っ、ん、あっ、イクッ…!」
そしてりつの手によってあっという間に欲が吐き出されると、溢れ出したその汁を絡め取り後ろをなぞられる。
「あっ、は、あ…っ」
「…っ、なんで…」
「え…」
「緩く…ない…?」
「…っ、それはっ…昨日、準備したから…っ」
「だとしても…っ、お前…心となんかあっただろ…」
「…は?何言ってんの…!?そんなことあるわけないだろ!?」
さすがにここまで要らぬ疑いをかけられ続けて、俺もいい加減腹が立ってきた。
だって昨日、そのつもりで準備したのに先に寝ちゃったのはりつの方だ。
起きてからだって何にもなかったし、かと思えばゲームに夢中で俺に見向きもしなかったくせにっ。
俺がりつを睨みつけるとりつは入れた指をずるりと抜き、呆れたように溜息をつきすっと目を逸らした。
「急に居なくなるし、携帯かけても全然出ないし、心配して探しに行ってみりゃ心と一緒にいるなんてさ…せっかく休みかぶったのに何でそうなるの?意味わかんねぇよっ…」
りつの言葉にかぁっと頭に血が上る。
意味がわかんないのはこっちの方だ!
勝手に怒って勝手に勘違いして勝手に暴走して!
気を使ってずっと我慢してた俺が、バカみたいじゃん!
反撃したら余計に喧嘩になるかもしれない、だけど黙ってたら勘違いされたまま要らぬ疑いをかけられたくは無くて、俺は一か八か気持ちをぶちまけた。
「りつが悪いんじゃんっ!せっかくの休みに勝手なことしてたのはりつの方だろ!?」
「じゃあなに?俺がゲームしてたから腹いせに心と一緒にいたっての!?」
「違うよっ!心は関係ないって言ってるだろ!?りつが相手にしてくれないから外に出たら、たまたま会っただけだって…っ」
「俺が悪いのかよ…っ、全部俺のせいか!?」
「…っ、だって…っ」
だってりつが…そう言ってしまったらりつを余計に怒らせるだけだ。
だけど俺は何も悪くないじゃんっ…
俺がりつに何したって言うの?
ただ、一緒にいたかっただけなのに…っ。
シーツをぎゅっと掴み唇を噛み締めるとポロポロと勝手に涙が流れていく。
「はぁ…もういい…」
「もういいって…なんだよ…っ」
「だってすぐ泣くじゃんっ…俺が悪いよ、全部俺が悪い。それでいいよ…ごめんな」
なんだよそれ…
結局なにも理解してくれてないのに、そんな投げやりなごめんなんて欲しくない、いらない!
渋々と俺を抱き寄せ、まるでへそを曲げた子供をあやすようなりつの態度が悔しくて、泣きたくないのに余計に涙が溢れてくる。
さっきまで固かったりつのモノももう完全に萎えてるし、きっと俺は嫌われたんだ。
そうだ…
りつだって俺以外に誰かいるのかもしれない。
毎日毎日、違う時間に仕事に行くなんておかしいじゃん。
そんな不信感が積もり積もって、俺はりつを突き放した。
「俺だけじゃないのはりつもだろ?」
「は?」
「仕事仕事ってさ、本当は浮気でもしてんじゃないの?」
「いきなり何言って…」
「いきなりじゃないっ!昨日もその前も、全然触ってもくんなかったじゃんっ!」
「お前…そんなふうに思ってたの…?」
はっ、と思った時にはもう遅くて、俺を見つめるりつの表情は、今まで見た事もないくらいに寂しそうで、証拠も何も無いのにただの疑心暗鬼でりつを責めたててしまった事を酷く後悔した。
でももう後戻りはできなくて、何も言えずにいると、りつは黙って部屋から出て行った。
寝室に取り残された俺は独り寂しく後処理を済ませると、リビングをそぉっと覗く。
テレビもゲームもやりっ放しのまま、りつの姿は見当たらない。
顔を合わせたところでただ気まずいだけだし、いない隙を狙って俺は上着を持って家を飛び出した。
「俺が付き合いたいって言っただけだし」
「じゃあ、ここで…」
「送ってくよ」
「いいよ…」
「俺がそうしたいんだけど、だめ?」
「ん…じゃあ」
あれからどれくらいの時間が経っただろう。
ふと携帯を確認すると、りつからの着信がずらりと並んでいる。
ちょっとコンビニ行ってくる程度にしちゃ長い時間だっただろうし、もしかしたら心配してるのかも…と思ってかけ直そうかと悩んでると再びりつからの着信が入った。
「りつさん?」
「…うん」
もう家の側だし、心もいるからとにかく今から帰るとだけ言って切ろうと電話に出た。
「もしもし」
(将吾!?お前、どこにいんだよっ、電話も出ねぇし!)
「ごめん、気が付かなかった…」
(迎えに行くから、場所…っ)
「…?もしもし?りつ…?」
りつの声が途中で途切れた。
そしてふと顔を上げると、横断歩道の向こう側に携帯を持ったまま立ち尽くすりつと目が合う。
信号が青になったにも関わらず、俺らはどちらも足を前に踏み出せないでいると、心がそっと背中を押してくれた。
「じゃあ、俺はここで…」
「あぁ、うん…」
「なんかあったらまた話し聞くから、なんでも話して?」
「うん、ありがとう」
心の優しさが、俺のギスギスした気持ちをすっと溶かしてくれた。
手を振る心を見送り、俺は一旦携帯切り信号を渡った。
目の前のりつは携帯を手に持ったまま、一歩も動かない…
心と一緒にいたことで、嫌な気持ちにさせてるのは間違いないと思うけど、でも別に何もやましいことなんてなかったし、たまたま会って買い物して送って貰っただけのこと。
説明すれば分かってくれるはず…それに
「りつ…」
「…何してたんだよ」
「ちょっと…外出てブラブラしてただけ…」
「は?なんで黙って出てくの?心配するじゃん…っ、それに心と一緒とかさ…どういうこと?」
そもそもりつが悪いんじゃん…っ、何で俺がこんなに責められなきゃいけないんだよ。
しかもお前のためにプレゼントまで用意したのに…
「心とはたまたま会っただけだよ…」
「じゃあ何?その袋…」
「これは、別に…」
今は渡せないと、必死に抵抗するその行動がりつに火をつけてしまったのか、りつはむっとして俺を睨みつけてきた。
「心から貰ったの…?」
「違うよっ、そんなんじゃ…っ」
「じゃあ見せろよ」
「…っ、だめだよっ、今はダメ!」
「あぁそうかよっ」
「あ、りつ…っ!」
りつは力任せに俺の腕を掴み、振り返ることなく歩き続けた。
そして家に着いてもその手を離されることなく寝室に連れていかれ、ベットに押し倒された。
電気もゲームも付けっ放しのままのリビングが、俺がいないと気がついた時のりつの状況を物語っていた。
きっと本気で心配してくれたんだって思えて嬉しかったけど、りつに買ったプレゼントも押し倒された衝撃で無惨に床に転がり、今目の前にいるりつはいつもの優しいりつじゃなくて、何されるか分からなくてただただ怖い。
「りつ…っ」
「俺だけだって言っよなぁ?」
「言ったよ…りつだけだよっ!?なんで…っ、んぅっ」
上着の襟首を掴まれ無理やり身体を起こされると、口内に荒々しくりつの舌が入り込んでくる。
息をするタイミングが分からないくらい攻められ、苦しくてりつの胸を叩くがりつはそれをやめてはくれない。
時折スエットのズボンの中の固くなったりつのモノがあたり、自ずとこちらの心拍も上がっていく。
閉じられない口の端から唾液がこぼれ首筋を伝っていくと、やっとりつの唇が離れ今度は首筋を這っていく…
「ん、あっ…りつぅ…っ」
「はぁ、はぁ…っ、脱げよ」
冷たくそう言い放つと上着を剥ぎ取られ一気にズボンを下ろされると、顕になったソレを容赦なく扱かれる。
「ぅあっ!あっ…ま、てっ…」
「もう固いじゃん…誰のせいでこんなになってんの?ねぇ…」
「うぁっ、りつ…がっ」
「あ?俺が何?」
「りつがっ、激しくするっ…からっ」
トレーナーをまくり上げられぷっくりと脹れた突起に噛みつかれると、全身に電気が走ったように震える。
執拗に突起を遊ばれ、握ったソレを激しく扱かれれば気持ちとは裏腹に絶頂へと勝手に導かれる。
「あっ、あっ、い…っ、あっ、イッちゃ…っ」
「あ?勝手に行くなよ」
「んっ…でも…っ」
「気持ちい?」
「う…ぅ、んぅ…っ」
「気持ちいいかって聞いてんのっ!」
「はぅ…っ、きもちぃ…っ、ん、あっ、イクッ…!」
そしてりつの手によってあっという間に欲が吐き出されると、溢れ出したその汁を絡め取り後ろをなぞられる。
「あっ、は、あ…っ」
「…っ、なんで…」
「え…」
「緩く…ない…?」
「…っ、それはっ…昨日、準備したから…っ」
「だとしても…っ、お前…心となんかあっただろ…」
「…は?何言ってんの…!?そんなことあるわけないだろ!?」
さすがにここまで要らぬ疑いをかけられ続けて、俺もいい加減腹が立ってきた。
だって昨日、そのつもりで準備したのに先に寝ちゃったのはりつの方だ。
起きてからだって何にもなかったし、かと思えばゲームに夢中で俺に見向きもしなかったくせにっ。
俺がりつを睨みつけるとりつは入れた指をずるりと抜き、呆れたように溜息をつきすっと目を逸らした。
「急に居なくなるし、携帯かけても全然出ないし、心配して探しに行ってみりゃ心と一緒にいるなんてさ…せっかく休みかぶったのに何でそうなるの?意味わかんねぇよっ…」
りつの言葉にかぁっと頭に血が上る。
意味がわかんないのはこっちの方だ!
勝手に怒って勝手に勘違いして勝手に暴走して!
気を使ってずっと我慢してた俺が、バカみたいじゃん!
反撃したら余計に喧嘩になるかもしれない、だけど黙ってたら勘違いされたまま要らぬ疑いをかけられたくは無くて、俺は一か八か気持ちをぶちまけた。
「りつが悪いんじゃんっ!せっかくの休みに勝手なことしてたのはりつの方だろ!?」
「じゃあなに?俺がゲームしてたから腹いせに心と一緒にいたっての!?」
「違うよっ!心は関係ないって言ってるだろ!?りつが相手にしてくれないから外に出たら、たまたま会っただけだって…っ」
「俺が悪いのかよ…っ、全部俺のせいか!?」
「…っ、だって…っ」
だってりつが…そう言ってしまったらりつを余計に怒らせるだけだ。
だけど俺は何も悪くないじゃんっ…
俺がりつに何したって言うの?
ただ、一緒にいたかっただけなのに…っ。
シーツをぎゅっと掴み唇を噛み締めるとポロポロと勝手に涙が流れていく。
「はぁ…もういい…」
「もういいって…なんだよ…っ」
「だってすぐ泣くじゃんっ…俺が悪いよ、全部俺が悪い。それでいいよ…ごめんな」
なんだよそれ…
結局なにも理解してくれてないのに、そんな投げやりなごめんなんて欲しくない、いらない!
渋々と俺を抱き寄せ、まるでへそを曲げた子供をあやすようなりつの態度が悔しくて、泣きたくないのに余計に涙が溢れてくる。
さっきまで固かったりつのモノももう完全に萎えてるし、きっと俺は嫌われたんだ。
そうだ…
りつだって俺以外に誰かいるのかもしれない。
毎日毎日、違う時間に仕事に行くなんておかしいじゃん。
そんな不信感が積もり積もって、俺はりつを突き放した。
「俺だけじゃないのはりつもだろ?」
「は?」
「仕事仕事ってさ、本当は浮気でもしてんじゃないの?」
「いきなり何言って…」
「いきなりじゃないっ!昨日もその前も、全然触ってもくんなかったじゃんっ!」
「お前…そんなふうに思ってたの…?」
はっ、と思った時にはもう遅くて、俺を見つめるりつの表情は、今まで見た事もないくらいに寂しそうで、証拠も何も無いのにただの疑心暗鬼でりつを責めたててしまった事を酷く後悔した。
でももう後戻りはできなくて、何も言えずにいると、りつは黙って部屋から出て行った。
寝室に取り残された俺は独り寂しく後処理を済ませると、リビングをそぉっと覗く。
テレビもゲームもやりっ放しのまま、りつの姿は見当たらない。
顔を合わせたところでただ気まずいだけだし、いない隙を狙って俺は上着を持って家を飛び出した。
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