こじらせ男子は一生恋煩い

むらさきおいも

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第一章 出会いと再会

りつの嫉妬

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ガラにもなく嫉妬した…

今まで何もしてやれなかった事を今更悔やんだって仕方ないのに、その間将吾を支えてくれていたであろう将吾よりも年下の子に敵意を剥き出しにして喧嘩売って、腹いせのように嫉妬して将吾を不安に追いやって…
俺は一体何をしているんだろう。

将吾の事になると、本当に自分が分からなくなる。

考えて考えて俺なんかって思ったら、やっぱり俺は将吾にふさわしくないって、あの子はきっと将吾を泣かせたりしないし、俺なんかより将吾を大事に出来るんじゃないかって。

再会なんてしなかった方がお互いのためだったんじゃないかって思ったら、また逃げたくなったんだ。

今度こそ将吾を守るって決めたのに…
もう逃げないって誓ったのに…っ!


「バイト…っ、変えるからっ…お願い…」


違う…っ、そんなことして欲しいわけじゃない。

俺の仕事の方が、よっぽど将吾を苦しめてるはずなのに…
こんな状態の将吾を置いて仕事に行けるわけも無いし、今日はもう誰の相手もしたくない。

将吾をぎゅっと抱きしめ一呼吸置いて体を離すと、将吾の頭をぽんぽんと撫でて一度体を離した。


「りつ…」

「ちょっと待ってて…すぐ戻るから」


俺は携帯を出して職場に連絡を入れると、適当に理由をつけて仕事を休んだ。

電話を終えて将吾の元に戻り、将吾を抱き抱え寝室に連れていった。


「ごめんな…不安にさせて…」

「仕事は…?」

「休んだ」

「え…っ?」

「今日は将吾と一緒にいたい」


そーっと将吾をベットに押し倒しそのまま唇を重ねると、俺の腕を掴む将吾の手に力が篭もった。


「ごめん…俺のせいで…」

「違うよ、俺が将吾と一緒にいたいって思ったから。それに、バイトも変えなくていいし、心と仲良くしてもいいから…」

「…っ、なんで…っ!?なんでそんなこと言うんだよ!」

「や、だっていい大人が嫉妬なんてさ…恥ずかしいだろ?」

「俺の事…嫌いになったの…?」

「んな訳ないだろ!?こんなに好きなのに…っ!」


再び将吾の唇を塞ぐとそのまま舌をねじ込み絡ませれば、将吾に対する想いがどんどん溢れてくる。


【体の関係は…あった。】


そんなの心だけじゃない。
仕事上、将吾が体の関係を持ったヤツなんて数え切れないほどいた事は承知の上だ。

将吾がどんな客とどれだけのことをしてきたのかなんて知らないし、そこまで気になることでもなかったのに、相手が心だと思うと悔しくてたまらなかった。

将吾を癒した男、将吾が心(こころ)を許した男、将吾に手離したくないと思わせた男。

絶対に渡したくない、負けたくない。

考えれば考えるほど嫉妬で頭の中が埋め尽くされ、俺だけを見て欲しいと夢中で将吾の唇に食らいつきながら全身を愛撫した。


「んぅ…っ、ん…」

「…っ、はぁっ、将吾…っ、ごめんな…」

「…なん、で…っ」

「守ってやれなかった…俺が弱かったから…っ、なのに今も…結局弱いままで…お前を泣かせた…っ、でも…っ、それでも一緒にいて欲しい…」

「ん…っ、いる…いるよ…っ」


それから俺らは時間を忘れて求めあった。

将吾はこんな俺でも好きだと言ってくれた。

俺だって将吾が思ってるより、ずっと将吾の事が好きだ。
好きで好きでたまらない。

でもだからこそ、こうして二人で過ごせるようになった今もまだ夢見たいで、いつか将吾が俺の前からいなくなってしまわないか、誰かに取られやしないか、不安で不安で仕方ない。

こんな事でしか繋ぎ止められない俺は、やっぱり駄目な大人でしかなくて、昔から何ら成長なんてしてないけど、それでももうお前を離してやることなんて出来ないと思う。

ごめんな、将吾。


「ん、んっ、あぁっ…」

「く…っ、将吾っ、気持ちい…?」

「ん…っ、きも、ち…っ」

「はぁ…っ、あ、出そう…っ」

「ぅあっ、あ、俺も…っ」


うねる中を感じながら将吾の腰を掴み律動を早めると、将吾の先から白濁が飛び出し腹の上にこぼれ落ち、俺もいよいよ絶頂へと導かれる。


「あ、あっ、も、ダメッ!!」

「だめ…っ?良いじゃなくて!?」

「い、いいっ、あ、イグッ…!」

「う…っ、俺も…ッ」


その後もダラダラと欲を腹の上に吐き出しながら、ビクビクと身体を震わせる将吾を抱きしめると、将吾も俺の背中に手を伸ばししがみついてきた。


「ん、はぁ、りつ…」

「ん?」

「離さないでっ…」

「うん…離さない」


将吾の荒く乱れる呼吸を耳元で聴きながら、背中をさすったり頭を撫でたりしていると、将吾はいつの間にか眠ってしまっていた。

俺は、この日から自分の仕事状況も見直そうと考えた。

いつまでも続けられる仕事でもないし、徹底してるとはいえ何処でどんなリスクがあるかも分からないのに、そのリスクを将吾にも背負わす訳にはいかない。

でも、そのことを将吾に言えばまた色んな事を考えさせてしまうだろうから、俺は俺の中で勝手に進めることを決めたんだ。

将吾と二人で、幸せになるために―――
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