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第一章 出会いと再会
二人で歩く
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昨日着ていた自分の服はあいにく洗濯中…
服まで借りて外に出たはいいが、こいつの服の趣味を改めて知って、俺とはまるで違うことに気がついた。
先生と生徒だった俺らは、思えばこんな風に私服で2人で出かけるなんてあんまりしたことなかったから、なんだか物凄く緊張する。
まともに顔も見れず少し距離を取って歩けば、心配そうに俺の顔を覗き込んでくるりつ。
「どうした?元気ないじゃん…」
「な、なんでもねぇよ…」
「そぉ?てかそのシャツ似合うじゃん!」
「お前、趣味悪くない…?」
「またお前って…先生に向かってそれは無いだろ…」
「もう先生じゃねぇんだろ?」
「そぉだけどさぁ…じゃあ、せめて名前で呼んでよぉ」
「そのうちな…」
俺が絶対着ないようなこんなド派手なシャツ…
正直マジで落ち着かない。
なんか人にジロジロ見られてるような感覚も俺は好きじゃないのに、その点コイツはそういう視線を全く気にすることなく少し離れて歩く俺の手を掴んだ。
「ほらっ、こっち来いよ」
「ちょっ、やめろって///」
「なんで?」
「なんでって…っ、男同士でそんな…」
「そんなの気にするの?」
「普通するだろっ!」
「そっか…」
少し悲しそうな顔をして大人しくなるりつ…
この人は昔からそうだ。
男にも女にもにモテたし、人の目もあんまり気にしない。
けど俺はそんな風に思えないし、そうやって割りきれりないから昔から変わらないこいつが羨ましくなる。
「なぁ、その髪…切りに行かね?」
「は?」
「伸ばしてるわけじゃないんだろ?」
「んぅ…」
「俺の行きつけ!そこで切ってもらおう、な?」
「や、でも俺…金、ないし…」
「金なら俺が持ってる、気にするな」
半ば強引に美容院に連れていかれると、慣れた感じで美容師さんと話しながら隣に座らせられる。
どんな髪型にしたいとかも特にないからおまかせでと適当に言えば、りつが横からあぁだこぉだ注文を付けてくる。
それにおまかせなんて言ったもんだから、髪は染められるわパーマはかけられるわ、好き放題弄られて最後の方は完全に寝ちゃって後半の記憶が全く無い。
揺さぶり起こされ、鏡の前の自分を見れば完璧に仕上がってる俺。
自分でもそこそこイケてる、と思う…
「カッコイイじゃん!バッチリ」
「う、うん…///」
りつに褒められてちょっと嬉しくて俯くと、美容師さんが鏡越しに無理やり視線を合わせてきた。
「ほんとっ、どこで拾ったの?こんな可愛い子っ♡」
「ちょっとぉ、俺のだからねっ!」
「わかってるって」
りつとやたら仲良さげな美容師さんに肩をポンポンと叩かれると、何だか凄く恥ずかしくなってしまい、思わずりつに強く当たってしまった。
「なっ、そういうこと言うなよっ////」
「なんでよ、いいじゃん…」
「やだよ…」
「そぉ…」
あ、またその顔…
俺だって本気で嫌だって言ってるわけじゃないけど、人前で惚気けるとかそういうの無理だから。
でも、そんな顔しないで欲しい…
美容院を出て俺の家に帰るまでの道のりもなんとなく気まずくて、コンビニに寄って適当に買い物をしても特に会話らしい会話もない。
りつは俺に気を使って、荷物持ちまでしてくれてるのに…
「なぁ…」
「ん?」
「そっちの荷物…持つよ」
「あぁ、サンキュ…」
俺は片方の荷物を受け取り空いた手でりつの右手を少し掴むと、りつは少し驚いてからニコッと笑って俺の手をしっかりと握り直してくれた。
「いいの?」
「うん…///」
めちゃくちゃ恥ずかしかったけど、りつが笑ってくれたからそれでいい。
だけど、いつまでもこんな日が続くとは思わない。
きっとまたいつかいなくなっちゃうか、捨てられる日がくるんだろうから…
服まで借りて外に出たはいいが、こいつの服の趣味を改めて知って、俺とはまるで違うことに気がついた。
先生と生徒だった俺らは、思えばこんな風に私服で2人で出かけるなんてあんまりしたことなかったから、なんだか物凄く緊張する。
まともに顔も見れず少し距離を取って歩けば、心配そうに俺の顔を覗き込んでくるりつ。
「どうした?元気ないじゃん…」
「な、なんでもねぇよ…」
「そぉ?てかそのシャツ似合うじゃん!」
「お前、趣味悪くない…?」
「またお前って…先生に向かってそれは無いだろ…」
「もう先生じゃねぇんだろ?」
「そぉだけどさぁ…じゃあ、せめて名前で呼んでよぉ」
「そのうちな…」
俺が絶対着ないようなこんなド派手なシャツ…
正直マジで落ち着かない。
なんか人にジロジロ見られてるような感覚も俺は好きじゃないのに、その点コイツはそういう視線を全く気にすることなく少し離れて歩く俺の手を掴んだ。
「ほらっ、こっち来いよ」
「ちょっ、やめろって///」
「なんで?」
「なんでって…っ、男同士でそんな…」
「そんなの気にするの?」
「普通するだろっ!」
「そっか…」
少し悲しそうな顔をして大人しくなるりつ…
この人は昔からそうだ。
男にも女にもにモテたし、人の目もあんまり気にしない。
けど俺はそんな風に思えないし、そうやって割りきれりないから昔から変わらないこいつが羨ましくなる。
「なぁ、その髪…切りに行かね?」
「は?」
「伸ばしてるわけじゃないんだろ?」
「んぅ…」
「俺の行きつけ!そこで切ってもらおう、な?」
「や、でも俺…金、ないし…」
「金なら俺が持ってる、気にするな」
半ば強引に美容院に連れていかれると、慣れた感じで美容師さんと話しながら隣に座らせられる。
どんな髪型にしたいとかも特にないからおまかせでと適当に言えば、りつが横からあぁだこぉだ注文を付けてくる。
それにおまかせなんて言ったもんだから、髪は染められるわパーマはかけられるわ、好き放題弄られて最後の方は完全に寝ちゃって後半の記憶が全く無い。
揺さぶり起こされ、鏡の前の自分を見れば完璧に仕上がってる俺。
自分でもそこそこイケてる、と思う…
「カッコイイじゃん!バッチリ」
「う、うん…///」
りつに褒められてちょっと嬉しくて俯くと、美容師さんが鏡越しに無理やり視線を合わせてきた。
「ほんとっ、どこで拾ったの?こんな可愛い子っ♡」
「ちょっとぉ、俺のだからねっ!」
「わかってるって」
りつとやたら仲良さげな美容師さんに肩をポンポンと叩かれると、何だか凄く恥ずかしくなってしまい、思わずりつに強く当たってしまった。
「なっ、そういうこと言うなよっ////」
「なんでよ、いいじゃん…」
「やだよ…」
「そぉ…」
あ、またその顔…
俺だって本気で嫌だって言ってるわけじゃないけど、人前で惚気けるとかそういうの無理だから。
でも、そんな顔しないで欲しい…
美容院を出て俺の家に帰るまでの道のりもなんとなく気まずくて、コンビニに寄って適当に買い物をしても特に会話らしい会話もない。
りつは俺に気を使って、荷物持ちまでしてくれてるのに…
「なぁ…」
「ん?」
「そっちの荷物…持つよ」
「あぁ、サンキュ…」
俺は片方の荷物を受け取り空いた手でりつの右手を少し掴むと、りつは少し驚いてからニコッと笑って俺の手をしっかりと握り直してくれた。
「いいの?」
「うん…///」
めちゃくちゃ恥ずかしかったけど、りつが笑ってくれたからそれでいい。
だけど、いつまでもこんな日が続くとは思わない。
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