こじらせ男子は一生恋煩い

桜ゆき

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第一章 出会いと再会

離したくない

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「行くなよ…っ、もうどこにも行かないで…っ」

「…っ、俺、どうしたらいいかわかんねんだよ…俺が変な事教えたから、離れる事でお前に普通の生活が戻ると思ってたのに…こんなことになるくらいなら手放さなければよかったとか、何が正解だったのか…もうわかんねぇんだよっ!」

少しの沈黙の後…

俺の背中に触れていた手が離れ、将吾は大きなため息をついた。


「はぁ…先生、なんも変わってないな」

「え…っ」

「そーやって全部一人で抱え込んでさ、俺の気持ちまた無視すんの?」


将吾の言葉に息が止まるほどに胸が締め付けられた。

あの時も今も将吾の為と思ってやってたことに、結局なんの意味があったのか…
将吾がどうしたいのかなんて聞いたこともなかったんだ。

でもそれは大人の俺が、ちゃんと考えなきゃいけないんだって思ってたから。

それに…


「ねぇ、俺もう子供じゃないから」

「将吾…」

「勝手に決めつけんなよ、俺は俺のやりたいようにやってきただけだから。加野っちのせいなんかじゃない」


あぁ…そっか。
もう子供じゃないんだ…

そう思った瞬間ずっとのしかかってた肩の荷がストンと下りた気がして、今まで抱えてきた責任とか子供だからという概念がなくなると、共に急に涙が溢れてきた。


「加野っち…?」

「ん、ごめ…っ、なんかっ、情けないよなっ…俺っ、しっかりしなきゃって…俺が何とかしなきゃって必死だった、昔も、今も…っ」

「守ってくれてたんだろ?」

「そのつもりだった」

「また守ってよ」

「でも…っ、でも俺…っ」


それだけじゃないんだ、俺がお前を守ってやれなかった理由…

隼人が話してないとしたら、将吾はもしかしたら知らないのかもしれないけど、でも…

でも今なら…っ


「こんな泣き虫だったっけ?」

「んぅ…っ」

「こっち向いて?」


その言葉に答えるように涙を拭いながら振り返ると、将吾の顔がそっと近づき頭を抱えられるようにぎゅっと抱きしめられた。

この匂い…この温もり…
離れていた時間を埋めるように将吾の背中に手を伸ばしぎゅっと抱きしめる。

その体は前より細くて心配になるくらいだけど、俺を包み込むその細い腕も胸も何だか前よりたくましく感じられた。

大人になったんだな…


「もう守ってくれなくてもいいから、いなくなったりしないで…」

「将吾…っ」

「俺、大丈夫だから…一人でも生きてこれたし、だからせめて側にいてよ…」


将吾の腕が解け自然と俺も背中にまわした腕を解くと、少し涙目のまだあどけない笑顔の将吾と目が合う。

俺はやっぱり将吾の事が…


「こんな俺じゃ、もう嫌…?」

「そんな事…っ!」

「じゃあ、まだ俺の事…好き?」

「あぁ、好きだよ…」


どちらからともなく唇を重ね合わせると、あの頃に引き戻されるかのように互いを求め合い舌を絡ませ、何度も何度も懐かしい唇の感触を確かめ合った。

ベットに引きずり込まれるように将吾にまたがると、白く綺麗なその頬に触れた。

そして長い前髪をかき分けてもう一度キスを落とすと、シャツを捲りあげ身体中に散りばめられた傷や痣の一つ一つを舐めながら胸の突起を刺激すると、将吾の口から甘い息が漏れる。


「んぁ…っ」

「ここ…好きだよね…」

「あっ、かの…っち…」

「名前で呼んで…?もう先生じゃないから…」

「はぁ…っ、り…つ…」

「いい子…」


ゆるゆると手を下にのばし、ズボンを剥ぎ取り細い太ももに舌を這わせ、主張するソレに触れるとビクンと体を跳ねさせた。

太ももから中央に舌を這わせ裏筋を通り、先端から咥え込めば先走りが口の中に広がる。

音を立てながら動かす度に可愛い声でよがる将吾に、自分の欲望が抑えられなくなる。


「あっ、ふっ…」

「ひもひい?」

「ん…っ、きもちい…っ」

「はぁっ…もう無理っ、入れて…いい?」

「うんっ、入れてっ…」


顔を真っ赤にして俺にしがみつく将吾を一旦引き剥がし、膜を取り出し纏わせローションを垂らし後孔に指を沈めると、将吾の後ろはいとも簡単に俺のモノを飲み込んだ。

客に…無理やり…そしてさっきの後処理…

それはやっぱり、そういう事…だよな…?


「ねぇ…客ってさ…」

「ん…っ、バイトだよ…っ」

「バイトって…その…っ」

「一緒だろ…?多分…っ、かの…りつも、そうなんだろ?」

「…っ」


俺と…一緒…
やっぱり将吾も風俗でってことだよな…?

それってどう考えたって俺の悪影響でしかないんじゃないのか!?

俺が将吾を…


「りつのせいじゃないからなっ…俺が一人で生きてくためにはこれしか無かった…ただそれだけだから…」

「将吾…っ」

「抱いて…りつが全部塗り替えてよ…」


俺らがまた出会ってしまった事に意味があるのだとしたら、今度こそ将吾を本当の意味で守らなきゃ…

これは償いでものあるのかもしれない。

指を引き抜きモノを再奥まで沈めると、俺を掴む将吾の腕に力が入り、歪む表情に俺のモノに熱さが増していくのがわかる。

細い腰を掴み、離れていた数年間を埋めるように律動を繰り返せば、将吾は恍惚の表情を浮かべ中を収縮させる。


「はぁっ、あぁっ、あっ、イッちゃ…っ」

「いいよっ、イケよ…っ、」

「いっ、イク…ッ!」

先端から欲が吐き出されお腹の上に飛び散って流れ落ち、シーツに吸い込まれていっても尚、俺はまだ久々に感じる将吾の中を堪能したくて、グズグズになった中をグチュグチュと音を立てながら擦り付けていく。


「はぁっ、あぁっ!いい…っ」

「うぁ…っ、あぁ…っ、もぉ、だめ…っ!」

「…っ、あっ、イクッ!」

将吾の中がビクビクと痙攣したと同時に、俺は中で欲を吐き出しソレを抜くことなく、息を切らしながらそのまま将吾の首元に顔を埋め、力いっぱい抱きしめた。


「はぁっ…はぁ…っ、将吾…っ」

「ん…っ」

「離したくない…」

「うん」

「ずっとここにいて…」

「うん…りつもね…」

「おう…」


暫くすると規則正しい寝息が聞こえる…
この寝顔…また見れるんだ。

願ってももう、二度と手に入らないと思ってたこの瞬間がすぐ隣にある。

頭を撫でながらモノをズルっと引き抜くと、んっと小さな声を漏らしたが、将吾はむにゃむにゃと口を動かし眠り込んでいる。

後処理を適当に済ませ、隣に寄り添いぼぉーっと寝顔を眺めていると、離れていた時間が嘘のようで段々瞼が重くなり、俺もいつの間にか眠ってしまっていた。
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