こじらせ男子は一生恋煩い

桜ゆき

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第一章 出会いと再会

翌週

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それからというもの、バイトでたまに顔を合わせると前よりは気軽に話せるようになってきて、あっという間に例の曜日が来た。


「やぁ、将吾くん!」

「やぁじゃねぇわ…無理すんなよ…」

「お金なら心配しないでよ、俺今バイト結構頑張ってるからさっ」

「いや、金とかじゃなくて…てか前の分もちゃんと受け取れよ」

「なんで?俺が来たくて来てんだから受け取りたくない」

「心…」

「そんな顔しないでよ…」

「ごめん…」


最初は利用するつもりで自分が言い出した事なのに、今となってはただ楽しく大学生活を送ってるようなやつを、こんな世界に巻き込ん出しまったという罪悪感が俺のこころを埋め尽くす…

そんな俺の心情を察してか、俯く俺の手を引っ張ってベットに連れて行かれると、心の方からグイグイとリードされてしまった。


「せっかく来てるんだから何かしてよ」

「…っ、でも」

「いいよ。将吾くんになら何されても…」

「いや、そうじゃなくてっ…」

「じゃあ俺からチューしていい?」

「あっ、ま…っ」


別にその行為自体に今更恥ずかしさなんて感じないし、躊躇する理由もないのだけれど、問題は相手が心だという事だ。

何も知らない様な普通のノンケの大学生に、こんなことさせるべきじゃないっていう思いと、もしこれ以上の関係になってしまったら俺自身の感情のコントロールが効かなくなるんじゃないかという不安で、なんとかそれを阻止しようと試みたもののあっという間に唇が重なってしまった。

もうこうなってしまったなら後は一か八か、精一杯仕事として接しようと、出来るだけ感情を無にして行為に集中した。

様子を見ながら今度は俺から唇を重ね舌を口内にねじ込んでいけば、次第に絡み合う舌と舌。

酸素を求め、開いた口元からは甘い吐息が漏れ始める…


「ん、はぁ…っ、将吾…くんっ」

「なぁ…っ、ホントにいいのかよっ…」

「うん…いいよ…」

「じゃあ…脱げよ…」


心はコクリと頷くと、シャツのボタンを上から1つづつ外していき、最後の1つを外して袖を外せば、それなりに鍛えられた胸板があらわになる。

少し緊張してるのか、下を脱ぐのを躊躇する心の様子に、俺は手を貸しズボンに手をかけ、下着と一緒に一気に下ろした。


「わっ…///」

「ちゃんと勃ってんじゃん…」

「う…っ、あんま見ないで…っ///」

「ふふっ…何言ってんだよ、お前から仕掛けてきたくせに」


真っ赤になりながら、反応したソレを抑えるように覆い隠す心の手を掴み引き剥がすと、俺は目の前のソレを口で咥えた。


「んっ、将吾くんっ…////」

「んふっ、ひもひい?んっ…流石に初めてじゃないだろ?」

「ん…っ、まぁ、けど…っ」

「男は初めて…だよな…?」


漏れ出そうになる声を抑えながら、うんうんと首を縦に振る心に追い打ちをかけるように、唾液でぐちゅぐちゅになったソレを掴み、手で上下に動かしながら鈴口に舌を這わせ、再び咥えて吸い上げた。


「んぅっ!あぁっ、ヤバい…っ、出ちゃう、将吾くんっ!」

「んっ、いいよっ…出してっ…」

「うぁ…っ!あ、あっ、イク…っ、出る…っ」


いつもだったら特になんの要求もなければ外に出すか、口ん中に出されたとしても吐き出すけど、あまりに心が可愛すぎて俺は舌の上に溜まった白濁をわざと見せつけた。


「あぁー、みてぇ?」

「っ…////汚いからっ…吐き出してっ!」

「ん…っ、はぁ…」

「えっ!?飲んだの!?」

「うん」

「不味くない…?」

「ん?ふふっ、心の美味しいよぉ…」

「…っ////」


あぁ、ダメだ…
心の味が口内に広がり、部屋中に充満する独特な臭いと汗の臭いで、完全にこの雰囲気にあてられて、俺の理性はもうとっくに限界を迎えていた。


今日はこれで終わりにしようって思ってたのに、どうしたって体が疼いて仕方ない…


「…っ、もうダメ…抱いていい?」

「えっ!?抱く…って…」

「入れんのは…流石に駄目か…じゃあ触って?同じのついてんだからわかるっしょ?」

「うん…っ」


感覚を確かめるようにゆっくり上下に動かし、俺の反応を見てくる心の視線が、蓋をしてた気持ちを更に煽ってくる。

だけど感触的には物足りなくて、俺は自ら心の唇に食らいつき腰を動かした。

あぁ…こんなに気持ちが高揚したのはいつぶりだろう。

俺は心の事が好きなんだろうか…

快感に身を委ねながら目を閉じると、何故か大好きだったあの人の甘い声が頭の中に響き渡った。


(将吾…)


「…っ、かの…っ…」

「ん…っ、将吾くんっ?気持ちいい? 」

「あ…っ、うんっ、気持ちいよ…っ」


なんだよ、今更あいつの事なんてもう忘れたはずなのに…っ。


「心…っ」

「んっ?なに…?」

「はぁ…っ、将吾って呼んで…っ」

「将…吾っ、将吾っ、ん…っ」

「んぅ…っ、はぁっ、あっ、ん…っ」


心の首元に手を回し、俺の名前を呼ぶその唇に夢中で喰らい付けば、頭の中は愛おしさでいっぱいなる。

それが、心に対するものなのか…
久しぶりに蘇ってきたあいつへの想いなのかは、俺にも分からない。

けどもうこれ以上、湧き上がってきた感情を抑える事が出来なかった。


「あっ、あっ、心…っ、イク…ッ!」


心の手の中で欲を吐き出し果てても尚、興奮を抑えられず心の首元に腕を回したまま、夢中で心の唇に食らいついた。


「ん…っ、しょ…ご…っ」

「はぁ…っ、んっ、あぁ…ごめん…っ」

「なんで謝るの?」

「止まんなくて…っ、しかも、手…汚しちゃった…」

「いいよ…平気…」


そう言うと汚れた手を躊躇なくぺろっと舐めるから、俺はビックリして慌てて心の腕を掴み口元から離した。


「ちょっ、何してんのっ!?んな事、しなくていいからっ!」

「ふふっ、なんだよぉ、将吾だって俺の飲んだでしょ?俺にも味合わせてよ」

「…っ、だってそれは…っ」

「お仕事だから?」

「や、違うっ、違うよ…そうじゃないけど…っ」

「ならいいじゃん…?」


再び白濁に塗れた手をそのままにぺろっと舐めると、空いてる方ので手で俺の頭をポンポンしてくるから、恥ずかしくて気まずくて目も合わせられない…


「絶対マズイよ…っ」

「んーっ、美味しいよ?」

「なっ////嘘つけっ!!」

「じゃあ、俺のだってマズイよ…」

「そんなことない…っ」

「ねぇ、将吾…俺さ?将吾の事…」

「あっ!えと…もうそろそろ時間だから、シャワー浴びてこいよ…なっ!?」

「…うん、わかった」


無理やり話を遮ったのにも関わらず、心は笑顔で頷いてくれた。

俺は一先ずほっとしてベットに体を預ける。

さっきの言葉の次にどんな言葉が来るはずだったのか…
今の俺には聞く勇気がない。

心が俺の事を軽蔑したとしても、また好きだなんて言い出したとしても、どっちにしろ俺にはまだ受け止める強さはない。

もうこれ以上は駄目だ…
取り返しがつかなくなる前に、今日限りでこの関係は終わりにしよう。

シャワーから戻ってきて支度を始める心に、意を決して話を振った。


「心、来週から来なくていいよ…」

「えっ、でもっ…」

「お前こっちの人間じゃないだろ?もうやめとけ…」

「そんな事ないよっ!?だって俺はっ…」

「あーもぉ終わりっ!俺が話したことも全部忘れてくれていいから…わかった?」

「将吾…」

「心…巻き込んでごめんな…」

「ううん、これからも友達でいてくれるよね?」

「…あぁ」

「わかった…また連絡するから…」


あぁ…終わった。

でもこれで良かったんだ。

普通の大学生として過ごしてた心を、都合よく利用してこっちに引き込んだのは良くなかった。

俺に興味があるなんてただの物珍しさなんだろうし、心の為にもこれ以上関わらないようにしなきゃ…

何よりこれ以上、俺が心の事を好きにならないように―――
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