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第二章 真実とは…
名探偵夏希(夏希)
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どうも引っかかることがあって、俺は直接話を聞こうとあの日から毎日産婦人科の待合室の側である人を待っていた。
本当なら話し合いの前までに蹴りをつけたかったんだが、なかなかそう上手くは行かなかった。
一か八か、今日会えれば俺が抱いてる疑問も解けて、話し合いなんかしなくても済むんじゃないかと思ってんだけど…
時計を見ればもう待ち合わせの時刻を指していて、今日もダメだったか…と思い、もう向かった方がいいかなと立ち上がり出口に向かって移動しようとしたその時、産婦人科の別室の方から
他の妊婦さん達と一緒に目的の女性が歩いてきた。
俺はいきなり失礼かな…と思いながらも、急を要するしと思って少し強引に話しかけてしまった。
「あのっ、突然すいませんっ…俺、冬弥の友達なんですけど朱梨さんのお友達…ですよね?」
「あ…っ、はい…そうですけど…」
「ちょっと聞きたい事がありまして…少しお時間いいですか?」
「あ、はい…」
少しお腹が大きく見える彼女に近くのベンチに座ってもらい、取り急ぎ冬弥の元カノさんの妊娠について聞いてみた。
するとやはりそんな話は聞いたことないとの事で、俺は例のエコー写真を彼女に見せて見覚えがないか尋ねてみた。
そしたらやっぱりこれは彼女が3ヶ月前にここで撮ってもらったもので、既に妊娠4ヶ月頃の物らしい…
エコー写真をもっとちゃんと調べていれば、もっと早くにこの違和感に気付けたのにっ!と一人悔やみながら、どちらにせよ冬弥の元カノのものではないという事が分かってほっとした。
そしてお友達の彼女に何があったのか聞かれたため、事の経緯を話した。
するとお友達は、俺に冬弥の元カノさんとの最近の出来事を話してくれた。
少し前に、お友達の風花さんがたまたまと冬弥と春人が一緒に手を繋ぎながら歩いているところを見て、それを元カノの朱梨さんに話したところ、どんな子か見たいと言い出したらしく、春人の事を和みカフェで見かけた事のあった風花さんは、朱梨さんと一緒に和みカフェに行ったらしい。
相手が男だったっていうショックでプライドの高い朱梨さんは、自分より男を選んだ冬弥の事を相当怒ってたみたいで、春人にも敵意を抱いてたことは確かだと思うと。
エコーの写真は記念に欲しいと言われて、何枚かあるうちの1枚を朱梨さんにあげたらしく、まさかこんな事に使われてるとは思わなかったと。
自分が余計な事を言ったせいですいませんと言われ、俺はそんな事ないですっ、と話を聞いてくれたお礼をして彼女にエコー写真を返し、ほっと肩をなでおろした。
さて、少し遅くなってしまったけれど、これでやっと冬弥の疑いが晴れる。
急いで店に戻ろうと病院のロビーに向かうと、そこには何故か春人と冬弥の姿があった。
「春人?冬弥!」
「あ…夏希?用事は…?」
「あ、うん。今ちょうど終わったところで…そっちは?もう話し合い終わっちゃった?」
「あぁ…うん。けどなんも解決できなかった…」
「その事なんだけど…って、その前に何かあったの?」
「春人が…ちょっとやっちゃって…」
「えっ!?何かされたの!?」
「いや、割れたお皿で指切っちゃって…」
「そ…か…大丈夫…?春人…」
「…うん」
あぁ…この感じは指の傷より心の傷のが深いか。
お店で何があったのかは分からないけど、春人が傷心してると言う事は間違いなくて、少なからず現場は修羅場だったって事が伺える。
俺がもっと早く解決できてれば、二人を傷つけずに済んだのに…
「ごめんね…俺がトロかったばっかりに…」
「えっ!?何で夏希が謝んのよっ…」
「あのエコー写真、もっとちゃんと見てれば、話し合いなんてしなくて済んだんだよ…」
「えっ?」
「あれは朱梨さんのじゃない、彼女のお友達のだったの」
それから、さっきあったことを二人に説明した。
まず彼女は妊娠なんかしてないって事、例え彼女が自分のだと言い張っても3ヶ月前に既に4ヶ月なら、相手が冬弥じゃない事は確かだ。
冬弥が付き合う前から手を出してなければ、だけどね。
冬弥はそれを全否定してほっとした様子だったが、春人は未だに浮かない顔で会計を済ませ、二人は一緒に帰って行った。
冬弥が無実だったとはいえ、春人にはしんどかったのかな?
俺はこのを報告がてらお店で何があったのか聞こうと思って、そのまま涼二のお店に向かった。
本当なら話し合いの前までに蹴りをつけたかったんだが、なかなかそう上手くは行かなかった。
一か八か、今日会えれば俺が抱いてる疑問も解けて、話し合いなんかしなくても済むんじゃないかと思ってんだけど…
時計を見ればもう待ち合わせの時刻を指していて、今日もダメだったか…と思い、もう向かった方がいいかなと立ち上がり出口に向かって移動しようとしたその時、産婦人科の別室の方から
他の妊婦さん達と一緒に目的の女性が歩いてきた。
俺はいきなり失礼かな…と思いながらも、急を要するしと思って少し強引に話しかけてしまった。
「あのっ、突然すいませんっ…俺、冬弥の友達なんですけど朱梨さんのお友達…ですよね?」
「あ…っ、はい…そうですけど…」
「ちょっと聞きたい事がありまして…少しお時間いいですか?」
「あ、はい…」
少しお腹が大きく見える彼女に近くのベンチに座ってもらい、取り急ぎ冬弥の元カノさんの妊娠について聞いてみた。
するとやはりそんな話は聞いたことないとの事で、俺は例のエコー写真を彼女に見せて見覚えがないか尋ねてみた。
そしたらやっぱりこれは彼女が3ヶ月前にここで撮ってもらったもので、既に妊娠4ヶ月頃の物らしい…
エコー写真をもっとちゃんと調べていれば、もっと早くにこの違和感に気付けたのにっ!と一人悔やみながら、どちらにせよ冬弥の元カノのものではないという事が分かってほっとした。
そしてお友達の彼女に何があったのか聞かれたため、事の経緯を話した。
するとお友達は、俺に冬弥の元カノさんとの最近の出来事を話してくれた。
少し前に、お友達の風花さんがたまたまと冬弥と春人が一緒に手を繋ぎながら歩いているところを見て、それを元カノの朱梨さんに話したところ、どんな子か見たいと言い出したらしく、春人の事を和みカフェで見かけた事のあった風花さんは、朱梨さんと一緒に和みカフェに行ったらしい。
相手が男だったっていうショックでプライドの高い朱梨さんは、自分より男を選んだ冬弥の事を相当怒ってたみたいで、春人にも敵意を抱いてたことは確かだと思うと。
エコーの写真は記念に欲しいと言われて、何枚かあるうちの1枚を朱梨さんにあげたらしく、まさかこんな事に使われてるとは思わなかったと。
自分が余計な事を言ったせいですいませんと言われ、俺はそんな事ないですっ、と話を聞いてくれたお礼をして彼女にエコー写真を返し、ほっと肩をなでおろした。
さて、少し遅くなってしまったけれど、これでやっと冬弥の疑いが晴れる。
急いで店に戻ろうと病院のロビーに向かうと、そこには何故か春人と冬弥の姿があった。
「春人?冬弥!」
「あ…夏希?用事は…?」
「あ、うん。今ちょうど終わったところで…そっちは?もう話し合い終わっちゃった?」
「あぁ…うん。けどなんも解決できなかった…」
「その事なんだけど…って、その前に何かあったの?」
「春人が…ちょっとやっちゃって…」
「えっ!?何かされたの!?」
「いや、割れたお皿で指切っちゃって…」
「そ…か…大丈夫…?春人…」
「…うん」
あぁ…この感じは指の傷より心の傷のが深いか。
お店で何があったのかは分からないけど、春人が傷心してると言う事は間違いなくて、少なからず現場は修羅場だったって事が伺える。
俺がもっと早く解決できてれば、二人を傷つけずに済んだのに…
「ごめんね…俺がトロかったばっかりに…」
「えっ!?何で夏希が謝んのよっ…」
「あのエコー写真、もっとちゃんと見てれば、話し合いなんてしなくて済んだんだよ…」
「えっ?」
「あれは朱梨さんのじゃない、彼女のお友達のだったの」
それから、さっきあったことを二人に説明した。
まず彼女は妊娠なんかしてないって事、例え彼女が自分のだと言い張っても3ヶ月前に既に4ヶ月なら、相手が冬弥じゃない事は確かだ。
冬弥が付き合う前から手を出してなければ、だけどね。
冬弥はそれを全否定してほっとした様子だったが、春人は未だに浮かない顔で会計を済ませ、二人は一緒に帰って行った。
冬弥が無実だったとはいえ、春人にはしんどかったのかな?
俺はこのを報告がてらお店で何があったのか聞こうと思って、そのまま涼二のお店に向かった。
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